≪コースタイム≫
自宅=南俣地区(6:15)…二王子神社(7:15)…3合目(8:30)…五合目(9:40)…二王子岳(11:55-12:00)…五合目(13:15)
…二王子神社(14:20)…南俣地区(15:20)=自宅 |
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≪紀行文≫ |
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〜〜〜二王子岳で冬山の美しさと難しさを教えられる〜〜〜 |
天気予報「晴れ」の日に、冬季初めての二王子岳へ、明るくなりかけた南俣地区の除雪端には既に車が2台。
私が車から出ると「空が明るくなるのを待っていたんです」と単独の女性が弾むように出発。
身支度をしている間に単独の男性が歩き出し、私もワカンとアイゼンをザックに積んで2人の後に続く。
トレースが無かった時のコース取りを心配していたが、先行者が2人いることで一安心する。他力本願で情けないがこれが私の実力。
神社脇の炊事場に「冬山です。記入してください」と表示されたノートに名前、住所、出発時間を記入する。
一合目でワカンを履くが、3合目手前の斜面の雪が柔らかく、足元からズル、ズル崩れるため中々高度を上げることが出来ない。
ハア、ハア、言いながら何とか冬ルートの尾根に出る。汗を拭いて「こんな状態が続いたら山頂にはたどり着けない」と早々弱気になる。
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朝焼け空の下、二王子神社へ向かう |
雪道は端の一部で雪解けが始まっている |
1時間歩いて二王子神社に到着する |
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一本杉を越え、一王子方向を望む |
崩れる雪に苦戦しながら冬ルートの尾根に着く |
3合目から樹々の中を尾根筋に進むが、枝に積った雪が白い花を咲かせたようで美しい。
しかし、風が吹くと桜のようにヒラヒラ舞わず、ボタ、ボタと絨毯爆撃のように落下してくるため、見惚れてばかりいられない。
枝に付けられたマーキングテープが雪で見つけ難く、先行者がいなかったらルート取りは困難だったに違いない。
もし、風や雪でトレースが消えたら、ホワイトアウトになったらと考えると、すぐそばにある冬山の怖さを改めて教えられる。
ようやく頂上が見える五合目の独標に到着。しかし、山頂が遥か遠くに感じられ、登頂に暗雲が漂い始める。
予定があって16時までに車に戻らねばならず、前進打ち止め時刻を12時に決めて進む。
樹林帯を抜けると別世界の景色が目の前に現れる。白い雪山の尾根を歩く小さな登山者の姿が感動的で美しい。
白一色の景色に包まれながら「来て良かった」という思いに満たされる。
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雪のついた樹々の中、雪面の中を進む |
枝に白い花が咲いたような光景が美しい |
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白い尾根を登山者が一人進む |
頂上を目指し、登山者が行く |
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最後の急斜面、雪に覆われた油こぼしを登る |
徐々に頂上の避難小屋が大きくなり、この調子なら山頂に立てると安堵する。
早々と下りて来た単独の女性に、トレースのお礼を伝えると「避難小屋の扉が雪で凍って開かない」と情報をもらう。
山頂手前は風と雪が作ったエビの尻尾が塊になって、さながら冷凍エビの大漁状態。尻尾の向きから推理すると作者は東風。
打ち止め時刻の5分前に青春の鐘の前に立つ、一番期待していた飯豊連峰の展望は残念ながら春霞でスッキリしない。
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避難小屋は雪のデコレーション |
青春の鐘にはエビの尻尾 |
風雪が作ったエビの尻尾 |
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シュカブラの後方に二本木山 |
山頂付近は冷凍エビの大漁状態 |
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青春の鐘の後ろに広がる飯豊連峰は春霞でスッキリしない |
強くなった冷たい北風を小屋の脇で避けながら、パンをほお張りスポーツ飲料水で流し込んでエネルギーを補給する。
シュカブラの写真を撮るために腹ばいになると左太ももの筋肉が引き攣った「こんなところで、マズイ!」
不安を抱きつつ下山を始めるが、最初のトラバースで太ももがピクピクし出し、なんとか持ちこたえてくれと祈りながら渡る。
その後ピクピクは再発せず、3合目の斜面でワカンを滑らせて尻もちをついたり、引っ掛けて転んだりしながら、予定時間前に車に戻る。
今日の登山者の数は私以外の単独が6名、BCスキーが2名。
二王子岳冬山デビューは展望が今一つながらも、冬山の難しさと美しさを教えられ、収穫の多い山行となった。
近い内にスッキリした展望を観にまた登ろうと思ったが、頭上を見上げてその気持ちは萎えた。なんということでしょう!
頭上から今でも毒ガスをまき散らしそうな大量の植物兵器(花粉で黄色く膨らんだ杉の雄花の大群)が、ズラリと私を狙っている。
青空と白い飯豊連峰の眺めを諦めるべきか、鼻水を流しクシャミの連発に耐えながら登るべきか、思案しながら帰路についた。
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下山からの景色、新潟平野は春霞でぼんやりしている |
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麓から二王子岳を望む |
杉花粉爆弾が投下の時期を狙っている |
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