≪紀行文≫ |
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〜〜〜ジャストタイミングの花紀行〜〜〜 |
新型コロナ禍の今、マスク着用は勿論、会山行は県内、隣県、日帰りのみと制限されている。さらにバスが密にならないように座席は一人掛け、乗り降り時には手指の消毒が徹底されている。おしゃべりは最低限に、歩く時は距離を取ってと全く窮屈だ。
でも、こんな時こそ、みんなに会いたい。みんなと一緒に歩きたいという気持ちが湧いてくるのは人間の偽らざる心情か。そこにジャストタイミングで実施された佐渡外海府の花紀行に参加させて貰った。
佐渡は、近くて遠い島、いつでも行けるような気がするのに何故か先延ばししてしまう。何なのだろう、ふと考える。1つは船旅が避けられないこと、ジェットフォイルなら1時間で行けるとしてもカーフェリだと片道2時間半、往復5時間は何といっても長すぎる。しかも見どころは、歴史や文化、地形や景色、花や芸能等沢山あり、せっかくだからあれもこれも、あそこもここもと盛りだくさんの計画になってしまう。
今回も例にもれず盛りだくさんのトレッキングだった。通常なら2日、いや3日はかかるような行程、これを船旅を含めて日帰りというのだからびっくりだ。
幸いなことに、佐渡在住のリーダーということで、集合解散は両津港となっていた。しからば、自分は、前日行って2日間を満喫してやろうとたくらんだ。そしてフリーの1日目は、レンタカーを借りて佐渡一周のドライブと決め込んだ。さらに、せっかく一周するのなら佐渡の灯台を全部見て回ろうと考えた。
佐渡の海岸線一周は約210Km、7時間あれば大丈夫だなと勝手に考えた。
結論から言うと、7時間で佐渡一周は全く甘かった。両津を9時に出発し、反時計回りに車を走らせたが、大佐渡をぐるりと回って真野海岸に着いた時には既に午後4時を回っていた。やっと半周を回っただけであった。暗くなっても小佐渡を回って目的を果たすか、今回は大佐渡だけで我慢するか、迷うまでもなく、メインは翌日の岩ユリ・カンゾウ探勝なので、潔くあきらめた。
泊りは、当初はテント持参で安上がりにと考えていたが、まだ夜は寒いし、荷物が多くなりすぎるので、どこか格安の宿に泊まることを考えた。思いついたのが“トキ交流会館”、ここだと素泊まり3千円で済む、食料はコンビニで調達した。トキ交流会館は、「人とトキが共に生きる島づくりを目指した取り組みを進めるための拠点」とする佐渡市の施設で、施設利用、宿泊、および機材貸出などを行っている。
大中小の会議室やホールは勿論、結構宿泊の部屋も広くて多い施設だ。自転車や長靴も無料で貸してくれるとのこと、ありがたい施設だ。そして、なんと、この日泊ったのは自分一人だった。大きな部屋で大の字になって熟睡した。
翌朝、リーダーと一緒に両津港で皆を出迎えた。いよいよ佐渡花紀行の始まりだ。車窓からは、見事な海岸美の景色、時々現れる歴史や文化の名残り、そして、道路脇にはイワユリやトビシマカンゾウがあちこち見られた。まさにジャストタイミングの花紀行だった。
さて、今回のトレッキングのメインは何といっても大野亀のトビシマカンゾウ。日本海に突出する「大野亀」の標高は167m、亀の形をした大きな一枚岩だ。標高167mの一枚岩が海に突き出している姿は圧巻。トビシマカンゾウの日本一の大群落が広がっていた。
トビシマカンゾウは山形県の飛島と酒田海岸、そして佐渡にだけ生息するユリ科の多年草。小木岬から1か月かけて北上するとのこと。地元では“ユーラメやヨーラメ”と呼ばれている。この意味は、卵を孕んだ魚とのこと。いわゆるタイなどの漁が始まる漁告げ花として親しまれているのだそうだ。
さて、話を元に戻すと、灯台一覧を見ると、新潟県には25基の灯台があることになっている。そのうち佐渡には13基で半数が佐渡に集中している。今回の佐渡訪問でこれら全部を見、写真に撮っておこうと思いついたのだが、残念ながらまだ半周しかできなかったことと、近くまで行っているはずなのに見つけられなかったことなどで7基にとどまっている。
七浦海岸の台ケ鼻灯台などは、台ケ鼻灯台前というバス停まで確認できたのに、灯台そのものはついぞ見つけられなかった。
灯台ハントの難しさをつくづく思い知ったものである。さて、リベンジはいつになるやら。 以上 |
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風光明媚な典型的な隆起海岸“七浦海岸”の“夫婦岩” |
鉱石の積み出しなどに使われた大間港、 佐渡鉱山を下支えした貴重な土木遺産 |
大間港で古をしのぶ仲間たち |
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“弁慶のはさみ岩”鬼と力比べをした弁慶が投げ飛ばした岩だとか |
粗削りの断崖と岩礁の尖閣湾、日本ジオパークにも認定されている |
映画「君の名は」(古い)のロケ地にもなった尖閣湾 |
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平根崎波蝕甌穴群、千万年にわたる海水の渦紋浸食でできた無数の穴 |
藻浦崎のイワユリ群生地 |
I初夏を彩るイワユリ、岩場で逞しい生命力を見せて咲いていた |
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岩陰で風を避け楽しいランチ |
そこにアオダイショウが現れてびっくり、でもこの蛇は守り神と呼ばれる吉兆 |
車窓からイワユリはあちこち見られたが、ここも群生地の入崎 |
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南西方向からの大野亀、本当に亀そっくり |
北東方向からの大野亀、印象が大分違いますね |
I二匹の亀がうずくまっているように見える“二ツ亀”、潮の満ち引きで景色が変わる |
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今回のメーンイベント大野亀とトビシマカンゾウ |
潮風に香る漁告げ花“トビシマカンゾウ” |
散策しながら大野亀頂上(標高167m)に向かう一行、ほゞ全員登りました |
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頂上からの黄色に染まる緑の絨毯 |
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頂上の石祠にかかる巨大なUFOのようなレンズ雲、上空の風が強いと発生する |
トビシマカンゾウをバックにみんな満足、記念の写真 |
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表玄関両津港の“おけさ灯台”。しかしこれは防波堤灯台、灯台の数には入りません。 |
映画“喜びも悲しみも幾年月”(古い)の舞台“弾崎灯台” |
幻の灯台、尖閣湾の“大崎灯台”、海からは見えても陸からは見えない灯台 |
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