歩き方の基本

≪歩きの基本≫

 (歩  幅)
  普通の人間の歩幅は、平地を歩くときは70cm前後
 であるが、勾配が10度くらいになると
65cm前後、
 20度だと50cm前後、30度では40cm、45度
 以上になれば20cm前
後とするのがよいと言われている。
 歩幅が大きければ、それだけ重心の移動に力を必要とする
 ばかりか無理を生じ、体のバランスまで失うことになる。
 疲れないコツは、歩幅を狭くして歩くことである。

(呼 法)
  歩き始めは身体が山に慣れていないので、意識的にゆっくり歩き、筋肉と呼吸が馴れる
 のを待
とう。かっては、苦しくなったら深呼吸するなどと言われたが、近年では、深呼
 吸して大量の空
気を吸い込めば肺に負担がかかることとなり、逆効果になると言われて
 いる。

 疲れた場合の呼吸法は、唇を狭くして“フゥ〜”と細く長く息を吐こう。
 急坂の登りも、この
呼吸法を繰り返していけば、案外楽に登れる。身体に必要な酸素
 は自然に吸い込んでいるから心
配ないと言われる。

(平地歩きが登山の基本)
 @リラックスした“姿勢”を保ち、一定の“リズム”のもとに、整った“ペース”で、
  “どこ”を歩くかの
条件が総合されて、はじめて疲れを感じさせない歩き方ができる。
 A足の運び方は、靴底全体で接地し、普通の靴のようにつま先で蹴り出してはいけない。
 B上半身の姿勢は、前後左右に振らないで静荷重静移動が基本。身体の重心を幾分先行
  させ
ると、体が前へ倒れそうになるので、自然に足が踏みだされることになる。
 C平地歩きでも比較的緩い斜面でも、足が地面を踏む方向は、先開きの逆ハの字型と
  する。
外開きのスタンスは肩幅より広くとらない。
 Dザックを背負っての登山では、足元の安定のために二本の平行したレールの上を歩く
  よう
に、ややガニ股歩きの方がよい。

(登り道の歩き方
 @斜面が急なほど、ペースを抑えてゆっくり登る。これが登る時の大原則である。
 A登る時の歩き方も平地歩きと同様、静荷重静移動を続ける。
  段差などは高い段差を一気に登ろうと考えず、出来るだけ低い段差を選んで登ろう。
 B歩行のリズムを一定に保つには、急な上り箇所ほどゆっくりと歩幅を小さくとり、
  足元を
よく確かめ、靴底全体を水平に密着して置ける足場を選ぶことも、くるぶしや、
  ふくらはぎに負担を掛けないために大切である。
 Cジグザグ道での方向転換は、左方向に対しては左足から、右方向に対しては右足から
  踏みだすと、バランスが崩れない。
 D階段も岩の露頭も、土の小さな凹凸も利用して、高度を稼ぐための一歩を安定させて
  いく。
 E歩調は呼吸に合わせるようにする。息が切れ出したら、歩調を落として呼吸を整える。
 F前かがみになったり、手を膝に当てたりしながら登るとバテを早める。
  (腹や腹筋に余計な負担を掛けることになる。)
 Gストックを持つ手も、肩から上に上げるとバランスが崩れてバテを早める。
  こまめに握りを持ち替えるなどして疲労を防ごう。
 H苦労し辛い思いをして登ってこそ、頂上で味わう感激は大きい。
  苦しくとも頂上目指して
頑張ろう。



(休憩の取り方)
 休憩の目的は第一に疲れを癒すことである。同時に荷物の背負い具合や、靴の履き
 具合の点検、
水や食物の摂取、現在の位置や周りの地形の確認などを行うことにある。
 歩きはじめて20〜30分たったら、第一回目の休憩をとる。
 この休憩は、荷物のバランスや
背負い具合、靴の履き具合、衣服の着脱などのためで
 ある。具合の悪いところはしっかりと直しておく。


1.大休止の取り方
 @簡単なストレッチ運動をして硬直した身体をほぐし、汗を拭いてから靴ずれなど
  調子の
の悪いところの手当て、衣服の着脱を行い、十分に休養をとる。
 A食事は胃の働きが鈍っているので、2〜3回に分けてとるようにすると良い。
  糖分は疲れる前に早めに補給しておく。
  (注)行動前の糖質
(ブドウ糖、砂糖、デンプンなど)補給で、吸収の早いブドウ糖
     を行動
始1時間くらい前に摂取すると、行動中に低血糖を招き、筋グリコー
     ゲンを著しく消耗させてしまう。
     むしろ、ブドウ糖より果糖の方が筋グリコーゲンを節約でき運動
効果も上がる。

2.休憩場所と注意事項
 @落石などのない安全な場所で見晴らしが良く、少し風のある所が良い。
  大休止の場合
はあまり風の強いところは体温を奪われたり、荷物が飛ばされることも
  あるので良く
ない。
 A他の登山者の迷惑にならないよう、道は十分空けて休む。
 B休憩時にはきちんと腰を下ろして休むこと。
  小休止のときは、べったり座り込まずに、
背中を伸ばしたり、手足の軽い屈伸運動を
  したほうが疲れが取れる。

 C空腹を感じていたら食料を少し食べ、水も一口程度飲んで、エネルギーの補給をする。

 D身体が冷えきる前に再び行動すること。大汗をかいているときは、特に身体を冷やさ
  ないよう注意が大切である。
 E昼食は食べ過ぎてもいけないが、食べないのも良くない。
  初心者は見る、聞く、考える
に加えて歩く辛さに気をとられて、自分の空腹が分から
  ず、へばってしまう。へばってから食事をしたり、休憩しても効果がない。

 F大休止の後は、必ず軽い体操をしてから出発しよう。


(下り道の歩き方)
 @急斜面の上り下りでは、”上りは汗をかかず、下りは冷やさず”というのが理想で
  ある。上りは、速く歩こうと思って無理をしたところでバテるだけだが、下りでは
  歩き方を間違
えると、転倒などの事故につながる。
 A下りで必要なのは、筋力というよりは、膝や足首の関節の柔らかさであり、無理を
  すると
痛め易く、治りにくい。しかも、体が冷えてくるとさらに柔軟性を失い易い。
 B高齢者は上りの疲れが下りに出る。左右の膝が広がり始めたり、膝が曲がり始めたら
  要注
意である。遠からず足場の悪いところで転ぶ。足元が怪しくなって踏ん張りが
  利かなくな
ったら、ペースをうんと落とす。
 
C山道の下りで生かされる基本
  ア、小股で歩く。一歩の間隔は靴一足分の幅とすれば、スリップなどが防げる。
  イ、フリクッション(摩擦)利かせて、着地の際のスリップを防ぐ。
  ウ、クッションは着地の衝撃を吸収するバネになる。

  エ、ブレーキングは転倒を防ぐ最後の一線である。
普通の斜面では、靴底を斜面に
    フラット
(平らに)に置いて、膝を深く曲げながらフリクションを利かせ、一歩
    毎にきちんとブレーキングしていくことが大事である。
 D足を踏み出し体重を移動させるとき、膝を多少屈曲させ弾力を持たせておく。全体重
  を一
度に足に掛けて下ると、足の筋肉が硬直し疲れがひどい。また、へっぴり腰の
  姿勢は重心が後ろに残り、スリップし易い。

 E浮き石は垂直方向に加重すること。動かさないように丁寧に踏む。
 
F石が動かない場合でも、石の上に完全に乗るか、いくつかの石を同時に踏むか、踵は
  土に置き、石の頭はストッパー
(止具)として利用する。
 
G草は滑り易いので、靴底全体で地面に押し付けるようにして、滑らかな体重移動を
  心掛ける。
 H雪渓や砂走りなどは、踵を思い切り蹴り込んで、一歩一歩ステッ(足どり)作って
  行
くようにする。
 Iおびえて斜面にへばりつくと、かえってフリクショ(摩擦)利かなくなって
  危ない。
 Jはなはだしい急斜面の下りで、恐怖感があるときは斜面に向かって(上りの姿勢)
  下ると
安心感が強い。この場合、身体は斜面からなるべく離し、足場を確認しながら
  慎重に下る。
 K階段状の下りでは、どうしても利き足に体重がかかり、膝を痛めがちになる。
  なるべく良
い足場を見つけ、歩幅を小さ目にとる。
 L雨のどろんこ道、濡れた木の根、木道、草で覆われた道、岩場などは滑り易いので
  特に注
意する。
 M急な下り道では、爪先に負担を掛けないために、カニの横道いで歩くのも良い。
 
N斜面を横切る時は、山側の足は進行方向に向け、谷側の足は外側に向けて歩くと
  谷側への転倒防止になる。

(山麓道の歩き方)
 @山に慣れない人は、ペースを速く取りがちになるが、登り道のウオーミングアップ
  としてとらえ、リズムとペースをつかむ場とする。

 A山麓の道に多い河原の道では、小石の上に乗らず、小石の間の平坦な所を選んで歩く。
 B林道などで車とすれ違う場合は、必ず山側に一列縦隊で退避する。

(吊り橋の渡り方)
  吊り橋は故意に揺らさず、静かに一人ずつ、両手でしっかりつかまって、リズミ
  カルに一気に渡り切る。

(丸木橋の渡り方)
  足幅を肩幅程度にとり、幾分V字型に開くと、バランスが安定する。
  そのまますり足気味に足を運ぶ。丸木橋が一本丸木なら、―歩一歩バランスを
  とりながら、ゆっくり渡るより小走り気味に一気に渡り切った方が墜落しない。

  もし、バランスを崩し落ちそうなときは、川下側へ丸木につかまりながら落ちる。

(飛び石伝い)
 @飛び石伝いに対岸へ渡るときは、次の足場の石まで完全に跳べるかどうか、距離の
  確認を第一にする。
 A滑り易い水苔の生えた石や濡れている石などをなるべく避けて、三段跳びの要領で
  思い切
って跳ぶ。

(木の根道の歩き方)
 @登るときの足場のとり方は、木の根を避けて、靴全体が置ける平面を選ぶのがコツ。
  木の
根はフリクション(摩擦)利かず、ツルリとよく滑る。雨の日やその直後の
  濡れていると
きはー層よく滑る。
 A木の根をどうしても足場にするときは、歩幅を小さくして靴底全体を根に乗せ、少し
  でも
摩擦が利くように、押さえ付けるようにする。
 B木の根道を下る場合は、靴の踵の部分が根に食い込んだりして、後ろ足がすんなり
  抜けないことがよくある。また靴紐が小根にからんでバランスを崩すことが多い。
  そのためある程度、後ろへ蹴り上げる感じで足を抜く方法を取る。
 C木の根上に並行した足場の取り方は避けること。濡れているときは、まず間違いなく
  尻餅
をつくはめになる。
 D樹林道で足元にばかり気を取られていると、道に迷う危険がある。とくに「ケモノ道」
  に迷い込むことが多い。ケモノ道は、登山者の足跡がなく、草や小枝がなどが両側
  からトン
ネル状にかぶさった状態になっているが、人も通れそうに見えるので注意が
  必要である。

(岩稜部の通過)
 尾根道や山頂付近に岩場を持った山は、一般コースでも、
 岩場を通過しなければ頂上に達す
ることは出来ない。
 従って、岩登りの初歩的な技術が必要である。
 一般コース上の岩場の形態の中では、岩稜部(岩の角、
 または岩石の露出した山の尾根)
 を
一番多く通過することになる。

 
@必要以上の緊張は、身体の動きを硬くするのでかえって危険。十分な注意を払いながら
  も、余裕を持って通過することを心掛ける。
 Aへっぴり腰で岩にかじりつかずに、腰を伸ばして身体を岩から離し、垂直にバランス
  よく立つこと。そうすることで上部の視野が開け、的確な進行方向を定めることが
  可能になる。手がかりは目の高さ、足がかりは膝の高さまでとする。
 B足の運び方は、大股にならない位置の、崩れたりはがれたりしない安定した岩角を
  選び、そこへ靴底を密着させる。この際、足場にする岩に不安を感じたら、軽く
  靴先で叩き、動
かないことを確認する。
 C靴底全体を置けない小さな足場では、爪先立ちはスリップし易いため、垂直に置く。
  この
繰り返しで登って行く。
 D手を使う場所では、岩登りの原則である3点支持、つまり両手、両足の4つの支点の
  うち一つだけ次の新しい支点に移動させ、後の3点で身体を支える方法をとる。
  下るときは、必ず岩と向き合って(るときの姿勢)、3点支持で下ること。
 E泥んこ道や、砂利道から岩場に変わるときは、靴底の土や砂利をよく落としておく。
 
F自分の不注意から落石を出したら、大声で「落石」「らーく」と叫び、下の人に
  知らせ、逆に上の合図を聞いたら、ただやみくもに逃げず、石の落ちてくる方向を
  確認してから
避難する。
  (注)自然落石で、「こっちがもう少し注意していれば」と口走ったために訴えられた
     ケ
ースがある。不用意な発言はしないこと。

(ガレ場とザレ場の歩き方)
 高い山で樹林帯や潅木帯を抜けた所や、雪渓の両側に角張った石が積み重なっている
 地形をガレ場
(ガラ場、ざく、ナギ)といい、細かい砂れき帯をザレ場(ザラ場、さら)
 と
いう。ザレ場はガレ場の周辺に多い。登下降とも足元をとられて歩きにくい。

 1、ガ
 @登りは、歩幅を小さくとり、踏みだした足は上から押さえるように、じわりと石に
  乗せ
て静かに全体重を移動させると、後ろ足は自然に浮く。へっぴり腰や爪先歩き
  では、石を蹴り落石を起こす。

 A下りでは、浮き石や斜面に対する恐怖心から、登りよりもへっぴり腰になりがちで
  ある。安定した状態で下るためには、身体を前傾気味にし、靴底の中心に重心を
  置いて、踏みつけた石を上から下へ押さえるように、じわりと体重を乗せる。

 2、ザ
 
@靴底全体を斜面に平らにつけ、摩擦抵抗を利用する。
 A上りは踵で、下りは爪先で歩くような感じにすると、靴底は斜面に平らになる。
 B四つん這い歩きは危険であり、絶対にしてはならない。

 3、注意事項)<ガレ場も共通>
 @平気で石をがらがら落として下降してくる人を見かけるが、登ってくる人や先に
  下って
いる人のことを考えて慎重に降りる。
 A危険なのは、自然落石と登山者による人為落石である。落石があれば、すぐに
  「落石」「らーく」と大声で知らせる。小さな石でも、ときによっては大きな
  岩雪崩になる。
 B「落石!」「らーく!」と聞いたら、落石の方向を確認してから避難する。
 C第2、第3の落石があるかもしれない。完全に落石が終わるまで見届けたうえで
  行動に
移る。
 D近くにいる者が止められそうな石であれば、とっさに押さえる。

 Eガレ場でも四つん這いになると、両手両足で余分な石まで動かしてしまう。
  また、転ん
だときと同様、迅速な行動が取れず落石を避けることができない。
 F恐怖心からか、下りで手を後ろについて靴の踵で片っ端から石を落とし、動かない
  石を探しながら降りてくる者がいるが、絶対にしてはならない。
 G乗った足場がずれ落ちたときは、姿勢を崩さず、滑り台で立ち滑りをしているとき
  のバ
ランスを保っていれば、すぐに止まる。
 H
広い場所なら横一列で下降し、縦隊の場合は間隔を1m以内に詰めることで、前後
  の人が足場を踏み崩しても、加速がつく前に止めることができる。
 Iガレ場は落石の巣ともいえる所で、ガレ場の途中はもちろんのこと、取付点(目標に
  取
り付く地点)くでの休憩は絶対に避けて、素早く通過する。
 J安全な場所に着いたら、靴に入った小石や砂が靴擦れを作る原因になるので、必ず
  取り
出す。

(鎖場とハシゴ場の通過)

1、鎖  場
 @鎖がガッチリ固定されているかどうかを確かめることが第一である。
 A鎖には、一本に一人だけ取り付くこと。

 B鎖にぶら下がると、身体が振られるので極めて危険である
 C登る動作は、鎖をまたぎ、手、手、足、足の順に移動していけば、リズムがとれる。
 
D腕力に頼り過ぎて、しがみ付くような姿勢では、踵が岩から浮き、爪先立ちの
  スリップ
しやすい状態になってしまう。また、腕を目―杯伸ばして、鎖につかまる
  のも不安定な
姿勢になる。鎖場でも基本は3点支持で下る。この時、股の間から
  足の位置を見るようにすれば遠近感が掴みやすい。あくまでも鎖は補助的手段と
  考えて、バランスを保つ程
度に利用する。
 Eスラブ
(一枚岩)なら、上半身を起こし靴底全体に摩擦抵抗が利くように平らに置く。
 F階段伏ならガッチリした岩角を選び、前のめりになったり、後方に反り返ることなく、
  垂直に立つ。
 G下るときは、緩斜面でも前向き下降は慣れないと不安定である。
  登る姿
(岩に向き合って)慎重に下ることの方がよい。

2、ハシゴ場
 @3点支持の登降が基本。足の親指の付け根の部分を横桟に置く。
  土踏まずまで入れると、立ち上がるとき、踏ん張りが利かなくなる。
  手も必ず横桟を握る。
 Aハシゴの横桟が傾いている所は、横滑りを防ぐために、始めから低部に靴を乗せる
  こと。シゴが濡れているときは、岩よりも滑り易いので注意を要する。

 B身体をハシゴから離すことで、視界が広がり安定した姿勢になる。
 
 C一人ずつスムーズに素早く通過する
 D
鎖場とハシゴ場は落石の多い所、首筋が痛くなるくらい絶えず上部に気を配って、
  着実
に行動する。
 E下るときは、必ずハシゴに向かって下ること。
 

(渡渉の技術)
 出来得る限り、渡渉を避け飛び石伝いなどによって対岸に移れるようなルートを探す。
 渡渉は他に方法が無く避けられない場合に、始めて行うものである。

 @水が泥濁り
(泥の混じった濁り)をしているときは、鉄砲水の危険性があるから、
  絶対
に渡渉をしてはならない。川辺よりすぐに高い所へ避難する。
 A渡渉地点は、コースになっていれば必ず対岸かこちらの岸にケルンがある。
  もし無いときは、川幅が広がり瀬のように白波が立っている所が水が浅いから、
  そのような所を探す。

 B水の深さは、光の屈折で上から見下ろした感じよりも深いので注意する。
 C下流に大滝などの危険のない、比較的水流の緩やかな渡渉点を選び、少しでも危険
  を感
じた箇所を渡るときはロープで確保する。この場合、先頭の渡渉者は確保者
  より上流から渡り始める。
 D進路は、流れに逆らわず下流に向かってやや斜めにとる
 E足の運びは、水勢にもっていかれないため小幅にとり、すり足で重心を下げ踏み
  締める
ように進んで行く。
  その時、杖を上流に突けば2点支持となり、安定度が増す。
 Fパーティーなら弱い人を中心に入れ、肩を組むなり手をつないで数人−組で渡れば、
  楽
で安全性も増す。
 G腰綱から1m程度のロープをカラビナで本ザイルに通すと、転倒しても流されない。
 Hちょっとした渡渉なら靴を脱いで渡れるが、不安な場合は靴を履いたまま渡渉する
  のが、秘訣だ。裸足は川底では滑り易い。新しい地下足袋かわらじがよい。
 J渡渉の危険は、転倒によりそのまま川底へ押し流される場合が多い。
  転倒したら、仰向けにならないようにして、頭を上流にし川底に岩でもあったら、
  抱きついて立ち上がる。
しかし、誰でも出来ることではない。谷川の水は増水も
  早いが、減水も早い。より慎重
な行動が必要である。