会山行紀行文 2016年
 10/14(金)〜15(土)
晴れ
谷川岳馬蹄形縦走
(反時計回り)
1978m(茂倉岳)
参加者 (紀行文) 2216 S/K
単独
(男性1名) (写真) 2216 S/K
≪コースタイム≫
◆1日目
自宅(2:40)=(関越道)=水上IC=白毛門駐車場(5:20-5:50)…松ノ木沢の頭(7:50-8:00)…白毛門 (8:50-9:00) …笠ヶ岳(10:10-10:20)
…朝日岳(11:50-12:20)…清水峠(14:15-14:25)…七ツ小屋山(15:20) …蓬峠(16:10)
◆2日目
蓬峠(5:50)…武能岳(6:50-7:00)…茂倉岳(8:55-9:05)…一ノ倉岳(9:25-9:35) …オキノ耳(11:00-11:10) …トマノ耳(11:20-12:05)
…西黒尾根登山口(14:50) …白毛門駐車場(15:15)
≪紀行文≫
  〜〜〜沢山の山の魅力に触れられたことに感謝する〜〜〜
(1日目)
 スッキリしない天候が続いていた10月、ようやく天気予報「晴」のマークが2つ並び、満を持して谷川岳馬蹄形縦走へ。
 白毛門から反時計回りで歩き清水峠でテント泊、2日目は谷川岳を経て西黒尾根か天神尾根で下山する。
 久しぶりに担ぐ18Kgのザックが肩に食い込むほど重く、白毛門の急登はゆっくり、ゆっくり登るが、岩場は体が動かず苦戦する。

 しかし、天気は快晴で展望が素晴らしい、白毛門から望む谷川岳と一ノ倉岳の大岩壁、最後にあのてっぺんに立つと思うとワクワクする。
 楽しみにしていた紅葉は今ひとつパットしないものの、笠ヶ岳手前の見事な色付きに足が止まる。
 1852mの笠ヶ岳山頂から、明日辿る七ツ小屋山から谷川岳に至る長い縦走路を望む、初めて歩く稜線に不安と期待が入り混じる。
松ノ木の頭から見上げる白毛門 迫力満点の谷川岳と一ノ倉岳の岩壁
笠ヶ岳手前の樹々には紅葉が残っている  笠ヶ岳から、これから向かう朝日岳を望む 
馬蹄形縦走路@谷川岳A一ノ倉岳B茂倉岳C武能岳D七ツ小屋山E大源太山

 朝日岳までは今年の夏にピストンしているため、落ち着いて歩くことができる。
 蓬峠から来た登山者数人とすれ違う内に、左前方に個性的な山容の大源太山と清水峠が現れる。
 1945mの朝日岳で越後三山、平ヶ岳、尾瀬燧ヶ岳、至仏山に囲まれながらお昼をいただく。

 西側から南側を観れば、日光白根山、上州武尊山、赤城山、子持山の青いスカイラインが美しい。
 開放的な朝日ヶ原の木道を進むと、巻機山が大きくなり10月1日の記念山行で登った思い出が蘇る。
@七ツ小屋A大源太B清水峠 西側の眺望@尾瀬燧A至仏B日光白根C武尊山
朝日岳から北側の眺望@越後駒A中ノB荒沢C平ヶ岳D八海山(少しだけ見える)
朝日岳から南側の眺望@皇海A武尊B赤城C子持山 巻機山が大きくなる

 ジャンクションピークからの下りは、北側の斜面が所々で切れ落ちている上に、細い登山道が湿っていて滑りやすい。
 落ちたら怪我では済まない「滑るぞ、滑るぞ」と声を出しながら慎重に足を運び、ようやく西側に出る。
 そこには紅葉の尾根が待っていた、陽を浴びた錦の彩りの美しさに何度も立ち止まってシャッターを押す。

 14時過ぎに宿泊予定地の清水峠に到着、日没まで3時間あるため蓬峠まで行くことにする。
 ここからは笹の中の登山道を進む、太陽の光で笹がキラキラ輝き、その先に明日登る大きな武能岳と茂倉岳、
 左手には歩いてきた笠ヶ岳から朝日岳の峰々、こんな素晴らしい景色の中を歩ける幸せを噛みしめながら歩を進める。
清水峠手前の尾根は錦のいろどり 七ツ小屋山の手前から武能岳、茂倉岳を望む
歩いてきた峰々@白毛門A笠ヶ岳B朝日岳 陽の沈んだ空に月が淡く光る

 蓬峠でテントを張り、往復20分の水場で水を補給している内に太陽が苗場山に沈む。
 辿ってきた稜線のシルエットと月を愛でながらお酒をいただく、コンビニで買った日本酒が、大吟醸ほどに美味しく感じられる。
 心地良い疲労感と共にシュラフの中で眠りにつく。
(2日目)
 朝焼けで空が朱色に染まる中、霜のついたテントを撤収して蓬峠を出発。
 朝から快晴、前に出たがる足にブレーキをかけながらゆっくり歩く。
 笠ヶ岳の鞍部から現れたご来光が武能岳をオレンジ色に染める、一日の始まりを告げる美しい光景に心が揺さぶられる。

 1759mの武能岳で、万太郎山、仙ノ倉山と平標山へ連なる峰々が視界に入る。
 この景色がまた魅力的で、いつか平標山まで縦走してみたいという思いを強くする。
朝の冷たい空気の中、まずは武能岳を目指す 白毛門と笠ヶ岳の間からご来光が現れる
朝日を浴びて武能岳の山肌が染まる 陽の光が蓬峠に朝の訪れを告げる
いつか歩きたい谷川岳から平標山への連なり@万太郎山A仙ノ倉山

 今回の山行で一番魅かれたのは、名は体を表す「武能岳」谷川岳側から見る姿が実に力強くてカッコイイ。
 茂倉山への登りで馬蹄形を一日で踏破するというトレイルランナー、登山者と言葉を交わす。
 私の力では到底真似などできない、人生いろいろ、山の楽しみ方もいろいろである。

 1977mの茂倉岳は山頂の存在感がなく、その先の一ノ倉岳を山頂と勘違いし通過してしまう(喝!しっかり地図を見ないとダメじゃないの)
 1974mの一ノ倉岳から急坂を下ると大岩壁を真上から見下ろせる「ノゾキ」吸い込まれそうな景観に、ちょっとのぞいて二歩下がる。
武能岳の男性的な山容がカッコイイ 一ノ倉岳から谷川岳を望む、右は万太郎山
一ノ倉岳から@笠A清水峠B七ツ小屋C武能D尾瀬燧E駒F中ノG巻機山
ノゾキをパノラマでのぞく 人が多くなった一ノ倉(中央)からの稜線

 この辺りから登山者が多くなり、1977mのオキノ耳では記念撮影の順番待ちで列が出来ている。
 紅葉の時期、快晴の土曜日、考えることは私を含めて皆一緒、聞けば登りのロープウェイは1時間待ちだったとのこと。

 道を譲ったり譲られたりしながら、最後のピーク1983mのトマノ耳に到着。
 これで馬蹄形の主要なピークを全て踏んだことになるが、人が多すぎて感慨に浸る雰囲気などではない。
 少し下がったところに空いているスペースを見つけ、白毛門を見ながら昼食をいただく。
1977mのオキノ耳に到着 オキノ耳からトマノ耳を望む トマノ耳から登山者が溢れそう

 天神平の登山道に出来ている行列を見て西黒尾根を下りることにしたが、想像以上に厳しいコースに手ひどくやっつけられる。
 長い急坂で消耗した脚と股関節が言う事を聞いてくれない、動きはさながらグリスが切れ錆びついたロボコップ。
 何度も出現する滑りやすい蛇紋岩の鎖場を、危なっかしさ丸出し、冷や汗流しっ放しで下降する。
疲れた体に、この下りは非常に非情
こんな岩の下りが何度も現れる 見上げてみました、中央トマノ耳、右オキノ耳

 鎖場にうんざりしていると、下から登って来た女性のグループから「あっ、また鎖だ!」の声、
 よせばいいのに「またと言うことは、下にまだ鎖場があるということですか?」と尋ねる、答えは当然「ありま〜す」
 最後の最後に怪我をしては話にならないと、歩みの鈍い亀さん歩行に徹して、西黒尾根コースの登山口にたどり着く。

 ここで現れた舗装道路に思わず表情が緩む、木漏れ日の道をなんとも言えない心地良さを感じながら駐車場まで歩く。
 ハードだった分だけ喜びも大きい、2日間の縦走で沢山の山の魅力に出会えたことに感謝しながら谷川岳を後にした。
下山で、毎年谷川岳に来ている人が 言っていた「今年の紅葉は今ひとつ、こんなもんじゃない、涸沢より凄い」