会山行紀行文 2018年
8/2(木)
曇り時々晴れ
(だいこくてん・かつただけ・くまのだけ)
大黒天〜刈田岳・熊野岳

     1758m
 1940m
参加者 (紀行文) 1866 S/T
No−97 グレード:C 17名
 担当リーダー 1866 S/T (男性6名・女性11名) (写真) 1866 S/T
≪コースタイム≫
新潟駅南口(6:00)=関川=上山(9:10)=蔵王エコーライン=駒草平・大黒天(10:15-10:45)…剣ヶ峰…刈田岳・レストハウス(11:50-12:40)…馬ノ背…熊野岳(13:30)…避難小屋(13:45)…レストハウス(14:40-14:55)=上山(15:40)=新潟駅南口(19:00 解散)
≪紀行文≫
〜〜〜あまり知られていない大黒天からの刈田岳登山〜〜〜

 今年の夏は過去最高の記録的酷暑の連続であり、今回の蔵王山系は草木の無いガレ地質なので日陰が無く、熱中症などの危険がとても心配でした。
 ところが現地に来てみれば、曇り空で太陽は隠れており心地良い風も有って涼しく、最高の山日和!でした。

 山形県上山市の国道13号から蔵王エコーラインに入り、どんどん高度を上げて県境の刈田峠へ。更に宮城県に入って駒草平でバスを降りました。
駒草平の展望台 蔵王山系の展望を楽しみます 駒草平の茶屋&売店

 駒草平はコマクサの大群落と、火山によって創られた荒々しい地形を望める展望台があります。残念ながら、コマクサの最盛期は既に終わって、所々で見られる程度でしたが、展望を楽しんでから大黒天まで戻り、刈田岳への登山がはじまりました。
一ヶ月早ければコマクサの大群落が… お釜から流れる不帰の滝 ポツポツと所々にコマクサ

 大黒天の登山口からしばらくは階段が続きますが、私たちの足元には、アサギマダラが次々と出現しその美しい羽根を羽ばたいて見せてくれます。あまり人を恐れず羽根模様が美しいので人気だと聞きますが、蝶と遊ぶ気分の楽しい体験でした。
大黒天の登山口。道路反対側に駐車場、観光客の姿も 人懐っこいアサギマダラ

 右手に蔵王の風景を楽しみながら、しばらく階段を登ると刈田岳避難小屋があります。この地の避難小屋は、登山者の為というよりもお釜が噴火した時の観光客の避難を目的としています。その為に、石造りであり、中には水などと共に頭を護るヘルメットも常備されています。
 今回のコース、案内板 噴火の歴史を示す、積み重なった地層が見られます  
暑くなく程よい風に吹かれながら ヨツバヒヨドリがたくさん見られた 長い階段も順調に登る

 大黒天から約一時間、避難小屋のすぐ先が、もう刈田岳・1758mの山頂です。
 広い山頂には、刈田神社があり、お釜や熊野岳などの見晴らし展望も優れた絶景の地です。反対側のレストハウス側からはすぐの距離なので、観光客の姿もたくさん見られます。
 刈田岳避難小屋  小屋内部の注意書きと用意されたヘルメット 
観光客もいる刈田神社 神社前からのお釜と山頂標識 参拝を終えてレストハウスへ

 風が無ければ山頂でと思っていた昼食ですが、少し強くなってきた風を避ける場所も無いので、レストハウスの広い待合室で、観光客に交じっての昼食としました。
 食事を終えて熊野岳へ出発する頃には、半袖のシャツでは寒いくらいなので、長袖を着ての出発です。

 右手にエメラルド色のお釜を見ながら、左手からの風を受けつつ歩きます。蔵王のお釜(噴火の火口湖)は歴史的に何度も噴火しており、大正時代を最後に噴火はしていませんが、現在も火山性ガスが発生したりするれっきとした活火山です。
 今も時々火山性微動による警報が発令され、今年の2月にも警報と共に、半径2km以内への立入りが禁止されました。
馬ノ背を過ぎ、最後の急坂に付けられた斜道を登り切れば熊野岳・1841mです。
避難誘導を示す立看板が何ヶ所も 刈田岳とレストハウスを後に見ながら 最後の斜道を登れば熊野岳

 何も遮るもののない平原に熊野岳神社と山頂を示す標柱が建っており、更に、あまりにも有名な斎藤茂吉の句碑「陸奥(みちのく)をふたわけざまに聳えたまふ蔵王山の雲の中にたつ」があります。
 茂吉の句碑をバックに集合写真を撮り、北蔵王、山形市や上山市、南蔵王、仙台方面の風景を楽しんでから下山に掛ります。この頃より黒い雲が現れて雨の心配もしましたが、ついに降ることなく全行程を歩くことが出来ました。
 山頂標識、以前は貫録の標識だったけど…  熊野岳神社に参拝  斎藤茂吉の句碑

 下山は熊野岳避難小屋を経由し、お釜を左手に見ながらレストハウスへと帰ってきました。やはりこの小屋も頑丈な石造りであり、内部にはたくさんのヘルメットが積み上げられていて、火山の怖さについて考えさせられるものがありました。
 山頂を後に避難小屋へと向かう  天井の落ちた古い小屋跡  コンクリートと石造りの現小屋
 小屋前から下山します  静かに鮮やかな姿のお釜 終点のレストハウスに帰ってきました 

 今回の山行目的は、@観光コースとは違ってあまり知られていない大黒天からの刈田岳登山、Aコマクサの群落に会う、B蔵王のシンボルお釜を色々な角度から見る、C火山特有の避難小屋の様子を確認するなどの目的がありましたが、コマクサはやや残念ながら、下界では味わえないこの時期の涼しさを感じつつ全部の見どころをクリアすることが出来ました。
 新しい会員さんも何名か参加されていましたが、満足された様子であり、充実の山行だったと思います。 (おわり)
刈田岳山頂での集合写真 熊野岳、茂吉の句碑をバックに集合写真