会山行紀行文 2020年
5/5(火)
曇り後晴れ
みよし様と612m峰
580m+α(みよし様)
参加者 (紀行文) 1861 K/Y
単独
(男性1名) (写真) 1861 K/Y
≪コースタイム≫
駐車場所(8:40)…林道終点・306.1m三角点(9:20)…みよし様(10:10-10:20)…塩の道折返し点(10:40)…612m峰(10:50-11:20)
…塩の道分岐点(11:40)…林道終点・306.1m三角点(12:30)…駐車場所(13:05)
≪紀行文≫
〜〜〜みよし様とは奇妙な山名〜〜〜

 みよし様とは奇妙な山名で、むろん地理院の地形図に山名の表記はありません。地元ではそのように呼ばれています。
 かつて村上の海岸側早川集落から内陸の早稲田集落に塩を運んだ“塩の道”があり、今は地元有志の方々が復活・維持しておられるとのことです。
 みよし様は塩の道の途上にある山で、秋田の「大平山三吉神社」(たいへいざんみよしじんじゃ)にちなんでいるとのことです。山頂に大平山三吉神社を崇める早稲田集落の人達が立てた石碑が据えられています。
 ちなみに、大平山三吉神社は天武天皇の白鳳2年(673年)5月、役の行者小角の創建と伝えられ、秋田で生まれた守護神で力の神・勝負の神・勝利成功・事業繁栄の神とされる三吉霊神(みよしのおおかみ)が祀られています。
 みよし様には地理院の標高点が無いので、標高は地形図の等高線からの推定になります。なお、私のスマホのGPSで測定した値は585mでした。
 みよし様に行く時の一番の難点は、みよし様周辺に林道やら農道やらが網の目のように入組んでいて、どこをどう通れば良いのか見極めることが難しいことです。
 私が事前に把握していた情報は、林道の終点が306.1m三角点であること、山裾の田んぼの奥から林道に入ること、地形図上には林道に入ってすぐのところに建物の表記がある(建物は現存しない)、建物の表記のすぐ先で林道が男川を横断することでした。
 国道7号線を走って早稲田集落に入って2番目の信号を越えた先の十字路を左折し、道なりに進み、道が分岐する時は舗装されているなど良く整備されている方の道を進みました。田んぼの中の砂利の農道に出たら山裾の120m標高点に向かって直進し、農道中ほどで交差部分が広くなった十字路を左折して杉林に向かって行くと林道に出れました。

 林道の先は心細そうでした。私の車はコンパクトカーなので、安全第一歩いて行こうと林道の入口脇に駐車しました。
 林道を進むと右に分岐する道があり、道脇に「基幹作業道 道毛沢2号線」と書かれた白い角柱標識が建っています。このT字路を右に入ります。
建物跡、地形図には建物表記されている 男川の横断、川は浅く橋は無い このT字路を右に入る

 林道にはしっかりしたわだちがあり、車が頻繁に走っていることが伺えます。わだちがはっきり視認できるのは標高160m程の地点のまでで、その先には最近車が入ったという痕跡が見えませんでした。
 林道終点には「みよし様」登り口と彫られた案内板が立てられています。
標高170m程の地点の林道 林道上部のツツジの回廊 林道終点、杉林の中を進みます

 杉林の斜面は結構急傾斜なので、道は丁寧に九十九折に付けられています。杉林の中では周囲はほとんど何も見えないのですが、たまに道が林の外れを通った時に遠景が見える時がありますが、この日は雨上がりで、遠くはもやっています。
 杉林は標高400m程で終わり、以降ブナの林になります。
杉林の中の道、九十九折になっています 林の隙間からの風景 標高400m、杉林が終わります

 ブナの新緑、芽吹きと言われる時期は過ぎていますが、柔らかい光に包まれて歩くのはとても良い気持ちです。谷間に目をやればツツジが斜面を覆っています。
 みよし様の山頂直下で道が二股に分かれます。左の窪んだ道は山頂に向かい、右の道は山頂部を巻いて塩の道を先に進みます。
 みよし様に登る道は傾斜が急な所では九十九折、ピークは下場を巻いています。重い荷物を背負って歩く人に配慮して付けられている道なのでしょう。
ブナの新緑の道 谷間のツツジ 山頂直下の分岐、左山頂へ、右塩の道

 みよし様の山頂は広い台地状で大きな白い石碑が据えられています。石碑には「大平山」と刻まれていて、秋田の大平山三吉神社を崇める早稲田集落の人達が据えたのだそうです。
 山頂は灌木に囲まれているので、見晴らしはあまり得られません。木々の間から枝越しに覗くように見ることになります。
みよし様山頂 大平山と刻まれた石碑 山頂から里の風景

 みよし様山頂から612m峰方向に向う尾根に踏み跡が入っていました。これはラッキーとうきうきと612m峰に向かいました。
 尾根途中から、先日登った三額山が枝越しに見えました。
 笹に覆われた尾根部は写真では踏み跡が無いように見えますが、しっかりと踏み跡は視認できます。
612m峰方向に向かう尾根の踏み跡@ 尾根途中から三額山 612m峰方向に向かう尾根の踏み跡A

 踏み跡はみよし様と612m峰との鞍部でみよし様山頂部を巻いて来た塩の道と合流しました、
 塩の道は612m峰の山頂部を巻いて行き、612m峰から鍋倉山方面の422.7m三角点に向かう尾根に乗りました。
 途中怪しげな部分もありましたが、道形はしっかりとしています。
 雨上がりで木の葉やササが濡れているので、怪しげな部分を通過すると、腿のあたりまでズボンがびしょ濡れになってしまいます。
 塩の道は612m峰を巻いて行きます  怪しげな個所もあります  道形は鍋倉山方面に向かって延びています

 鍋倉山方面に向かう尾根を少し歩いて塩の道の道形がしっかり続いていることを確認して引き返しました。
 帰りは612m峰を経由して帰ることにしました。612m峰に登る尾根は藪が少なく、普通に歩けました。
 塩の道の合流点から尾根の様子 藪はありません   足元をイワウチワが覆う、花は終わり

 みよし様のすぐ近くにみよし様より高く、周囲の山の中でも一番高い山で、塩の道との関りもあり、地元の早稲田集落からも良く見える山があるのに、なぜ612m峰をみよし様にしなかったんだろうと不思議に思っていましたが、612m峰に登ってその意味が分かりました。612m峰の山頂部は狭いのです。貧相な場所に崇拝する神様を祀る訳にはいかないのだと思いました。その点山頂部が台地状で広いみよし様が神様を祀る場所として格段に相応しいと思いました。
 みよし様に向かう尾根は登った尾根とは一変して太い灌木の藪尾根で、枝から枝に渡って歩く場面もありました。
 612m峰のてっぺん 612m峰からみよし様   みよし様へ向かう尾根

 612m峰とみよし様との鞍部からは尾根に上がらず、みよし様の山頂部を巻いている塩の道を進みました。塩の道は総じては道形がしっかりしていますが、場慣れしている人にはどうということは無い程度だと思いますが、場所によっては藪っぽい所や崩れて道形が無くなっている所もありました。
 塩の道、総じてはしっかりしています  藪っぽい箇所  崩れた個所

 塩の道とみよし様山頂への道との分岐を過ぎる頃から空が晴れ上がりました。山桜の木もたくさんあって、花はもう終わりの頃ですが、まだ十分目を楽しませてくれました。里に目を向けると田植え間近の田んぼが広がり、もやで薄くなっていますが飯豊も見えています。
 下山して、駐車した場所近くの田んぼ脇の農道から登った山を振返りました。右からみよし様、612m峰、無名の峰、左端が三額山だと思います。            (おわり)                                
 山桜、花は終わり間近  下る尾根から里の風景  下山後山を振返りました