≪コースタイム≫ ◆28日(月)晴れのち曇り
新潟駅(6:15)=北陸道=糸魚川IC=扇沢(10:30‐10:50)…大沢小屋(昼食12:10‐13:00)…針ノ木雪渓…針ノ木小屋・泊(16:30)
◆29日(火)曇り時々晴れ
針ノ木小屋(4:30)…針ノ木岳(5:25‐40)…針ノ木小屋(朝食6:30‐7:35)…蓮華岳(8:45‐9:00)…北葛岳(昼食12:05‐50)…七倉岳(15:00‐10)
…船窪小屋・泊(15:30)
◆30日(水)小雨のち曇り
船窪小屋(6:50)…七倉登山口(11:00‐10)…七倉山荘(入浴・昼食11:15‐13:10)=新潟駅(17:50) |
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≪紀行文≫ |
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〜〜〜後立山連峰を歩き、憧れの小屋に泊まる〜〜〜 |
山行中の天気予報は二日間が曇りと晴れで、三日目が雨、今年の北アルプスは夏らしい天気が少ないと聞くのでまずまずか。
2800mからの北アルプスの眺望に期待しながら新潟を出る。
◆一日目(累計標高差:登り1150m、下り:30m、距離4.7km)
青空が顔を出した扇沢でバスを降り身支度を整える。
山小屋に確認を取ったリーダーからアイゼン携帯不要の指示、3日間担ぐザックが軽くなってありがたい。
初日は針ノ木雪渓を辿り、標高2536mの針ノ木小屋まで、標高差約1200mをひたすら登る。
出発して間もなく前方に針ノ木岳が姿を見せる、久しぶりに見る後立山連峰の連なりに気持ちが高まる。
大沢小屋で昼食をとり、いよいよ雪渓、しかし、いくら日本三大雪渓でもこの時期は崩壊が進み、歩けるのはほんの一部。
雪融け水の流水音に清涼感をもらいながら高巻道を進む、振り返って見る爺ヶ岳が次第に大きくなる。
雪渓を過ぎて斜度を増した登山道を、ウサギギクなどのお花に励まされながら高度を上げる。 |
歩いたルート(クリック拡大) |
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遠方に目指す針ノ木岳 |
大沢小屋に到着 |
小屋の中でゆっくり昼食 |
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針ノ木雪渓が徐々に近づく |
雪融け水の川を渡る |
針ノ木雪渓を進む |
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勢いよく流れる雪融け水の先に爺ヶ岳(中央) |
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雪渓を過ぎてからが長い |
足元のお花に励まされて |
斜度を増した岩場を登る |
最後の急斜面、何度も繰り返すジグザグの登山道にウンザリしながら、小屋が建つ針ノ木峠へ。
小屋は男女とも、楽山会だけで部屋を使わせてもらい、他の登山者に気兼ねすることなく寛ぐ。
夕食後、小屋の前で北アルプスの大パノラマを観ながら「あれが前穂」「イヤ違うな」などと楽しむ。
気になるのは明日歩く北葛岳と七倉岳、その険しい稜線に不安と期待が入り混じる。
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虐待と感じるジグザグ道 |
今日のゴールに到着 |
針ノ木小屋に荷を降ろす |
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夕食の主菜はサバの味噌煮 |
北側の展望@鳴沢岳A赤沢岳B爺ヶ岳C鹿島槍ヶ岳 |
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南側@北葛A餓鬼B唐沢C燕D大天井E七倉F前穂G槍H野口五郎I不動J烏帽子K水晶L赤牛 |
◆二日目(累計標高差:登り1060m、下り:980m、距離7.6km)
二日目は、夜明け前の針ノ木岳(日本200名山)の登りから。
ヘッドランプを点けて朝飯前に標高差約290mを往復する。
期待した御来光はガスに阻まれたが、眼下に見える黒部湖に声が上がる。
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真っ暗な中、行動開始 |
ガスの切れ間に、黒部湖が見えた |
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下山道の先に蓮華岳 |
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針ノ木小屋と次に登る蓮華岳 |
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日本二百名山の針ノ木岳の山頂で記念撮影 |
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小屋に向かって岩の道を下る@七倉岳A船窪岳 |
針ノ木小屋に戻って朝食をとり、いよいよ三つのピークを巡るアップ(↑)ダウン(↓)がスタート。
最初のピーク蓮華岳へ標高差260mを登り(↑)、蓮華の大下りを520m降って(↓)北葛乗越へ。
そこから二つ目の北葛岳まで280mを登り(↑)、220m降って(↓)七倉乗越へ。
そして、最後のピーク七倉岳まで180mを登る(↑)。
終日14m/sの強い風が吹く天気予報に一抹の不安を感じながら蓮華岳の登りに取りつく。
蓮華岳は高山植物の女王「コマクサ」の群生地、しかし、時期が遅くコマクサは後期高齢者状態。
それでも、強い風を受けながら咲く姿は、枯れても女王という気高さを感じさせる。
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強めの風とガスの中を進む |
高山植物の女王コマクサ |
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蓮華の登りで小屋を俯瞰 |
蓮華の山頂が見えてきた |
山頂の上空に青空が顔を出す |
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日本三百名山の蓮華岳の山頂で記念撮影 |
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山頂から蓮華の大下りを俯瞰@北葛A七倉B不動C船窪 |
蓮華の大下りは足元の石がとても崩れやすい、ここで落石させたら下を歩く仲間に石で絨毯爆撃を浴びせ、業務上過失致死傷罪は免れない。
「崩すな、落とすな、転がるな」と唱えながら足を運ぶ、仲間の命と残り少ない自分の人生がかかっているため、予想以上に疲労感を感じる。
心配した風も何時しか治まり、雲が上がって、眼の前に北アルプルの雄大な景色が広がる。
北葛乗越の手前で、水晶岳、赤牛岳、薬師岳が姿を現す「この景色が観たかった!」
ここから斜度を増した岩の鎖場が続く、「急かすな、石を落すな、命を落とすな、おっ、とっ、とっ」
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岩場の急な下りが続く |
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高度感のある登山道 |
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蓮華の大下り、細心の注意で足を運ぶ |
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前方に@針ノ木岳を見ながら高度を下げる |
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雄大な景色に囲まれ、北アルプスを感じながら歩を進める |
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北葛乗越の手前、遠くに@水晶岳A赤牛岳B薬師岳 |
眼下に北葛乗越の鞍部 |
北葛乗越の鞍部から登り返して、たどり着いた北葛岳の山頂でお楽しみの昼食。
「えっ、これで800円!」小屋に注文したお弁当の中身が、おにぎり二つだけと知りブーイング。
せめて、『山頂からの景色をおかずにお召し上がりください』とコメントでも入れたら良いのに・・・
そう思うほど山頂からの展望は素晴らしく、特に歩いて来た針ノ木から蓮華の稜線はいくら観ても観飽きない。
(えっ、持って行き方に無理がある?)
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ミヤマコゴメグサ |
蓮華岳を背後に北葛岳の山頂を目指す |
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北葛岳の山頂、360度の展望を楽しみながら昼食@針ノ木岳A蓮華岳 |
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終盤も急な登りが続く |
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七倉乗越の鞍部を覗き込む |
鞍部からの登り返し |
左が切れ落ちた岩場を進む |
七倉乗越の鞍部から、左側が切れ落ちた痩せ尾根を登って、最後のピーク七倉岳に到着。
ここまでくれば一安心と皆さん安堵の顔「早くシュワシュワが飲みたい」「部屋に入る前にビールだね」
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七倉岳の山頂で一休み、慌てない、慌てない船窪小屋まではあと少し |
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振り返れば今日登った@針ノ木岳A蓮華岳B北葛岳、そしてここが七倉岳 |
緩やかな稜線を歩いて船窪小屋へ、屋外のテーブルで全員に暖かなお茶が振舞われる。
船窪小屋は発電設備がないため照明はランプ、食堂には囲炉裏、当然冷蔵庫はなく食材の保管は岩穴。
後で知ったがおもてなしで人気の山小屋で、今回の山行でもこの小屋を目的に参加した方が数人いらした。
夕食の主菜はなんと山菜と野菜の天ぷら、標高2450mで27人分の天ぷらを作ってくれたことに驚く。
おかわり自由の古代米など、おもてなし感いっぱいの夕食、〆にクロマメノキの実とルバーブのデザートをいただいて大満足。 |
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青い屋根の船窪小屋が見えた |
憧れの船窪小屋に到着 |
屋外のテーブルで祝杯 |
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食事は囲炉裏のある食堂で |
照明はランプの光り |
おもてなしの夕食 |
夕食後別の部屋の登山者から声が大きいと苦情、憧れの山小屋で静かに過ごしたい登山者にとってとんだ迷惑。
「苦情が来ていますので静かにしてください」と繰り返される声に「なさけない」
◆三日目(累計標高差:登り30m、下り:1420m、距離4.1km)
最終日はバスが待つ七倉山荘まで、約1400mを一気に降る。
天気は朝から小雨、予想通りとは言え上下雨具を着ての下山は気分が重い。
しかし、小屋のスタッフが手を振り、鐘を鳴らして賑やかにお見送り、おかげで明るい気分で出発。
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朝も古代米をおかわり |
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スタッフも加わり小屋前で記念撮影、撮るたびに鐘が「カーン」 |
スタッフに見送られ出発 |
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岩に思いやりのメッセージ |
○の中に雷鳥がいます |
雷鳥にズームイン |
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天狗の庭、映画のような景色に「オオッと驚く」 |
ガスと雨の寂しい登山道に、なんとサプライズが二つ。
一つ目は登山道に現れた雷鳥、三羽も登場して目を和ませる。
二つ目は絶景、天狗の庭でガスがとれ目の前に幻想的な風景、自然が作り出した映画のような景色に「うゎー、凄い!」
樹林帯に入る頃に雨があがり、雨具から解放されて身も心も軽くなる。
しかし、ここから木製の梯子が飽きるほど続く「鼻突き八丁」と呼ばれる急坂に苦しめられる。
そこをクリアした後も、ぬかるんだ土や滑る岩の長〜い登山道を降って、登山口へ。
バスの待つ七倉山荘の天然温泉で汗を流した後は、冷えた生ビールで喉を潤し、銘々予約しておいた食べ物をいただく。
「きつい山行だった」「もう来ることはないね」「今までで一番ハード」の声が出る程きつかったコース、大きなケガもなく完歩することができて、皆さん笑顔。
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樹林帯の急坂を降る |
緑濃い登山口に到着 |
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梯子が続く鼻突き八丁の坂 |
山荘で入浴と昼食 |
ダムカレーの味は☆2つ半 |
最後にベテランの先輩会員から聞いたお話を紹介。
「初日の雪渓で降りて来た人から、『27人の大人数なのに、遅れる人もなく、全員で登ってこられたのは大したもの』と言われたが、これはメンバーの足並み(力量)が揃っていたことと、リーダーの的確なリーダーシップのおかげ」
あらためて険しい山行を安全登山に導いて下さったリーダーに感謝。
そして、忘れてはなりません3日間27人分の大金を管理して下さった会計のお二人に感謝。
(?十万円を入れたザック、さぞかし重く感じられたことでしょう)
期待していた眺望は100点満点ではなかったが、それを補うに余りある沢山の出会いと喜びがあった3日間。
「良い山行だった」と満足感に満たされながら帰路についた。
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