≪紀行文≫ |
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〜〜〜初めてのルートで紅葉の大朝日岳へ〜〜〜 |
昨年の秋、蒜場山の山頂で出会った方から教えてもらったルートで大朝日岳へ。
「山全体が真っ赤に染まり、今までの紅葉で一番素晴らしかった」と話されたのは、小国町の針生平から大玉沢分岐を経由するルート。
しかし、事前調査で不安ポイントが2つ。
1.吊橋が四か所、その内二箇所が一本丸太の吊橋、落ちたら大怪我または溺死?
2.累積標高(上り)約1700m、特に心配なのは大玉沢出合からの700mの急登。
◆10/15 (曇り)
登山口の針生平駐車場に他の車なし、天気は曇り、気温8℃肌寒さを感じながら身支度を整える。
ブロック作りの小屋に登山届を投函し、水2.8リットルが入った15kgのザックを背負って出発。
直ぐに不安ポイントの吊橋が現れる、一つ目(大石橋)は足場板一枚の吊橋。
3年前の会山行(祝瓶山)で渡った時と比べて足場板が片側に寄っている、そのためワイヤーが片側しか持てずバランスが取りにくい。
祝瓶山の分岐を過ぎて間もなく二つ目の吊橋。
鋼製の足場板が一枚渡してあるが、ワイヤーの位置が低いため中腰で歩きづらい上に揺れる。 |
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登山届を投函して出発 |
一つ目の吊橋 |
二つ目の吊橋 |
祝瓶山の分岐から先は初めて歩く、大玉沢出合までは平坦に近い登山道が続く。
ストックと腰に付けた2個の熊鈴が、カラン・コロン、チーンとにぎやかに鳴ってくれる。
人があまり入らないコースのはずなのに登山道がよく整備されていてありがたい。
角楢小屋の手前で三つ目の吊橋、これが心配していた一本の丸太をワイヤーで吊ったもの。
足を滑らせないよう靴を逆?の字に置きながら渡る、揺れはあるが、高さが10m程度で足がすくむ程の恐怖感はない。
登山口から2時間歩いて四つ目の吊橋、これも一本丸太。
一部が朽ちて丸太の無いる部分があるが、2本のワイヤーに足を置きながら進む。
早く渡り切りたい気持ちに「落ち着け」とブレーキをかけながらクリア、復路でもう一度お世話になることは忘れ一息つく。 |
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大きくて、高いブナの木に囲まれた登山道を進む |
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所々で葉の色付き |
三つ目の吊橋 |
ワイヤーを踏んで前進 |
すぐに、第二の不安ポイント700mの急坂に取りつく。
約2時間登り続けるが両手を使うほどの激坂はない、登山道に落ちているドングリの実や松の葉の絨毯を見ながらゆっくり高度を上げる。
次第に葉の色付きが濃くなり、所々で木々の間から山の姿が見え始める。
西朝日岳から南西に伸びる尾根のようだが、紅葉は全然ぱっとしない、「真っ赤に染まる」って、これのこと、じゃないよね。
後方に現れた東北のマッターホルンと称される祝瓶山が、気分を良くしてくれる。 |
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紅葉と赤い実 |
遅咲きのミヤマママコナ |
山の姿が見えてきたが |
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徐々に良い色付きになる |
蛇引の清水付近は黄色 |
個性的な山容の祝瓶山 |
1255mまで登ると展望のきく尾根に出る、ここの紅葉の素晴らしさに驚きの声を上げる。
大きな木は落葉して白い枝になっているが、北大玉山を覆う低木の彩りは見事だ。
大玉山から北大玉岳につながる尾根の色付きも良い。
前方の奥に姿を現した大朝日岳、西朝日岳と紅葉のコラボもたまらない。
教えてくれたのは、この場所に違いない、しかし、真っ赤に染まってはいない?
時期が遅かったのか、台風で葉をもぎ取られたのか、夏の猛暑で精魂尽き果てたのか・・・残念。
赤が無くても見応え十分の紅葉に夢中でシャッターを押しアッという間に30分、明日また観られると自分に言い聞かせて北大玉山へ向う。
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1255mの尾根で現れる紅葉の北大玉山、左奥が目指す大朝日岳 |
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白い木と低木の紅葉 |
祝瓶山(右)から大玉山(中央)を経由して北大玉山へ繋がる尾根 |
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平岩山と繋がる御影森山 |
紅葉は1000m前後が見ごろ |
北大玉山東面の草紅葉 |
平岩山まではキレイに枝払いされた登山道を進む、これは本当にありがたい。
アップダウンはあるが、スケールの大きな景色、右に左にと現れる紅葉の波状攻撃に疲れなど感じている暇はない。
こんなにワクワクしながら山を歩くのはいつ以来だろう、来てよかった。
平岩山で冷たい風が当たり始め、ウインドブレーカーを取り出す。
そして、大朝日岳へラスト300mの急登、息が荒くなるが冷たい風の空冷効果で不思議なほど辛さはない。 |
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北大玉山からの眺望 @袖朝日岳 A西朝日岳 B中岳 C大朝日岳 D平岩山 |
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平岩山から望む大朝日岳 |
山頂は右ピークの後 |
1870mの山頂に到着 |
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東側に小朝日岳 |
太陽が雲に隠れだす |
東側眼下にできた影朝日 |
1870mの山頂で眺望を楽しんでから大朝日小屋へ、昨日管理人が降りた小屋の宿泊者は私を含めて11人。
金玉水(きんぎょくすい)まで下って水を補給、この水は雑味がなく美味しい、自宅のコーヒー用に少し持ち帰る。
早い夕食をとって落日を見に再び山頂へ、しかし、残念ながら太陽が沈む前に雲に隠れる。
小屋に戻り早々とシュラフに入るが、今日の絶景が次々と脳裏に浮かび、なかなか眠りにつけない。
◆10/16 (晴れ)
朝から晴れ、小屋の前でご来光を拝んでから出発。
昨日歩いたコースを戻るためもう一度山頂へ、昨日は雲の中だった以東岳、月山、鳥海山が姿をみせる。
遠方の磐梯山、蔵王連峰、吾妻連峰の展望を楽しんでから山頂を後にする。
直ぐに砂の急斜面を下る、滑らないよう小股で足を運ぶが危なっかしい。
昨日たっぷりと見た景色なのに、太陽の光が当たった紅葉の鮮やかさに何度も立ち止まる。 |
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蔵王から現れたご来光 |
朝日を浴び赤色に染まる中岳と西朝日岳 |
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朝日で輝く縦走路、中央のとんがりが祝瓶山 |
袖朝日の岩肌は1600mと思えない迫力 |
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平岩山から縦走路を望む、遠くに@祝瓶山 A徳網山 B光兎山 C鷲ヶ巣山 |
次回のために平岩の清水を調査、往復15分、水の勢いが弱いため一寸汲みにくそう。
1255mの「ビックリ尾根(と勝手に命名)」で素晴らしい展望とお別れ、そして、700mを一気に下る。
途中で蛇引の清水を調査、往復約10分、水は音をたてて勢いが良い、味に若干雑味あり。 |
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光が当たり鮮やかさアップ |
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ビックリ尾根を俯瞰 |
ウットリする山肌の彩り |
大朝日と紅葉のコラボ |
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倒れている平岩の清水の標識 |
蛇引の清水の標識は新しい |
ドングリが一つコロリ |
1時間20分かけて大玉沢出合へ、途中2回も尻もちをつき技術、体力、集中力のなさを嘆く。
吊橋はふんどしを締め直して(表現が古典的過ぎ?)渡る、ところが、2本目の吊橋で傷害事例発生。
足元ばかりに注意がいき、ワイヤーを手繰っていた左手をワイヤーのささくれに刺してしまう。
親指の爪の間に突き刺さり激痛、消毒液をかけてバンドエイドで処置、出血も止まり腫れもなく安堵。 |
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大きな落ち葉の登山道 |
室内が整理されていた角楢小屋 |
初めて見たコマユミの赤い実 |
最後の吊橋を渡ると駐車場手前の河原で7人の方が芋煮会を楽しんでいる。
「芋煮会、いいですね」と声をかけると「食べて行くかい?」
幸運にも、どんぶり一杯の芋煮をご馳走になる、これが取れたてのキノコがたくさん入っていて「うまい!」
「イクラも入れてみな」と勧められ、これも「うまい!」小国町にある会社のOBの集まりだとのこと。
「大朝日の紅葉は最高、芋煮の味も最高です」とお礼を言って駐車場へ。
結局期待していた真っ赤に染まる紅葉は見ることが出来なかった、あのビックリ尾根が赤に染まるのだろうか?
来年の秋このコースをもう一度歩こうか思案しながら帰路についた。 |
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吊り橋から荒川を撮影 |
美味しく頂戴した芋煮 |
ごちそうさまでした |
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