10月に沢に入るなんて気が触れたんじゃないのかと一瞬思いました。
でも、今年の夏は天候が不順で沢はまだ2本しか登っていません。
それに濡れることはないし簡単な沢だからという殺し文句と滝とナメが続くとにかく美しい沢だからという甘い汁に誘われて重い腰をやっと上げたのが本音です。
案の定、台風18号の影響か天気予報は悪くなる一方、晴れマークだったのがいつの間にか傘マークまで付く予報に代わってしまいました。
1枚よけい着たにも関わらず肌寒く感じます。水も冷たく、今日は絶対に濡れないぞと心にしっかりと刻みました。
ところが、滑川橋の入渓点からすぐにナメや小滝が現れ、しぼんでいた気持ちが一気に膨らんできました。
これはきれいな沢だ、しかも紅葉も始まっている。
寒さは堪えるものの楽しくなってきました。
15分も遡行すると2段15mの見事な滝が現れ、45分後には圧巻の120mの滑川大滝が現れました。その見事さには大感激でした。 |
(クリックで拡大) |
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歩いた軌跡。青が沢遡行、赤が登山道下山 |
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入渓直後からきれいなナメが続きます。 |
15分で2段15mの見事な滝が現れました。
さあ!どこを登る? |
トラロープにすがって
何とかクリアーしました。 |
滑川大滝は日本の滝百選に入っている吾妻連峰の東大巓に源を発する大滝沢の山あいにかかる滝。落差80m,長さ120m、落ち口11m、滝壺付近の幅40〜50mくらい。
東北一の大瀑布と言われながら、垂直に落下する瀑布とは趣が違い、赤い一枚岩の滑床を流れ落ちる様は天女が羽を広げたようなやさしい姿で、見る人を穏やかな気持ちにさせてくれるのでした。
勿論、われわれの技術では滝の直登はできません。しばらく眺めて写真に収めた後、右岸を高巻きました。
立派な踏み跡はありましたが、高低差は半端ではありません。大変でした。 |
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2段幅広7mナメ滝の上で何思う。 |
おやおや!映画のロケに遭遇しました。
来年公開の映画だそうです。
この人達、下山時にも会いましたので
1日中沢で頑張っていたようです。 |
滑川大滝が見えてきました。
先行のグループが記念写真を
撮っていました。 |
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どうです!このど迫力。
大き過ぎて全体が撮れません。 |
時間があれば、
ここで滝行でもしたくなります。 |
滑床(ナメトコ)に紅葉、こんな癒しの空間が延々と続いているのです。 |
その後もナメや小滝がどこまでも続き、エメラルドグリーンの釜に映える紅葉にも感嘆しきりでした。
自分の沢経験は豊富とは言えませんが、自分にとっては今までで一番の美渓でした。 |
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小滝をいくつもいくつも越えて行きます。
ナメと小滝と紅葉、ここに太陽があれば
最高なのですが。 |
幅広のナメ、まるで舗装道路を
歩いているような錯覚を覚えます。 |
幅広4m滝、少しヒョングってるかな。
流水が途中から跳ね上がって
噴射しているような滝を登山界ではよく
ヒョングリの滝と呼んでいます。 |
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堰堤のような幅広滝、流木を足場に
水線を直登、カッコいいなあ!
自分はここで濡れました。 |
左側の斜めのルンゼをよじ登ってまずは
安堵。清水に映える紅葉がきれいだった。 |
フリクションを効かせてよじ登る。
こんなのは易しい方。 |
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ヒョングリの滝で考え込むつわもの共、
さて、どこを攻めようか。 |
小さな高巻き、
夏なら泳いででも滝に取り付くのに。 |
すごい滝ですが、
左岸はステップが多く楽勝でした。 |
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簡単そうですが、意外に難しいのですよ、
こんな滝は |
上流部に来るとますます
紅葉がきれいでした。 |
この風情、秋を感じますねェー。 |
沢の最後が登山道が沢を横切る点と言うのもありがたいことです。
藪漕ぎもなし、本当に素晴らしい沢でした。でも、簡単な沢で濡れなくて済むよと言うのはいささか甘すぎました。
小滝とは言え水流脇を登れば飛沫を浴びますし、遡行するには膝上までは覚悟しなければなりません。
ヘツリには最善の注意を払い、自分は落ちませんでしたが、落ちて全身ずぶ濡れになった人もおりました。
お日様がこれほど恋しいと思ったことはありませんでした。
上流部はガスって来ましたし、雨も降って来ましたが思い出に残る沢歩きでした。 おわり |
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もうじき終盤、水流も細くなってきました。 |
登山道と交差、そこが今日の終点です。
その上に潜り滝という名瀑があります。
荷を置いて少し散策しました。
岩に隠れるような垂直トイ状20mの滝でした |
下りは滑川温泉と東大巓を結ぶ
登山道を下山しました。
鮮やかな紅葉が目に染みました。 |