≪紀行文≫ |
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〜〜〜花と展望の飯豊を歩く〜〜〜 |
飯豊山荘の登山口から梶川尾根を経由して北股岳を往復する。
2年前同じ時期に歩き、たくさんのお花に感動したが、歩行距離17km累積高度約2000mとタフなコース。
肝は二か所の急登、登山口から湯沢峰まで600m、滝見場から梶川峰まで550mの高度差は、まさに前門の虎と後門の狼。
完歩のための策は2つ
@ 定期的な休憩(30分に一回、ザックを下ろして休憩)
A こまめな水分補給(歩きながら補給ができるハイドレーションを使用)
山の上部が霧に包まれた登山口を出発、「前門の虎」はいきなりの急こう配、10分もたたない内に汗が噴き出す。
呆れるほどの急登の連続、黙々と登り続けて湯沢峰へ、ここから本山や北股岳が望められるのだが霧で展望なし。
ポツポツと当たり出した雨が登山道を濡らす、天気予報は晴れだったのに・・・思わず歌が
♪雨潸々とこの身に降って、予報外れの空の崩れを恨んだりして、人は小さい、小さいものですね・・・♪
濡れていた登山道が滝見場の手前で乾く「雲の上に出たのかな?」と顔を上げると、霧の奥から大きなものが・・・
突然目の前に現れた北股岳、そのさまは、映画キングコングの登場のシーンを彷彿させる。
その右には梶川峰、「ここを登るのか!」「後門の狼」の大きさに思わずたじろぐ。 |
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橋を渡って右側が登山口 |
雨が登山道を濡らす |
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霧が山を覆い展望なし |
木の根がとぐろ巻く急坂 |
霧の中から現れた梶川峰 |
山ゼミの鳴き声が疲労をあおる急坂だが、入れ代わり立ち代わり現れるタニウツギ、ミヤマクルマバナなどのお花に癒され、所々で姿を見せる飯豊本山、梅花皮岳、北股岳に励まされ、苦しい・辛い・止めたいの負のスパイラルに陥ることなく梶川峰へ。 |
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滝見場〜梶川峰に咲いていた花、サンカヨウ、タニウツギ、ノウゴウイチゴ |
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シロバナニガナ、ミヤマクルマバナ、ズダヤクシュ |
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梅花皮岳(左)と北股岳 |
雲海に浮かぶ飯豊連峰(中央奥が飯豊本山) |
今年もヒメサユリが梶川峰の手前でお出迎え、前回より数が少ないが、その後に続く登山道には前回以上の数が咲き誇る。
花の命は短くてというが、飯豊の花は種類と数が多くバリエーションが豊富、いつも多様な感動を与えてくれる。
梶川尾根に咲くチングルマ、ニッコウキスゲ、チシマギチョウ、ヨツバシオガマなどのお花でその思いを強くする。 |
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梶川峰で展望が開ける |
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今年もヒメサユリがお出迎え |
梶川峰の先にもヒメの群れ |
縦に整列するチングルマ |
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梶川峰〜扇の地紙の花、ニッコウキスゲ、イワカガミ、イワイチョウ |
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ゴゼンタチバナ、アカモネ、チシマギチョウ |
そして、南側には本山から門内岳に至る飯豊連峰の大パノラマが広がる、残雪の白が一層魅力的な景観を作り出している。
これから梶川峰を下る若者と挨拶を交わす「あまりにも素晴らしい景色で下山したくない」その気持ち良く分る。
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ヒメサユリとヨツバシオガマの共演、後方は地神山 |
絶景を前に、これから下山する若者の足が動かない |
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飯豊連峰のパノラマ@大グラ尾根A本山B烏帽子C梅花皮D大日岳E北股F門内 |
扇の地紙から見る二王子岳はお気に入りの景色だが、残念ながら湧いた雲が上部を覆っている。
ミヤマキンポウゲなどの黄色いお花が彩る登山道を進み門内小屋へ、ここで昼食休憩。
前進限度に決めていた12時までに時間があるため予定通り北股岳へ向かう。
日没前に下山したいので歩行を「急ぎモード」に切替、湧いた雲が流れて時々太陽を隠す、これが暑さを遮り体の負担を軽減してくれる。
中々辿り着かない北股岳、最後の登りでハアハアいいながら2025mの山頂へ。
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扇の地紙から二王子岳を望む |
胎内岳からの眺望、左端が門内岳と小屋 |
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扇の地紙〜北股岳の花、ウラジオヨウラク、オノエラン、ハクサンチドリ |
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イイデリンドウ |
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ミヤマキンポウゲと北股岳 |
ミヤマウスユキソウ、後方に二ッ峰 |
山ゼミにズームイン |
標柱に山ゼミが一匹、やかましい音源の正体をしばし観察、石転び沢の雪渓を覗き、南東側の本山と梅花皮小屋を拝んでから下山。
あと半分、まだ半分、この先「狼坂」と「虎坂」が待ち構えていると思うと気が重い。
ここでケガはできない「ケガ予防モード」にシフトダウンし、スピード控えめ・足元確認で歩を進める。
印象深かったのは梶川尾根のくだり、音が無い静寂の登山道を一人歩く、それは経験したことのない摩訶不思議な感覚。
対照的に、梶川峰の下りは山ゼミの大合唱でうるさいことこの上ない。
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山頂から南東の眺望、梅花皮岳の後方に本山 |
これから歩く北側の眺望@門内岳A梶川尾根 |
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30分毎の休憩を維持しながら「狼坂」を下り湯沢峰へ、ここからの激下り「虎坂」が最後の山場。
上から見下ろすとその勾配が誠にえげつない、虎が口を開けているような危険ポイント満載の坂を、足元を確認しながら高度を下げる。
踏ん張りの効かなくなった足を慎重に運んで登山口に戻る。
素晴らしかったお花と展望を思い出し、ケガなく完歩できたことに感謝しながら帰路についた。 |
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