会山行紀行文 2018年
6/1(金)-5(火)
下記記載
(れぶんとう)
礼文一周岳

490m(礼文岳)
参加者 (紀行文) 1862 Y/I
No−T25  グレード:D  18名
 担当リーダー 1151 R/N (男性6名・女性12名) (写真) 1862 Y/I
≪コースタイム≫
≪1日(金)≫
 新潟港山ノ下埠頭(新日本海フェリー/らべんだあ11:45発)〜
≪2日(土)曇り≫
 小樽港勝納埠頭(4:30着)=(R231)=増毛町=(R232)=稚内港(ハートランドフェリー/ボレアース宗谷14:45発)〜香深港(16:40着)
 …桃岩展望台往復…民宿香栄丸(泊)
≪3日(日)晴れ≫
 民宿発(6:30)=スコトン岬…浜中…レブンアツモリソウ群生地=澄海岬=北のカナリヤパーク=香深港(12:25発)〜稚内港(14:20着)
 …北防波堤ドーム&稚内公園散策…ANAクラウンプラザホテル稚内(泊)
≪4日(月)曇り≫
 ホテル発(8:00)=稚内公園開基百年記念塔=(R232)=増毛町=(R231)=小樽南樽市場=小樽港(17:00発)〜
≪5日(火)≫
 新潟港(9:00着)
≪紀行文≫
〜〜〜最北礼文島“花の浮島”を歩く〜〜〜

 日本列島の北の端(日本のてっぺん)に矢尻のような形をした島があります。この島には海のすぐ近くからたくさんの花が咲いています。
 氷河の時代からこの島に住んでいる花たちです。そして、魚を捕り、畑を作り、客をもてなして3,000人弱の島人が暮らしています。
 なだらかな丘を結ぶ小道が何本もあって、トレッキングを楽しむのにちょうどよい島です。
 寒く暗く長い冬。その分だけ短い夏は輝きます。湧き上がる海霧は島を潤します。海岸線からすぐのところに高山植物が群生する訳が良く分かりました。
 この島は、別名“花の浮島”と呼ばれています。高山植物のふるさとの島なのです。高山植物は、氷河時代に栄えた寒冷な気候を好む植物で、高山の森林限界周辺やその上部を主なすみかとする植物のことです。森林限界は本州の高山では標高2500m付近ですが、礼文島では礼文岳の森林限界が350mあたりで、場所によっては、標高わずか20mでハイマツが出現します。ところが、礼文島の厳冬期の最低気温はマイナス14℃くらいで北海道内陸部のマイナス30℃に比べるとそれほど低くはありません。むしろ寒冷地としては暖かいと表現しても良いのかも知れません。これは、日本海を北上する対馬暖流の影響なのです。
 また、この島は北西の季節風がとても強く、平均風速が9m/s(池や沼の水面に波頭がたつ)、最大20m/s(風に向かっては歩けない)以上の風が記録されています。この風の強さは、時速に換算すると、平均で32Km、最大で72Kmの車の窓から顔を出している感覚です。いかに風が強いか分かりますね。この強い風の為、島の東西で大きく植生が違っているのです。即ち、島の東側はトドマツやダケカンバの森が見られる亜高山帯の植生、西側は高山帯の植生へと一変し、視界が開けます。急斜面に高山植物の花々が生育するロックガーデンのような景観が広がっているのです。

 さて、前置きはこのくらいにして、今回のトレッキングを振り返ってみます。
 まず、自分にとっての第一印象は、日本のてっぺんは「遠いなあ〜」ということでした。新潟港からフェリーで約17時間、小樽から北上して稚内まで小型バスで約7時間、稚内から礼文島香深港まで小さなフェリーで約2時間、待ち時間も入れると実に片道29時間もかかっているのです。もう、うんざりを通り越して、この膨大な移動時間をいかに有効に過ごすかということが良い旅をする絶対条件であると悟りました。

 自分は、北海道の山行に参加するのは2回目でしたが、今回も普段の山歩きとは一味違ういろんなものを見せて貰いましたし、経験させて貰いました。いちいち書いていきますと、紙面がいくらあっても足りません。手短に箇条書きに綴ります。

 レブンアツモリソウ、今回のメインはこの花でしたが「種の保存法」による特定国内希少野生動植物種、北海道の天然記念物に指定されています。期待を裏切らない清楚できれいな花でした。この島でしか咲かないのですから、行くっきゃないですよね。

 スコトン岬、紺碧の海を見下ろし“最北限”の地に立っているという実感を感じました。ちなみに、日本の“最北端”はわずかな差ですが宗谷岬です。“最北端”と言えないので“最北限”と言うのです。シコタン岬の語源は、アイヌ語でシコトン(大きな谷)・トマリ(入江)=「大きな谷にある入江」という意味だそうですが、「スコタン」(夏の集落)との意味もあるそうです。即ち、わずかに夏の期間しか住めないほど過酷な地ということでしょうか。これはジャンボタクシーの運転手から聞きました。

 稚内港の北防波堤ドーム、古代ローマの建築物を思わせる防波堤は、稚泊航路(稚内―樺太大泊航路)が運航していた名残だそうです。ここに佇んでみて、何のためにこのドームを築いたのだろうと考えました。最果ての北の港、暴風や荒波、流氷は当たり前のはず、なのに何故こんなドームを作る必要があったのだろう。古ぼけた列車の動輪が置いてあるのをみて気が付きました。ここは最果ての港であると同時に最果ての列車の駅でもあったのです。人や貨物の荷卸しには何としてもこのドーム型の防波堤は不可欠だったのだろうと想像できました。

 今回のトレッキング、めったに行けない北限の地を踏むことができ感無量の気分です。北の大地の過酷さも垣間見れましたし、どんな過酷な地でも人間は果敢に生きてきたということも実感できました。思い出に残る旅となりました。 以上

 ≪1日(金)〜2日(土)≫
 新潟〜小樽=稚内〜利尻
 桃岩展望台往復
新潟港を離れ、期待を胸に秘めて、小樽へと向かいます。 早速オープンデッキでミーティング。調度お昼時、持ち寄った惣菜で話が弾みます。
 礼文島の軌跡です。移動はジャンボタクシーと徒歩でした。 新日本海フェリー、新潟−小樽航路“らべんだあ”14,173トン、全長198m、速力25ノット 小樽港から石狩湾沿いを北上し、増毛町で運転手交代。増毛はその昔、ニシン漁で栄えたレトロな町、これは千石蔵です。
延々バスに揺られて稚内に到着、船待ちの間は自由時間、ホッケのチャンチャン焼きは売り切れだったので、奮発してタコシャブ定食を食べました。 ハートランドフェリー、稚内−礼文島航路“ボレアース宗谷”3,578トン、全長96m、速力19.7ノット 礼文島香深港に上陸してすぐに桃岩展望台に行きました。お花はいっぱいあったけど、ガスと強風で寒かった。利尻富士見えず。
ハクサンチドリ ミヤマオダマキ、高山植物が普通に民家近くの道沿いに沢山咲いていました。 民宿香栄丸で夕餉のひと時、海の幸に舌鼓を打ちました。海が荒れていたため残念ながら生ウニは無し。
   ≪3日(日)≫
  利尻島
  ・スコトン岬
  ・浜中
  ・レブンアツモリソウ群生地
  ・澄海岬
  ・北のカナリヤパーク

  稚内
  ・北防波堤ドーム
  ・稚内公園散策

 
 ジャンボタクシー2台に分乗して島めぐり、まずは最北限の地スコトン岬です。先に見えるのは海驢島(トド島)。 ゴロタ山経由のトレッキングの予定でしたが、あまりにも強風、道を替えレブンアツモリソウ群生地まで歩きました。実に清楚な花でした。 
再びジャンボタクシーに乗り、澄海岬へ。強風には悩まされっぱなしでした。 北のカナリヤパーク、映画のロケ地です。ここに利尻富士が写っていたら素晴らしい風景なのですが。  その日のうちに稚内に渡り、再び“北の防波堤ドーム”を見学。全長427m、円柱70本の柱廊風のゴシック建築を模した重厚なデザイン。
ドームの中はこんな感じ、本当に古代ローマの宮殿のようです。北海道遺産に指定されています。 海側から見るとこんな感じ。  ノシャップ岬の丘陵地(標高200m)に広がる稚内公園を一人で散策、市内が一望できました。目障りな白いビルがANAのホテルです。景観を損ねていると思います。 
 
南極観測樺太犬訓練記念碑、映画「南極物語」を思い出しました。  日本最北端の駅“稚内駅”おりしも列車が到着しました。行き止まりの線路。
  

  ≪4日(月)≫
  ・稚内公園開基百年記念塔
  ・小樽南樽市場
   
4日目の朝からはもう帰路につきます。小樽に5つある市場の一つ「南樽市場」で買い込みです。  17:00小樽港を出港、また来れるかな?名残りが尽きんません。  まさにサンセットクルージング。素晴らしい。
  
皆さんのお顔も晴れやかです。