会山行紀行文 2024年
5/26(日)-27(月)
晴れ  曇り後雨
  (ぶながひらやま)
金剛杉、山毛欅ガ平山

947m
参加者 (紀行文) 2232 S/K
No−50 グレード:C 13名
 担当リーダー 2011 Y/O (男性6名・女性7名) (写真) 2232 S/K
≪コースタイム≫
≪5/26≫
佐渡汽船新潟港(6:00)〜両津港(8:30)=北松ヶ崎林道終点(9:20)…馬首川上流の沢(梯子)(10:20)…大倉・関分岐(10:50)…関越(11:35)…関越の仁王杉(11:45-12:25 昼食)…山毛欅ガ平山入口(13:00)…山毛欅ガ平山(13:35-40)…山毛欅ガ平山入口(14:05)…連結杉(14:15)…王様の小径入口(14:30)…大王杉(14:40)…王様の小径出口(15:30)…関越の仁王杉・分岐(15:45)…金剛杉(16:05)…関の大杉(16:45)…林道出合(17:15)…関の大滝(18:15)…崩落個所・車終点(18:25)=川口荘(18:50)
≪5/27≫
川口荘(8:00)=藻浦崎(8:20)=片辺の山中(8:50)=大野亀(10:40)=両津港(12:45)〜新潟港(15:15)
≪紀行文≫
〜〜〜佐渡の厳しい自然を生き抜いてきた杉の姿に感動〜〜〜

 杉の巨木で有名な山毛欅ガ平山は、大佐渡山脈・金北山の更に北東に位置し、標高947mの山です。「新潟100名山+10」に依れば、スギを主体とした天然林には希少種・絶滅危惧植物が多数分布し、極めて自然度が高い「原生林」状の森林、とあります。新潟大学の演習林として管理され無許可では入山できません。
 山毛欅ガ平山に登るにはエコツアー(有料、専門ガイド同行)に参加する必要があって、千手杉ルート、外海府ルート、内海府ルートの3ルートがある様です。
 今年の正月にあった能登半島地震は、佐渡にも被害を及ぼして、当初の計画は外海府ルートを歩く予定でしたが、土砂崩れで車での通行ができないことから、急遽計画を変更して内海府から外海府に抜ける・大佐渡山脈横断ルートとなりました。CLは計画の作り直しに迫られ、ご苦労をされた様です。

 参加者13名が佐渡汽船新潟港に集合、6:00の便に乗船し佐渡に向います。
 粟島、三宅島、八丈島には行った事はあるのですが、佐渡島に行くのは初めてです。もちろん佐渡の山も初めてで、この会山行をとても楽しみにしておりました。

 船が進むに従って角田山と弥彦山の見え方が変化して、船尾から眺める景色も新鮮でした。角田山が海に浮ぶ様は、まるで島の様にも見えました。
新潟港を出港、2.5時間の船旅です 角田と弥彦が島か半島の様に見える

 船の中で登山の準備を整え、下船したらすぐに宿の車に乗って登山口に向います。内海府の北松ヶ崎から林道に入りました。標高約300mの林道の終点が登山口となりますが、車2台程のスペースがあるだけです。地図には緩い傾斜地に「田」の記号があり、昔は米を作った様です。車が無い時代は、田圃までの往復だけでも相当な重労働だったと思われます。
 今日のガイドさんは2名で、IさんはCLが以前からお付き合いがあって、マンドリンプレーヤーでもあるそうです。もう一人は女性の方で、最後尾を担当して下さいました。
 9:20、登山口を出発。歩き出すとすぐにいろんなお花が咲いていました。コケイランやギンランが早速出迎えてくれました。エンレイソウは最後まで所々に咲いていて、一回りおおきく見えます。
 ガイドのIさんからは、いろんな話を聞くことができます。今日歩くルートは、昔は外海府の関集落から両津に向う関越(せきごえ)と呼ばれる峠道で、50sもある海産物を担いで歩いたそうです。
今日のガイドのIさん(左端)   関、大倉集落への峠道です 沢状の所もあります

 分岐には石仏が置かれていて、道標の役割と共に道中の安全も願った様です。
 10:20、馬首川上流の沢で休憩。唯一の梯子が沢に降りる所にありました。ここにはオドリコソウが沢山咲いていました。ガイドさんからお花の話や鳥の話など、いろんなお話がありましたが、すぐに忘れてしまいます。
分岐で見守る石仏 唯一の梯子がありました 巨大こごみ?の中を歩く

 大倉越と関越の分岐を過ぎて、上ノ平を通過すると、関越まで急登が続きます。今日一番の頑張り所です。 
 大佐渡山脈の稜線である関越を通過すると、広い林道に出て展望も開け外海を望むことができます。これが新大演習林の管理林道です。
大倉・関分岐の石仏  この場所が関越です 林道に出て外海が望めます

 林道を少し歩いた所に今日最初の巨木・関越の「仁王杉」です。樹齢3〜400年、江戸時代からの巨木でしょうか?新大の先生に依れば、杉もすごいが一緒に伸びているツタも相当な樹齢との事。杉が大き過ぎて、カメラに収まりません。
関越の「仁王杉」、大き過ぎてカメラに収まりません ツタもすごいとか?

≪関越までの内海府側に咲いていたお花≫
初めてのお花も沢山、佐渡は植生がとても豊かだと思いました  

 「仁王杉」を眺めながら、お昼を頂きました。
 12:25、午後の部の開始です。林道を山毛欅ガ平山の取付き点まで歩きます。途中で杉の巨木が沢山ある「王様の小径」の出口と入口を通りますが、巨木ツアーは後にして、山毛欅ガ平山が先です。
林道脇には、ヤマオダマキ、ニリンソウ、シラネアオイ、サンカヨウ、ヒトリシズカ等が咲いていて、タチツボスミレ?の白花も見つけてもらいました。ヤマシャクヤクは初めて見ることができました。
 林道から山毛欅ガ平山への入口に案内板はあるのですが、まったく読むことは出来ませんでした。
仁王杉と語らいながらの昼食 樹下植栽試験地で合ってますか? 林道から山毛欅ガ平山の入口

 入口から杉の巨木の森を緩やかに登って、20分程歩くと山頂に到着です。狭い山頂に一等三角点が設置されていますが、ほとんど展望はありませんでした。ブナの木も見当たりません、代わりにシャクナゲやナナカマドの花が咲き始めていました。集合写真を撮って、早々に下山です。
巨木の森を歩いて  山毛欅ガ平山の山頂、展望はありませんでした

 山毛欅ガ平山の入口から少し戻って、赤テープの所を入ると程なく連結杉です。中央の幹から左右に伸びている枝・幹?はその先の杉に繋がっているようです。連結杉の前で集合写真を撮りました。杉の大きさが判って頂けると思います。
連結杉、左右の杉も繋がっています 連結杉の大きさが判りますか?

 林道を戻って巨木ツアーの「王様の小径」に入ります。この小径は杉の巨木群を見るために特別に伐開された様でした。「大王杉」と名前が付いた巨木があります。裏側から見ると両手を広げた様に見えて、名前の由来が判ったような気がします。
大王杉、大きさが実感できません 裏側からの大王杉 大王杉の隣にある三尊杉

 稜線を少し下った所に枝が一方にしか伸びていない巨木がありました。冬の北西の強い風の為に一方にしか枝が伸びない様です。佐渡の自然の厳しさがそのまま杉の形になった様に思いました。
稜線で頑張っている巨杉、北西側に枝は無い 下から見上げてみました、とても力強い
幹と根っこの区別はもはや不要です  どうやって下をくぐったのか不思議です

 関越の「仁王杉」まで林道を戻り、分岐を関集落に向います。
 16:05、「金剛杉」に到着。この杉は一度伐採されて、その後上部が成長。伐採は運搬の為に雪のある時に行われ(雪上伐採)、その為にこの高さになったとの事、積雪量もすごい様です。
金剛杉、一番の貫録を感じました 関の大杉、巨木ですが金剛杉よりも小さい?

 「金剛杉」から下った所に、ツバメオモト、オオサクラソウ、サルメンエビネが咲いていました。サルメンエビネはラン科の植物で赤い唇弁を猿の顔に見立てたものだそうです。初めて見ることができました。クマガイソウの葉も見つけてもらったのですが、既にお花は終わっていました。残念。

 17:15、関集落側の林道の終点にようやく到着。迎えの車がある崩落個所まで、更に1時間強のおまけの林道歩きが残っていました。
今日は林道歩きのおまけ付です 関の大滝 林道の崩落現場

 宿に着いたのは、19時少し前でした。今日は頑張って沢山歩きました。

≪稜線から外海府側で見つけたお花≫
稜線から外海府側で見つけたお花達、ヤマシャクヤク、サルメンエビネは初めて見ました  

 二日目は、CLのありがたい配慮で、宿を8時に出発してお花見ツアーです。
 最初は北片辺まで足を伸ばして、藻浦崎のイワユリ見物です。ちょっと見はカンゾウと似ています。
 
 次は昨日見ることができなかったクマガイソウの自生地があるとの事で案内して頂きました。お花は最終盤でしたが、辛うじて写真に収めることができました。
藻浦崎のイワユリ 片辺の山中のクマガイソウ

 三番目は大野亀のトビシマカンゾウです。関の宿の近くにも咲いていましたが、大野亀が一番多いようです。山でよく見るニッコウキスゲとよく似た花です。お昼頃から雨の予報でしたが、少し早めに振り出した様です。
大野亀のトビシマカンゾウ、最後は雨にやられました

 雨脚も強くなってきたので、次の予定をキャンセルして一つ早い船に乗る事で相談がまとまりました。
 宿で作って頂いたおにぎり弁当は、12:45発の船の中で頂きました。

山毛欅ガ平山の活動時間=9時間05分、歩行距離=13.8q、累積のぼり=881m、くだり=1055m

 初めての佐渡の山に大満足です。佐渡の厳しい自然を生き抜いてきた杉の姿を見せてもらいました。そして沢山のお花に出逢うことができました。CL始め皆さんに感謝です。楽しい佐渡の山旅をありがとうございました。