地図とコンパス
≪地図とコンパス≫

1、真北と磁北
  コンパスと地図にはそれぞれの北、つまり2種類の北がある。
   (地図)
      :地形図の両側の縦の図郭線の上方が真北を示している。
       図郭線の縦は経度、横は緯度を表している。
   (コンパス)
      :コンパスの針(磁針)は、常に真北より西にずれを示す。
       磁針の示す方向を磁北、真北と磁北との差を偏差・偏角と呼ぶ。
       地形図の右の説明欄に「磁針方位は酉偏約6°20′」のように
       記載されている。
       日本での偏差は、西に5°(沖縄)から10°(北海道)である。
2、磁北線の引き方
  偏差6°20′とすると
  @360から6(20′は切り捨て)を引いた354を
   コンパスの度数線に合わせる。  
  A地図の左右どちらかの図郭線にリングのNとSを合わせる。
   (リングの中の赤い線を合わせる方が分かり易い)
  B地図面に乗っている側のコンパスの長辺に添って線を引く。
   引かれた線は西(左側)に6°傾いている。
   これが磁北線である。
   簡便法としては、磁針と地図の図郭線を合わせ、それから
   酉偏角度分(偏差6°)だけ、地図を右(東)に傾ければよい。
3、コンパスの使い方
  山中でコンパスを用いるときは、
  @近くに岩石がある場合は、1m以上離して測定する。
  Aコンパスは必ず水平にして使用する。
  B磁針がいつまでもフラフラしたり、一方向だけをピンと指したままの場合は、
   コンパスを狂わす対象物や場所から離れて測定する。

4、測定後の変化
  山崩れや洪水等があれば、地図上の地形とは当然変わってくる。
  また、地図上の山道は、いつまでも完全に存在してると思い込んではならない。
  測量後に廃道になったり、別に新しい道が出来ている場合もある。

5、三角点
  三角点は3キロほどの間隔で設置されていて1、2、3、4等の区別がある。
  @5万分の一図では、1〜3等が△印、4等では・で示されている。
  A2万5千分の一図では、1〜4等まですべて△印になっている。
  B標石は花崗岩の柱で等級により大小があり、南面に等級が刻まれている。
  C1等三角点は45キロの間隔に置かれ、1等三角補点は本点を含めて20キロ、
   2等三角点は本・補点を含めて8キロ、3等は3.5キロ、4等は1.5キロの
   間隔で設置されている。
  D三角点は特に見通しのよい場所に設置され、1等三角本点は40キロ先まで
   完全に見渡せなければならない。
6、等高線
  @等高線の間が狭い所は傾斜が急、広ければ緩やかな
   場所である。
  A尾根の部分(凸線伏)では、等高線が低いほうへ出っ
   ぱっていく。
  B谷の部分(凹線状)では、等高線の高いほうへ入り込ん
   でいき、下流ほど入り込みが深くなる。
   ここで注意をしなければならないのは、私達がいつも山で
   見る形は、その側面だということと、遠くの高い山よりも、
   目の前の低い山の方が大きく見えることである。
   このことを常に順において地図を読まないと、実際に山に
   接した時の印象と地図から受ける感じが違ってきて、合致
   しない場合が起こってくる。
  C5万分の一図では、20メートルごとの実線を主曲線と呼び、5本ごと
   (100メートル)に線を太くしてあるのを計曲線という。
   2万5千分の1図では、10メートルごとが主曲線、5本目ごと
   (50メートル)が計曲線である。
   ほかに主曲線の標高間隔の2分の1、4分の1の補助曲線があり、なだらかな
   所では、この2種類の破線が部分的に加えられている。
   5万分の1図と2万5千分の1図のシステムは同じで、等高線の密度による
   傾斜感が共通するようにしてある。

   (等高線が示す地形図の特徴)
     ・高所から低所へ突き出している等高線……………尾根
     ・低所から高所へ入っている等高線…………………沢

7、地図の正置
  地形と地図を一致させることをいう。あらゆる場合に必ず正確に行う。
  @コンパスのリングをN(360°)に合わせる。
  A地図の磁北緯に、コンパスの長辺または赤の縦線をあてたまま、地図を
   動かして、リング内の矢印と磁針赤が重なるようにする。
  Bこれが地図の正置であり、周囲の地形と地図の向きが一致する。

8、地図上で自分の位置を確認する方法
  自分の現在いる地点が分からない場合、現在位置を確認する方法で、クロス
  ベアリングともいわれている。
  @コンパスのリングをN(360°)に合わせる。
  A見通しのきく所を探し、地図を正置する。
  B地図上にあり、地形上にも存在する目標物を探す。
  Cその目標物にコンパスを構えて、リングを回して磁針赤とリング内矢印を
   重ねる。
  Dコンパスを地図にのせ、地図上の目標物にコンパスの長辺または赤の縦線を
   あて、ここを支点として、リング内の矢印が磁北線と平行(重なる)になる
   までコンパスを回す。(磁針赤とリング内矢印が重なっている。)
  E平行(重なる)になったら、コンパスの長辺に添って直線を引く。
   この線上のどこかにいることになる。
  F同じ方法で、別の目標物から同様に直線を引き、2本の線の交差点が現在
   地点である。
  G精度を高めるには、3点、4点と目標物を増やせばよい。
  H2つ目の目標物間の角度は、30°〜140°の範囲が望ましい。

  (簡便法)
     地図を正置し、目標物と地図の上の目標物を線で結ぶ。
   その延長線上で交わった所が現在位置となる。

9、地図上でコンパスとセットして進む方法
  @コンパスのリングをN(360°)に合わせる。
  A地図を正置し、現在地と目的地を地図上で確認する。
  Bコンパスの長辺または赤の縦線を、地図上の現在地点から
   目的地にあてる。
  Cリングを回して、リング内矢印と磁針赤を重ねる。
  Dコンパスを手に取り、リング内の矢印と磁針赤が重なるように、
   身体の向きを合わせる。
  E身体の向きが合った場合、コンパスの先端の矢印の方向に進む。
  Fもし、リング内矢印と磁針赤が重なっていなければ、方向が違っているので、
   身体の向きを修正して進めば目的地に行ける。
  G登山道ではあまり遠くの目的地を選ばず、第一の方向転換点までセットして
   進み、その方向転換点まで進んだら、次の方向転換点までセットする。
   これを繰り返しながら進めば、方向を間違えることはない。

10、コンパスだけで進む方法
  @コンパスのリングをN(360°)に合わせる。
  A目標地点にコンパスの先端の矢印を向ける。
  Bコンパスの向きを変えないように注意しながら、リングを回し、リング内
   矢印と磁針赤を重ねる。
  C重なった状態で、コンパスの先端の矢印が進むべき方向である。
  Dもし、磁針赤とリング内矢印が重なっていなければ、方向が間違っているので、
   身体の向きを修正して、進めば目的地に行ける。