会山行紀行文 2025年
1/26(日)
曇り後晴れ
(おおくらやま)
大蔵山

864m
参加者 (紀行文) 2232 S/K
No−5 グレード:C上  16名(ガイド含まず)
 担当リーダー 2232 S/K (男性7名・女性9名) (写真) 2232 S/K
〜〜プロガイドに学ぶスキルアップ講習・ワカン編〜〜
≪コースタイム≫
いずみの里駐車場(7:30-55)…(ホワイトアウトナビゲーション)…案内板広場(8:40)…(ワカン講習)…大蔵山山頂(スコップワーク12:00-55昼食)…(ワカン講習他)…案内板広場(15:10)…いずみの里駐車場(15:25)

≪紀行文≫
〜〜〜楽しく、有意義な講習登山でした〜〜〜

 プロの山岳ガイドを招いての講習登山は、昨年の9月に続いて2回目で、今回は雪山でのワカンを中心とした講習をお願いしました。講師は前回と同じく佐藤賢さんで、雪山のガイドも出来る資格(山岳ガイドU、スキーガイドU)をお持ちです。
 実施日は当初1/25の土曜日を予定しましたが、荒天予報から翌日に変更。その為に9名の方が参加できなくなってしまいました。この場を借りてお詫びします。参加者はリーダー及びリーダー候補の方と、雪山でのスキルアップを目指す一般会員の精鋭が揃いました。

 7:30、準備を整えていずみの里駐車場に16名が集合。装備(必須でワカン、コンパス、ロープ、軽アイゼン等滑り止、持っている方はツェルト、スコップ)を確認の後、ガイドさんから今日の講習の説明をして頂きました。
 7:55、駐車場を出発、5分程歩いた登山者用駐車場のゲートの先で早速講習開始です。最初はホワイトアウトナビゲーションの講習で、吹雪やガスによって視界が効かない時でも目的地にたどり着く為の方法です。      

いずみの里駐車場で、今日の講習の説明 
ホワイトアウトナビゲーションの講習

  ホワイトアウトを想定してゲート(登山口)から最初のポールまで進む事が課題です。事前に準備して頂いたホワイトナビゲーション表から、進むべきベアリング(磁北からの角度)は136°、距離は125mです。距離は各自が持ってきたロープを繋いで(7mを6本なら凡そ40m)を何回延ばしたかで測ります。進む方向は、班長さんがコンパスで136°を確認しながら途中に入ったメンバーに指示し、ロープが伸びきるまで進みます。その後班長さんが先頭まで進みます。この作業を3回繰り返すと、136°の方向に凡そ120m(40mを3回)進んだ事になり、目的地にたどり着くはずです。実際にやってみると、思う様には出来ませんでしたが、初めてのホワイトアウトナビゲーションの講習で、貴重な体験でした。
  ロープを使って目標までの距離を進みます   方向は、班長さんがコンパスの角度を見て指示

 8:40、案内板広場に到着。沢に架かる橋は、雪のある時や凍結の時は落下しないように注意が必要です。先頭で渡り終えたガイドさんは、沢中央の水の中に降りて、渡る人のサポートに入りました。プロガイドの仕事を見せて頂いた気がしました。
 凍結した橋は今日最大の難所? 落ちたら大変  雪崩の「3」の法則、30度、30p、3日

 階段のある登山口手前の急斜面で、斜度を測る方法を教わりました。水平に出した手の上に拳を載せると、拳一つが凡そ10度で、斜面は拳3個分・約30度ありました。雪崩は、30度以上の斜度で、雪が30p以上積もると発生し、3日経過すると安定するそうです。(間違っていたら、ごめんなさい、その際は訂正をお願いします)    
 ワカンは、5分以内で履いてくださいね   ワカンは、5分以内で履いてくださいね 

 3合目を過ぎた辺りでしょうか、比較的緩い斜面でワカンを履いての講習です。履くのに手間取っていると、バンドの先端に瞬間接着剤を塗布すると、バンドが固くなって取り付けやすくなるとのアドバイスです。もう一つ、ワカンの輪にベルトを通すのは、外から内に向って通すと緩みにくいとの事、参考になります。
 握りこぶし一つ空けて、おいらん歩き  登山道を外れ、各班でラッセル

 ワカンでの歩き方を教わった後、各班で登山道を外れてラッセル体験です。先頭を交代しながら先に進みます。まっさらな所を歩くラッセルも楽しいです。皆さんから笑顔がこぼれました。
 ラッセル楽しいよ、素敵な笑顔です   こちらは2班の皆さん

 次に急斜面でのラッセル体験として、横一列になって先頭を歩く体験です。体力も脚力も必要で、ラッセルの先頭で長い距離と時間は歩けないことが体験できたと思います。
 全員が、ラッセルの先頭を歩いてもらいます  疲れ過ぎないうちに先頭を交代しましょう

 班毎にトレースの無い所をラッセルして山頂に向います。先頭は疲れ過ぎないうちに交代する事で、ラッセルするチームとしての歩行スピードを維持できる事を教えて頂きました。
 12:00丁度に大蔵山頂に到着、ラッセルは結構疲れますが、皆さんとても楽しそうに見えました。ガイドさんは、ゾンデ棒を取り出して、積雪の深さの確認です。凡そ3m位の様です。ガイドさんのザックの中は、必要なものは全て入っている様に見え、周到な準備が伺われました。
 12:00、大蔵山頂着、雪山は楽しい!   ゾンデ棒で積雪の深さを確認、3m位かな?

 通常の山行であれば、近くの小屋まで行って風を避けてお昼とする所ですが、今日は違いました。風は北から吹いているので、山頂からすぐの南斜面を、1m程降りた所にスコップでベンチを作りました。ほんの少し降りただけですが、風を避けることが出来ました。上り下りする階段も作って、全員が横一列に並んでお昼を頂きました。急斜面でしたが、ベンチを作ることで、安心して腰掛けることが出来ます。楽山会の会山行ではあまり経験できない事でした。
 スコップで、急斜面にベンチを作り・・・   風を避けてお昼を頂きました

 山頂は視界が効かない状態で、山頂から小屋までのホワイトアウトナビゲーションを実習するには、丁度いい状態でしたが、時間も押していることから、小屋の方向確認だけで終わりました。少し残念。
 大蔵山頂の鐘の前で写真を撮りました、右端はガイドの佐藤さん、皆さん良い笑顔です

 集合写真を撮った後、12:55、下山開始です。まっさらな所を好きなように歩きます。
 下りは早い、コケても楽しいです  下りは尾根の分岐に気を付けて

 下りの途中、尾根の分岐点で道迷いの講習です。登りは尾根が合流すので迷わないが、下りは尾根が分岐するので、特にホワイトアウトの時は進む方向を見極めるのが難しいとの事。その為に登る時に赤テープやルート旗を使うとの事です。
 すり鉢状になった急斜面で、ワカンでトラバースする実地講習も行われました。アイゼンを履いた時と同じで、山足は進行方向に、谷足は少し谷側に向けて歩くと安定するそうです。
 急斜面のトラバース、山足は進行方向で・・・  ようやく青空が見えてきました

 トラバース講習の後は、ワカンをアイゼンやチェーンスパイクに履き替えて下りました。午後からは気温も上がって、ようやく青空も見えてきました。何げない景色が、青空を背景に雪をまとうと、とてもきれいに見えます。これだから雪山はやめられません。
 中央に菅名岳と、大蔵山はその右側です  15:10 橋まで、無事に戻ってきました

 案内板広場の橋も、朝の様な凍結も無く、スムーズに渡ることが出来ました。
 15:25、全員が駐車場に帰着し、無事に講習登山を終えることが出来ました。ガイドさんと、天気と、仲間に恵まれ、楽しいだけではない、有意義な山行だったと思います。講習料金は、2,000円/人でしたが、とても安かったと思って頂けたら嬉しいです。
講習登山が無事に終わったことに感謝です、ありがとうございました。
 今日の活動時間=7時間56分、歩行距離=8.2q、累積標高差=818m。

 雪山はきれいだし、とても楽しいです。その楽しさを味わう為には、隣あわせにひそむ様々なリスクに対応できるだけの、技術の習得と周到な準備が必要なことも、改めて感じました。