会山行紀行文 2016年
 7/14(金)〜18(火)
天気:紀行文に記載
雲ノ平・三俣蓮華岳2463m    2841m
黒部五郎岳・薬師岳
2839m    2926m
参加者 (紀行文) 2216 S/K
2名
(男性2名) (写真) 2216 S/K
≪コースタイム≫
≪7月14日≫ 
自宅(5:00)=折立(8:50‐9:15)…三角点(11:00‐30)…五光岩ベンチ(13:10‐13:30)…太郎平小屋(14:25)
≪7月15日≫ 
太郎平小屋(6:10)…薬師沢小屋(8:15‐30)…アラスカ庭園付近(11:15‐12:10)…雲ノ平山荘(13:10)
≪7月16日≫ 
雲ノ平山荘(5:30)…祖父岳…三俣山荘(9:30‐10:40)…三俣蓮華岳(11:45‐12:00)…黒部五郎小舎(13:25)
≪7月17日≫ 
黒部五郎小舎(5:40)…黒部五郎岳(7:45‐8:05)…北ノ俣岳(11:10)…太郎平(12:45‐13:00)…薬師岳(15:25‐40)…薬師山荘(16:15)
≪7月18日≫  
薬師山荘(3:20)…薬師岳(4:20‐5:30)…薬師山荘(6:20‐50)…太郎兵衛平(8:10)…三角点(10:00‐10)…折立(11:00‐11:20)
=(入浴、食事)=自宅(17:30)
≪紀行文≫
〜〜〜花と展望の北アルプスを歩く〜〜〜

 友人と二人で行く夏の日本アルプス、今年は4泊5日で北アルプスへ。
 山は天気次第と言われるが、出発直前になっても梅雨は明けず予報は雨と曇り、気分が乗らないまま新潟を出発する。

◆1日目 雨時々曇り(折立〜太郎兵衛平)
 折立の登山口、登り始めから小雨、600mの急登を登り終えた「三角点」で昼食。
 ここからは雨が降ったり止んだりを繰り返す、ガスで眺望はきかないがニッコウキスゲやチングルマなどのお花が目を楽しませてくれる。
 整備された石畳の登山道を歩き、今日の宿太郎平小屋へ。夕方になると雲がとれ始め青空が顔を出す。
折立の駐車場に到着する 雨具を着て登山口を出発 登山道の先をガスを覆う
石畳の登山道を進む、もう少しで太郎平小屋 夕方青空が顔を出す、明日は晴れるぞ

◆2日目 晴れ(太郎兵衛平〜雲ノ平)
 大きな薬師岳に見守られながら太郎平小屋を出発、晴れた空に気分が高まる。
 広い範囲で施されている木道が昨日の雨で滑りやすく、二人ともスリップし尻もちをついてしまう、危ない、危ない。

 針葉樹と笹の葉の明るい草原を下って薬師沢小屋へ、小屋の前の黒部川を吊り橋で渡った後は、苔がついて滑りやすい岩の急登となる。
 こまめに休憩を取りながら450mを登ると最後の秘境と呼ばれる雲ノ平。雲上の庭園の名にふさわしい景観の中を気持ち良く歩く。
薬師岳と太郎平小屋を背に雲ノ平へ 針葉樹と明るい草原の中を歩く
黒部川を吊り橋で渡る 最初に現れたのはアラスカ庭園
ユニークで分かりやすい標識 苔がついた岩の急登を登る 木道脇に咲く花に目を奪われる
 
チングルマが咲き乱れる木道を進む、前方は水晶岳   

 アラスカ庭園を過ぎて見晴らしの良い場所で昼食、薬師岳、三俣蓮華岳、黒部五郎岳、水晶岳に囲まれながらお弁当を美味しく頂く。
 昼食後は、木道の周りのチングルマやハクサンイチゲを愛でながらゆっくり雲ノ平山荘へ。
 折立では散りかけていたチングルマが、ここでは今が盛りと咲き誇っている。
 しかし、午後になると薬師岳の上空に笠雲が現れ、明日の天候が心配になる。
奥日本庭園の先には大きな薬師岳 左が祖母岳、右奥は明日登る祖父岳
右に今日宿泊する雲ノ平山荘、前方は水晶岳 雲ノ平ではチングルマがイキイキと咲いている

◆3日目 雨(雲ノ平〜三俣蓮華〜黒部五郎小舎)
 不安が当たってしまい朝から霧雨、雨具を着て小屋を出発。祖父岳の登りで雨と風が強まりカメラをザックの中に仕舞う。
 眺望がきかず、雨風で予想以上に体力を消耗したため「岩苔乗越」でルートを変更。
 鷲羽岳には登らず、黒部川源流のルートから三俣山荘へ向かう。

 降った雨が川になって登山道を流れ、そこかしこが黒部川源流と化している。
 たどり着いた三俣山荘の食堂でホットミルクとストーブで体を温めながら昼食をとる、ここで大夫元気を取り戻す。
 霧が覆う三俣蓮華岳の登り、見事なお花の群生に堪らずカメラを取り出す。
霧に覆われた雲ノ平を進む 三俣蓮華岳直下のみごとなお花畑

 黒部五郎小舎への急坂を下り、びっしょり濡れネズミで小舎へ。
 乾燥室のストーブで衣類、ザック、登山靴を乾かし、ようやく体が温まる。
 昨日の木道で左薬指に刺さった木片が痛み出し、除去するため小屋の人に針の借用を頼むと、針先を焼いて消毒した針を貸してくれた。
 親切で心配りの利いた対応に、私の心まで温められた。

◆4日目 晴れ(黒部五郎岳〜北ノ俣岳〜薬師岳)
 晴れ渡った空の下、カールコースで山頂を目指す。
 ダケカンバの道を登ると山渓誌で北アルプス絶景スポット10に入った「黒部五郎岳のカール」が現れる。
 青い空、グレーの山肌と岩、緑の草木、白い残雪、自然が作ったみごとなコントラスト、期待以上の美しさに魅了される。
 山頂からは360度の展望が広がる、剱、水晶、槍、穂高、笠・・・自分が登った山を見る毎に感動が増す。
一登りすると黒部五郎岳が姿を現す 黒部五郎岳の山頂を目指し高度を上げる
青、グレー、緑のコントラストがみごとなカールが広がる
山頂北側の展望 @薬師A劔B立山C後立山D赤牛E水晶F雲ノ平
.山頂西側の展望 @槍A穂高B笠C乗鞍D御嶽 これから歩く太郎兵平までの稜線
大パノラマ@薬師A赤牛B水晶C雲ノ平D鷲羽E大天井F三俣蓮華G槍H穂高I黒部五郎 

 黒部五郎岳から太郎平小屋までは、北アルプスの主峰を眺めながらの贅沢な稜線歩きとなる。
 この先に薬師岳の登りを残しているのに、登山道を彩る花々に何度も足が止まる。
 太郎平小屋で一休みして薬師岳へ、しかし、ここの登山道でも花の群生に(嬉しい)足止めを食らう。

 薬師小屋で受付を済ませ空身で山頂へ。赤い山肌の大きな赤牛岳と水晶岳に繋がる峰の連なりが迫る。
 太陽の傾きで濃さを増した影が、金作谷カールと中央カールの白さを際立たせる。
 他では見ることのできない展望に中々下山の決断ができない。
薬師岳を目指して太郎兵平の木道を進む ここのお花の群生も素晴らしい
薬師岳山荘の左後方に山頂 赤牛岳と水晶岳(右)への稜線が大きく迫る、後方は野口五郎岳
北薬師岳と金作谷カール 白さが際立つ中央カール

 山小屋の配慮で夕食後に富山県山岳救助隊の隊員からお話をしていただく。
   ・ヘリ救援のほとんどが木道でスリップし、反対の足や腕を骨折、捻挫するケース
   ・滑らない歩き方は、歩幅小さく、足底全面で着く、パタパタ歩き
   ・ヘリコプター救助者は殆んどが高齢者
   ・高山病予防の一つが水分補給(スポーツドリンク)

◆5日目 晴れ(薬師岳〜折立)
 今回の山行を山頂からのご来光でしめたいと、3時20分に小屋を出発。
 暗闇の中、遠くで富山の街の灯りだけがキラキラ輝いている。
 ヘッドランプの明かりを頼りに真っ暗な登山道を登り、日本海から吹く風を受けながらご来光を待つ。

 空が赤く染まり、後立山連峰の蓮華岳から太陽が上がる
 太陽から放たれた光線で、北アルプスが目覚めていく光景を眺め、幸福感に満たされる。
 そして、折立へ下山。
蓮華岳の上から太陽が昇る 眩しい光線に北アルプスの秀峰達が目を覚ます
昨日歩いた黒部五郎岳(左)から太郎平小屋の稜線を俯瞰 大ケルンの後ろに日本海を望む
緑の草原に長く伸びる登山道 三角点から薬師岳を仰ぎ見る

 3年前に水晶岳から見た黒部五郎岳と薬師岳、その山容に大きな魅力を感じなかったが、山は登ってみないと分からない。
 沢山のお花と素晴らしい展望、魅力いっぱいの山との出会いに感謝しながら帰路についた。 

◆山行中に足を止めさせられた花々(間違っていたらゴメンナサイ) 
キンコウカ エゾシオガマ ニッコウキスゲ タテヤマリンドウ
チングルマ  コバイケイソウ  ゴゼンタチバナ  ハクサンフウロ 
モミジカラマツ ミヤマママコナ アオノツガザクラ
タカネヤハズハハコ チングルマ タカネニガナ
ヨツバシオガマ ミヤマリンドウ ハクサンイチゲ
ハクサンシャクナゲ ヤマハハコ イワハゼ
スダヤクシュ イワイチョウ オオレイジンソウ ミヤマキンバイ