≪紀行文≫ |
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〜〜〜山頂からの360度の景色、眺望は素晴らしい。〜〜〜 |
残雪のたっぷりとある北アルプスの薬師岳。昨年は二日目が雨と風になり太郎平小屋から引き返してきた。今年リベンジをと、そして入梅前にと昨年より10日ほど早めた。ところが、その梅雨が早く始まり、たくさんの会山行が中止となった。
そんな中、6月17日と18日だけが晴天という天気予報だった。心配なのは前日の大雨警報が富山県の山間部に出ていた。折立に通じる有峰林道は24時間雨量が80ミリを超えると閉鎖になる。予報で計算してみると65ミリになった。心配になり6月15日の夕方、道路管理事務所に電話してみると、前日に多量の雨が降った場合、朝4時ころに道路パトロールして問題なしなら通行可能にすると回答を得て安心した。心配なのは大雨で雪道の足跡がすべて消えて進路を見失うことだった。まあ、夏道も頭の中に覚えているので大丈夫と楽観して当日を迎えた。
≪一日目≫
バスの中から有峰林道の開通を電話で確認して安心した。この日のメンバーは24人の大集団、残雪のアルプスは初めての人もたくさんいた。 また昨年登れなかったリベンジ組も10人近くいた。天気予報は晴れといえアルプスに悪天候はつきものだ。そんな不安をいだきながらバスは折立の登山口に着いた。
そこから青淵三角点までは樹林帯の中の急登を標高差約500M歩く。標高が1350Mからの歩きなので6月中旬でも汗が出ることはない。ゆっくりと、そして30分ごとに休憩を取り、誰も遅れることのないように注意した。
大雨の後のぬかるみを心配していたが、ほんとうに雨が降ったのかと思うぐらい登山道は乾いていた。 |
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折立で登山準備 |
登山口 |
急坂を登る |
青淵三角点に到着、昼食タイムとした。昨年はここから剱岳、立山が望めたが、この日は雲の中、ここから先は樹林帯を超えて眺望もよく、道も緩やかな登りに変わる。
大きな石だったり、木道が現れたりと周りの景色を楽しみながらの歩きになる。やがて雪が現れるがアイゼンの必要はない。
傾斜が緩やかなのと雪がザクザクしているからだ。心配していたように雪の上の足跡は一切ない。すべて前日の雨で流されこの日は自分たちだけの貸し切り状態の薬師岳登山なのだ。こんな天気がいいのにもったいない。 |
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青淵三角点 |
昼食の後 |
クマザサの中を歩く |
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雪の壁を横に |
歩きやすい石の道 |
雪の上を歩く |
長いアルバイトの末15時ちょうどに太郎平小屋に着いた。小屋の前の広場、その奥から見える景色、残雪たっぷりの北アルプスの最深部、水晶岳、鷲羽岳、黒部五郎岳、そして奥には穂高連邦の一部が丸見えだった。みん
なその絶景に見とれていた。こんな天気のいい日に、雨男も雨女もいないメンバーだからこそ味わえる究極の景色だ。もちろん翌日登る薬師岳はその雄大な山容をどっしりと目の前に位置していた。「これ、ほんとうに登れるの。」そんな思いがメンバーの顔に出ていた。「大丈夫、標高差600Mくらいだから弥彦山に登る感じですよ。」と。 |
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水晶岳 |
太郎平小屋前広場 左より水晶岳、鷲羽岳 |
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夕食までの談話タイム |
翌日登る薬師岳 青空が眩しい |
この日の山小屋は他の宿泊客は一人もなし。楽山会だけの貸し切り状態、個室を8部屋も用意してもらって最盛期は12人ほど入る部屋に3人とは贅沢三昧でした。
夕食まで食堂で登山談義、そして夕食後には夕日に輝く北アルプスの山々に見とれる。残念ながら、この日は満月、満天の星空は見えなかった。 |
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夕食 |
夕食風景 |
夕日に映える水晶岳(左)と鷲羽岳 |
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夕日に映える薬師岳 |
黒部五郎岳 |
夕日が沈む |
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≪二日目≫
朝食は6時、登山の準備をして出発。朝日に輝くアルプスの峰々を横に見ながら木道を薬師峠へ。そこでアイゼンの装着を指示して雪の上を歩き出す。足跡はない。沢伝いの登山道は雪の下、そこで沢を登り終えるまで沢に沿って歩くことにした。急な登りだがそのほうが安全だ。 |
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朝食 |
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青空の下、木道を歩く |
小屋前で集合写真 |
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木道が朝日に輝く |
あれが雲ノ平ですよ。 |
薬師峠でアイゼンを装着 |
小さな沢だから落ちてもケガはないだろうがずぶ濡れは登山が台無しになる。
しばらく進むと沢の上に突き上げ登山道に出た。そこから右に進み少し藪をシートカットして雪渓に出た。大きな雪渓だ。ここまで来ればもう問題はない。
あとは右に右にと移動して、その後はまっすぐ直登する雪渓登りだ。後ろを振り返れば北アルプスの雄大な景色、上にはこれ以上ない真っ青な青空、体は疲れていても足は自然と前に出る。
もうすぐ雪渓の上部先端に出る頃、単独の登山者に追い越された。たぶん折立まで昨日の夜に来たのだろうと、それにしても早い、声を掛けたら「年をとったのでゆっくり歩きです。」と謙遜した。 |
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雪の沢道を登り切る |
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ガレ場の登り |
雪渓を登る |
その雪渓を突き上げてアイゼンの脱却を指示、そして石のゴロゴロする登山道を薬師岳山荘まで登ったのでした。
そこで休憩、薬師岳山荘は7月オープンなのでまだ営業前、ここで重い荷物を置いて石英斑岩のゴロゴロする山道を登るのでした。
この頃から風も強まり、雲も出始めました。早く山頂へと、でも青空はまだまだたくさん。
避難小屋跡からは反対側の景色も望まれ、そこからはなだらかな斜面を山頂に。 |
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7月から営業の薬師岳山荘 |
避難小屋跡 |
稜線で反対側を見ながら休憩 |
山頂からの360度の景色、標高2926Mからの眺望は素晴らしい。
山頂は狭く、斑ごとの集合写真を撮り、暫し休憩ののち下山にかかる。
薬師岳山荘までの途中、単独の若い女性とすれ違った。ところがこの女性、すごい強者だった。翌日の「山レコ」でわかったのだが、この日折立を朝6時38分に出て、山頂11時59分、その後4分休憩ののち薬師岳山荘で15分の食事タイム、そして折立着が15時50分と我々の半分の時間で歩き通した。そしてその日のうちに山レコにレポートを。富山在住の会社員とか、すごいスーパーウーマンだ。 |
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山頂を後に |
帰りはルンルンですよ |
我々は薬師岳山荘で休憩ののち雪渓の入り口で再びアイゼンを付けて雪道を下る。ザクザクの雪なので下りは楽しい。
前にアルプスの景色を見ながらルンルンと下るのでした。雪渓の終わりでは、今度は登って来たルートは急なので、沢に入って沢を下るルート取り(これが正式ルート)、慎重に石を選んだり、大きな切り株を跨いだり、沢にかかる雪の上に乗ったりと、ここがスリル満点のところです。だって沢に落ちたら、小さな沢でもずぶ濡れになるのはいやですからね。 |
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雪渓下りは楽しい |
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中央が黒部五郎岳 |
この景色はもうすぐ終わりです |
太郎平小屋に戻って昼食を、あらかじめ頼んでいたカレーやラーメンを食べて下山にかかります。
石畳を歩いていると後ろから、あのスーパーウーマンが追い越して行きます。
この日すれ違ったのは彼女を含めて4人だけ、いずれも単独行。こんなにいい天気なのに、まだまだ危険な雪のアルプスだと思われているようで、我々はおかげで静かな登山を楽しんだのでした。
メンバーの皆様、お疲れ様でした。またどこかの山でお会いしましょう。 |
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こんな雪庇も通ります |
雪の沢下り |
バスの待つ折立 |
≪今回出逢えた花々≫ |
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