(2)人間を襲うスズメバチ“8月下旬から10月いっぱいが最も危険“
ハチは前後の動きには鈍感であるが、左右の横向きや急激な動きには敏感なの
で、ハチを手で払ったり服やタオルなどを振り回すのも危険である。
スズメバチはいずれの種も黒色に対して激しく攻撃性を示す。
白色や黄色、銀色などに対しては反応は弱く、ほとんど攻撃しない。
但し、たとえ白色であっても、いったん攻撃を受けたあとでは安全とは言えない。
ヒラヒラするもの、純毛製のもの、香水やヘアスプレーなどの化粧品、音や
振動(虫避けの超音波発信機など)はハチを刺激する原因となり、攻撃行動の
きっかけとなる場合があるので注意。
@ほとんどの場合、すぐには攻撃せず、目の前を前後、左右、上下に飛び回って、
まず威嚇する。このときは、目を狙ってくるので、顔を伏せて静かに後ずさり
しながら離れていく。左右の動きには敏感なので、手を振ったり急激に動いて
はならない。30〜50mの防衛距離を出れば大丈夫。 A万一、刺された場合はすぐに毒を絞り出し(口で吸い出さず、指でつねって
絞り出す。またポイズンリムーバーを使って毒を吸い出す)、水でよく洗って
冷やす(毒の回りを遅くする)。
抗ヒスタミン軟膏やステロイド剤、タンニン酸水を塗布する。(アンモニアは
効かないのでつけない方が良い。市販薬の抗ヒスタミン剤を予め購入しておく
と役に立つ)アナフィラキシー症状が認められたら、エピペンなどを利用する。
(3)アナフィラキシーショック
急性の全身性かつ重度なI型過敏症のアレルギー反応の一つ。ほんの僅かな
アレルギー物質が生死に関わる「アナフィラキシー反応」を引き起こすこと
がある。
皮膚テストや血液中のハチの特異的抗体の有無を調べて貰い、アナフィラキ
シーであるか調べて貰うと良い。
陽性の人は、医師に処方して貰い、「携帯用エピネフリン自己注射キット
(商品名;エピペン)」を持参すると安心。下山後は早急に医師の治療を受ける。
(4)毒蛾、毛虫
@触れたところを不用意にこすったり、掻いたりしない。
A石鹸水で、そおっと洗い流した後、アンモニア水か重曹を水でドロドロに
溶いたものか、抗ヒスタミン軟膏を塗っておく。
(5)山ヒル対策
@山ヒル専用のスプレー(ヤマヒルファイターなど)を靴や靴下、ズボンに塗布
する。山ヒル専用のスプレーは、有効成分(ディート)がマイクロカプセル化
されているので、水や雨に濡れても簡単には落ちず、効果が長時間持続する。
但し、強い薬品なので、肌には直接塗布しないこと。
A一般の防虫スプレーでも、ディートが含まれているので効果がある。
但し、濡れると簡単に落ちるし、持続効果時間が短いので、こまめに
スプレーする必要がある。
Bヒルは血を吸う時、ヒルジンという血液の凝固を妨げる物質を体内に注入
するので、ヒルに食われるといつまでも出血が止まらなくなる。
ポイズンリムーバーでヒルジンを吸い出すと出血は止まり易くなる。
(6)毒蛇による咬傷
危険性のある蛇は、マムシとヤマカガシの2種類のみである。
@蛇を見つけたら逃げるにまかせて、放っておくこと。
蛇が積極的に攻撃してくることは絶対にない。
棒や足を差し出すのはよくない。
A湿った日の当たらない場所を好み、川や沼に近い草むら、倒木や岩、石の
かげ、じめじめした所で被害に遭い易い。斜面を登るとき、見えない所に
手を掛けることは危険である。
B咬まれる部位は手足が多いので、長袖、長ズボン、厚手の靴下、軍手などを
着用して皮膚を露出しないようにする。
C女性のお花摘みには、周囲を良く観察する。
(兆 候)
毒蛇のときは、30分ほどで咬まれた部位が黒ずんだ紫色の腫れがひどくなり、
痛みも強くなってくる。
さらに毒が回ると嘔吐、瞳孔散大など全身状態が悪化して死亡することもある。
(対 応)
@速やかに医者に行くこと。命の危険はほとんど無いから、慌てることの
方が危険である。
A乗り物か、他人に担いでもらって医者へ行くのがよいが、やむを得ない場合
は落ち着いて歩くこと。決して走らないこと。
B薄いお茶を多量に飲んで利尿を促すのは効果がある。
アルコール類は絶対に飲んではいけない。
(7)ツツガムシ病
ツツガムシの発生時期は、4〜6月と9〜10月頃で、孵化期とー致している。
1〜12月は感染する可能性が高い。
(予防項目)
@長袖、長ズボン、長靴、手袋を着用。
A腰を下ろしたり、寝ころんだりしない。
B立ち入る場所にダニに有効な殺虫剤を散布する。
C皮膚の露出部に防虫スプレーを塗布する。
D立ち入った後は必ず更衣、入浴しツツガムシを洗い落とすとともに、皮膚に
刺し口がないか点検する。
E1〜2週間後に発熱や発疹、リンパ節腫賑等の症伏が現われた場合は速やか
に受診し、感染の恐れがある場所に立ち入ったことを医師に申し出ること。
(8)マ ダ ニ
マダニはライム病を引き起こすスピロヘーターを媒介する。
ツツガムシもマダニもダニの類であり、マダニの予防方法はツツガムシと
同じであるが、ツツガムシは吸血後すぐに人体から離れるが、マダニは長期
間吸着吸血し続けるので、食いつかれた時の対処が異なる。
@ライム病原のスピロヘーターが、人体に移るには48時間かかると言われて
おり、48時間以内にマダニを除去しなければならない。
Aマダニを除去しようとして、マダニの体を強くつまんで引っ張ると、スピ
ロヘーターを人体に注入しかねないので、こうしたやり方は絶対にしては
ならない。なお、こうしたやり方では、マダニの頭と体がちぎれるので、
頭が皮膚に刺さったまま残ってしまう。
B毛抜きなどで、皮膚をえぐって、皮膚と一緒にマダニを除去する。
自分や友人などではできない場合は、医師から除去してもらう。
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