会山行紀行文 2014年
 1.11(土)〜12(日)
共に快晴
(たかがわやま)(りゅうがだけ)
高川山・竜ヶ岳
976m  1465m
参加者 (紀行文) 2117 Y/N 
22名
(男性9名・女性13名) (写真)2070S/F
≪コースタイム≫
≪11日≫
新潟駅南口(6:10)=JR初狩駅(11:35)…高川山山頂(13:20-13:50)…稲村神社(15:15)=富士眺望の湯”ゆらり”=本栖湖西岸=(宿)本栖湖湖畔 民宿「松風」(17:20)
≪12日≫
民宿「松風」(5:00)=本栖湖キャンプ場(5:10)…竜ヶ岳山頂(7:30-8:05)…本栖湖キャンプ場(9:30)=宿(9:40-10:45)=いやしの里(11:30-12:10)=新潟駅南口(18:20)
≪紀行文≫
≪1日目 高川山(976m)≫
                         〜〜〜富士はどこから眺めても美しく素晴らしい〜〜〜

 新潟の早朝は曇り、気温は低い。全員揃ったところで駅南口を定時に出発。
 高速道は、除雪がなされており大きな渋滞もなく県境を抜ける。
 JR中央本線初狩駅前に到着。早速、各自準備を整えた者から柔軟体操を済ませ、班ごとに集合。
 リーダーのミーティング後、蒼天のもと登山口目指し出発。最高の登山日和である。
JR初狩駅にて登山準備 出発前のミーティング ガードをくぐって登山道へ(後方高川山)

 林道に入るまでは随所に立っている道標に従って住宅地を抜け、自徳寺の墓地の横を通る林道を緩く登っていく。
 しばらくするとアカマツ林になり、林道が切れたところが登山口だ。ここから左斜面に登る本格的な登山道が始まる。
 5分ほど登ると旧道との分岐点があり、ここからは柵が設けられ、柵に沿った新道を進む。
 少しずつ傾斜がきつくなり、ヒノキの林をジグザグに登る。林冠から射し込む陽光が心地よく、汗ばんでくる。
自徳寺の墓地の横を進む 林道から分かれて登山道に入る 急斜面をジグザグに登る

 やがて男坂・女坂の分岐点から女坂を登っていく。女坂は急坂であるが、男坂はもっと急であるようだ。
 リーダーの「男坂を登る人はいませんか〜」の問いに声は無い。
 やがて展望が良く陽当りのよい登山道に出る、木々の間から富士の頭が観え始める。
 一登りすると展望が開け富士の姿が美しい尾根に出る。休憩によい場所である。急坂を登り終えた後だけに、富士を観るとホッとする。
 休憩を終えたら、急坂をひと登りで頂上へはあと少し。
女坂も結構な急斜面だ 温かい陽射しがまぶしい 両線の向こうに富士の姿が

 クマザサのある山道を登っていくと、急に視界が開ける。真っ白に輝く富士が見えた瞬間、黄色い歓声があがる。
 高川山は、御坂山塊の東端にある山で標高が1000mにも満たない山であるが、小粒ながら展望抜群である。
 頂上に立つと雲ひとつ無い青空の下、真っ白な雪を頂いた富士が大きい。遮るものは何もなく、展望は360度の大パノラマだ。
 麓に目を転じると、宮川に架かるリニア実験線の鉄橋も見える。この展望の下での昼食は最高の贅沢である。
山頂に立つと裾野を広げた富士の姿が
富士を“おかず”に楽しい昼食 高川山山頂にて

 下山は北東に連なるアカマツ混じりの痩せ尾根(松葉コース)を下る。
 頂上から田野倉方面に下る道は一部岩場のジグザグな急坂になっている。
 やがて登山道が林道に変わり、しばらく歩くと田野倉小形山の集落(稲村神社駐車場)に到着。
岩場ありの急斜面を降りる 穏やかな尾根道も  稲村神社駐車場に到着

 待ち受けていたバスに乗り、鳴沢村の富士眺望の湯“ゆらり”に立ち寄り、汗を流す。
 看板どおり霊峰露天風呂に入りながらの富士の眺望も絶景である。

 本栖湖畔の今晩の宿「松風」に向かう途中、“赤富士”展望・撮影スポットに寄ったが残念ながら時間的に間に合わなかった。
 民宿に到着すると、すでに夕食は準備されていた。
 リーダーから明日の山行についてのミーティングが終わってから食卓に着く。今日一日の無事を感謝して乾杯。
 この宿の名物料理イノシシ鍋やシカ肉の刺身、その他食べきれないほどの料理を囲んで賑やかに談笑が始まる。
富士眺望の湯“ゆらり”からの富士 本栖湖西岸からの暮れゆく富士 今日一日の無事を感謝して乾杯
  
 ≪2日目 竜ヶ岳(1485m)≫
                        〜〜〜神聖富士はお見通しだった〜〜〜

 竜ヶ岳を訪れるのは、今年で3年連続である。今春はどんな富士山と出会うことができるだろうか。
 私事になるが、竜ヶ岳山頂からの雄大な富士の眺望は、新年の幕開けである。

 前日の高川山は、晴天に恵まれ富士眺望には最高の登山であった。本日も晴れの天気予報であったので大丈夫だ。
 宿の外に出て真っ暗闇の中、空を見上げれば満天の星が輝いていた。ダイヤモンド富士の期待が増してくる。

 夜明け前の5時出発である。バスで本栖湖畔のキャンプ場まで移動。
 各自が柔軟体操を済ませた後、班ごとに点呼が終わるとヘッ電で慎重に足元を確認しながらスタート。
凍える早朝5時に宿を出発  キャンプ場駐車場で登山準備   登山口で集合写真
  
 登山口から少しばかり歩いたところで、急斜面の登りになる。リーダーのアイゼン装着の指示がある。
 登山道は整備されており特に危険なところはないが、凍結しているため滑りやすい。

 ようやく急坂を登り終えるとベンチがある小ピークに達する。ここで小休止をとり服装の調整をする。
 富士の方向を眺めるも、見えるはずの富士のシルエットは見当たらない。
 一部分ではあるが、左右の麓の稜線は見えるが、山頂も雄大な山容も富士の中心部だけがスッポリ黒いベールに包まれている。

 小鞍部を経てひと登りすると、石仏のある平坦地に出る。東屋も建つ展望台だ。
 依然として富士は黒いベールに覆われたままだ。「今日は駄目かも…、来年また来いと言われているみたい」の声が聞こえる。
 ここから竜ヶ岳山頂部を望むと、クマザサの中をジグザグの道がつけられているのがわかる。

 やや気落ちした思いで山頂を目指しジグザグの登山道を登りながら、気になっていた富士の方向に目をやると、なんと山頂部が顔を出しているではないか。私たちに“おはよう”とあいさつしているようだ。
 『富士は御見通しだったのネ』の声が聞こえてきた。みんなホッとしたものである。
東屋のある展望台(富士は観えない) 足取りも重く山頂を目指す 「あっ!富士が観えた!」と歓声
 
 頭を出した富士は山頂までの登行の間に、纏った黒いベールを麓へ麓へと脱ぎ棄てて消えていく。
 竜ヶ岳頂上に達したときには、富士はすべてのベールを脱ぎ棄てていた。驚くべき一瞬のできごとであった。
 私たちの不安な気分を瞬時にして解消してくれた富士は、まさに神業である。

 クマザサが刈り払われた、広々とした竜ヶ岳頂上の撮影スポットは、すでに三脚の放列であった。
 雲一つない富士山を前に繰り広げられる光と影のページェント、吐く息は白く、その一瞬のシャッターチャンスを待つ。
 ダイヤモンド現象はもうすぐだ。 
どんどんベールを脱ぎ捨てる富士 カメラを構えた登山者が並ぶ ダイヤモンド現象が近い
 
 ご来光を待つ間、山頂から360度のパノラマ展望を満喫。御坂山塊の山々や、背後に遠望される真っ白に輝く南アルプスの山並みが紅く染まり始めている。寒さに耐えながら各人、記念写真を撮りあったりしている。 
 
山頂から観る南アルプスの山並み(赤石、荒川、塩見、農鳥、間ノ岳、北岳、鳳凰三山、甲斐駒 等)が美しい
 
  いよいよダイヤモンド富士の始まりだ。富士山の頂上から太陽が昇る瞬間、光の花の冠をつけた富士の姿が映える。
 荘厳な夜明けの輝き、そしてダイヤモンド富士。だれもが、一瞬、歓喜の声をあげ感動する。そして拝む。
 さあ、全員揃って記念撮影だ。富士のご来光に向かって「バンザーイ」。

 昨年、ユネスコの世界文化遺産に登録された、日本が誇る霊峰富士山。古くから日本人の心のふるさととして親しまれてきた富士山。
 天高くそびえる姿は気高さの象徴として、なだらかな稜線は美しさの象徴として、多くの人たちを魅了してきた。富士山ほど日本人の憧憬の対象でありつづけてきたものはない。

 深田久弥は、著書“日本百名山”のなかの富士山について『老いも若きも、男も女も、あらゆる階級、あらゆる職業の人々が、一度は富士登山を志す。これほど民衆的な山も稀である。富士山ほど一国を代表し、国民の精神的資産となった山はほかにはないだろう』とある。
ダイヤモンド富士への変化  富士のご来光に向かって「バンザーイ」

 もう時刻は8時を過ぎている。充分にダイヤモンド富士を堪能して下山開始。
 寒さが厳しいが、真っ青な空のもと朝日をたっぷり浴びての下山路は、なぜか暖かく感じる。
 富士を正面に眺め、眼下には石仏のあるあずまやが俯瞰できる。

 下山路の脇には白く輝く霜柱が美しい。下山の途中、多くの登山者に合う。竜ヶ岳は手ごろな行程の人気の山のようだ。 
雲一つ無い真っ青な青空を背に朝陽をたっぷり浴びて元気に下山  
朝陽に輝く大きな霜柱 東屋から山頂方向を振り返る 本栖湖を見下ろす[ベンチ付近)

  宿(松風)に着くと暖かい朝食が待っているはずだ。おかみさんの心づかいにいつも感謝している。
 朝食を終えて各々帰路の準備を始める。感動の余韻がまだ残っているもののおかみさんの見送りを受けて、バスに乗り込み帰路に就く。

 途中、西湖畔の“癒しの森”に立ち寄って氷の造形を見物。ここからの富士の眺望も美しく素晴らしい。

 さらに、西湖“いやしの里”根場に寄り、1時間ほど茅葺民家群を見て回った。
 ここでも茅葺屋根と富士山がマッチして素晴らしい景観を造りだしている。撮影スポットが随所にある。ここからの富士の眺望も絶佳である。
“おもてなし”の宿「松風」 西湖いやしの森の氷の造形と富士 西湖いやしの里根場からの富士
 
 この度の山行は、天候に恵まれて、暖かい春の日差しを身体いっぱいに浴びて満足している。
 だが、県境のトンネルを越えると雪に閉ざされ、雪と格闘する生活を強いられる雪国の人たちをつい思ってしまう。

 チーフリーダーはじめとして、熱心にお役目を果たされたサブリーダー、会計、班長さんに感謝します。
 本年も素晴らしい新年のスタートに相応しい山行であったことを感謝。神業を演じてくれた富士に感謝。