≪紀行文≫ |
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〜〜〜期間限定の頂で待っていた景色は〜〜〜 |
景鶴山は、日本三百名山で尾瀬ヶ原の北に位置する山。
登山道が無く積雪期以外は猛烈な藪漕ぎを要することから、登山時期は交通規制が解除される5月の連休からの積雪期に限定される。
◆一日目
平成最後の山行は、運よく天候に恵まれる。
連休前半の天気予報に雨マークが並ぶ中、山行の二日間だけに晴れマークがついた。
リーダーは前日の降雪による通行止めを懸念されていたがバスは問題なく鳩待峠へ。
標高1561mの鳩待峠は、まだタップリと雪が残り冬の装い。
快晴の下で身支度を整え出発、直ぐにアイゼンを装着し、山の鼻へ向けて約200mを下る。
数時間前は車窓から桜の花や新緑を眺めていたのに、今は雪景色の中を歩いている、まるで別世界に迷い込んだかのよう。 |
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鳩待峠は登山者、スキーヤーで大賑わい |
雪の壁に見送られて出発 |
正面に至仏山を望みながら雪上を進む |
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強い日差しと雪で「日焼け注意報発令」 |
200mを下って山の鼻に到着 |
雪上で昼食、「日焼け警報発令」 |
山の鼻でゆっくり昼食をとって、今夜の宿の竜宮小屋に向けて歩き出す。
尾瀬ヶ原は代名詞の木道も雪に覆われ白一色。
正面に燧ヶ岳、後方に至仏山、美しいその姿に、しばらく前を見て・後ろを見てを繰り返す。
天気よし、景色よし、気分よし!
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橋の周囲だけが雪解け、それ以外は雪、遠くに燧ヶ岳 |
足を上げて、腕を振ってワン・ツー・ワン・ツー |
しかし、山の鼻から約4Kmにおよぶ雪原歩きはさすがに長い。
くたびれて「山小屋はまだか?」と思い始めた頃、左前方に景鶴山が現れる。
以外と目立たない山容は「これで日本300名山なの?」という印象。
リーダーから明日のルートの説明を受け、長い尾根歩きに不安を覚える。
竜宮小屋は嬉しいことにお風呂が使える、木のお風呂で汗を流し、明日に備え早々と床に就く。 |
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明日登る景鶴山が左手に現れる |
ようやく竜宮小屋に到着 |
食堂から至仏山が良く見える |
◆二日目
いよいよ景鶴山、リーダーから要注意ポイント二つが伝えられる。
@ 踏み板が取り外されたヨッピ橋(落下すれば雪解け水の川にドボン)
A 山頂直下のやせ尾根(滑落すれば急斜面を滑ってあの世行き)
加えて、今日は鳩待峠まで戻る歩行距離16Km、累積標高(登り)930mのハードコースだ。
日の出前の4時30分に小屋を出発、青白い雪原をヨッピ橋に向かって進む。
早朝で締まった雪面にアイゼンの爪が小気味良く食い込む。
ヨッピ橋の手前でいったんアイゼンを外し、第一の要注意ポイント『ヨッピ橋』を渡る。
鉄骨に載せた足をゆっくり前に運ぶ、ガイド役のN/Nさんが橋の中間で見守ってくれるのが心強い。
渡り終えた場所にワカンなどの不要な荷物をデポし、笹山の南西側斜面に取りつく。 |
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早朝に集合、後方の至仏山が青白い |
アイゼンを装着し、いざ出発 |
景鶴山が徐々に近づく |
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ヨッピ吊橋は、こんな橋です |
踏板がないため鉄骨の上を歩く |
笹山の南西側から登り始める |
笹山のピーク付近で東電小屋からのルートと合流、既にしっかりしたトレースが付いている。
景鶴山の頂が見える鞍部で朝食、小屋で作ってもらったおにぎりをほお張る。
その後ブナやオオシラビソの林の中を、数回アップダウンを繰り返して標高1932mの与作岳へ。
与作岳で北側の展望がいっきにひらけ、目の前に残雪の美しい山々が登場する。
早速に山座同定が始まり、平ヶ岳、会津駒ヶ岳、会津朝日岳、守門岳、浅草岳、遠く粟ヶ岳、飯豊まで確認。 |
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前方の山頂を見ながら朝食 |
ブナ林を数回登って、下って |
シラビソには一昨日降った雪 |
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与作岳北側の眺望 @景鶴山 A平ヶ岳 B荒沢岳 |
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北西側の眺望 @荒沢岳 A守門岳 B浅草岳 C会津朝日岳 D会津駒ヶ岳 |
与作岳から少し下ると尖った景鶴山が間近に迫る、丁度山頂直下の急斜面を登っている人がいる。
「あれが第二の要注意ポイントの『やせ尾根』か、あそこを登るのか・・・怖い」
リーダーの指示で荷物を降して空身になり、滑りにくい上着に着替えて、山頂へアタックする。
足元を確認しながら一歩一歩「雪庇に近づかないように」とリーダーから注意が飛ぶ。
緊張感いっぱいの中「みんなで登れば怖くない」の言葉にしがみつきながら山頂へ。
山頂は21人がやっと立てるほどの広さだが、そこには素晴らしい展望が待っていた。 |
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登攀中の登山者にズームイン |
メンバーが要注意ポイントを登る |
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景鶴山の上部は思った以上に急斜面 |
山頂はもうすぐだ、ガンバレ! |
山頂には素晴らしい景色が待っていた |
日本百名山の至仏山と燧ヶ岳が右と左に、その間に真っ白な尾瀬ヶ原が広がる。
振り返れば、雪をまとった巻機山から燧ヶ岳までの大パノラマ。
美しい眺望に「来て良かった!」この景色を見て日本300名山に選ばれた理由を納得。 |
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雪原の尾瀬ヶ原を眼下に、日本百名山の至仏山と燧ヶ岳を一緒に望める贅沢な景色 |
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左に雪をまとった平ヶ岳、右に燧ヶ岳、そして、その絶景に酔うメンバー |
低木に取り付けられた小さい標識と代わる代わる記念撮影をし、後ろ髪を引かれる思いで山頂を後にする。
復路はガイド役さんの提案で、南東尾根を下りケイズル沢側の斜面を巻くルートを選択。
おかげでヨッピ橋までの時間を1時間近くも短縮。
要注意ポイントのヨッピ橋を再び渡り、山の鼻まで約4Kmを雪上行進。
これまで歩いてきたルートと景鶴山の頂を眺め、しばし感慨に浸る。 |
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交代で小さな標識と記念撮影 |
下山は最初南東尾根を下る |
途中で南西側の斜面を巻きながら下る |
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.赤色が登り、オレンジ色が下りで歩いたルート |
あのテッペンに登ったんだよね |
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♪足を上げてワン・ツー・ワン・ツー |
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♪その先にぁ、美味しい泡が待っている |
青空と白い雲、そして、残雪の尾瀬ヶ原と燧ヶ岳(2355S/Oさん撮影) |
山の鼻で大休憩をとり、ゴールの鳩待峠までの距離3Km、登り200mに最後の力を振り絞る。
鳩待峠に到着し全員でストレッチ、酷使した筋肉がほぐれ体が軽くなる。
ところが待機しているはずのバスがいない。
なんと、バスの長さが7mを越えていたため駐車ができず、戸倉で待機しているとのこと。
そのため、乗り合いバスで戸倉まで移動してから新潟への帰路についた。
平成最後の山行は、天候に恵まれ、一人では難しい景鶴山の頂に立つことができ、満足感いっぱいの山行となった。
リーダーさん、ガイド役さん「ありがとうございました」
そして、あの絶景を共有したメンバーのみなさん、良い山行でしたね「お疲れさまでした」
下山後SNSで調べたら景鶴山は植生保護のため1966年から登山が禁止され、積雪期のみ黙認されているのが現状とのこと。
土地の所有者が積雪期も入山禁止の意向があることから、事故などが発生すれば登山できなくなる可能性がある。
従って、今回登ることができたのは天候も含めて幸運だったといえるようだ。 |
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リーダーから、鳩待峠まで気を抜かずスリップ注意が伝えられる |
全員でストレッチ、これが効〜く |
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