≪紀行文≫ |
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〜〜〜実に運のいい山行だった〜〜〜 |
≪一日目≫(晴れ)
広河原の駐車場には予定より30分早く到着した。そこには帰りのバスを待つ多くの登山客がいた。聞けばこの前の日の土曜日約2000人の登山客がここから登り、山小屋では布団一枚に三人だったとか。そんな彼らの横を北岳目指して吊橋を渡り登り始めた。
野呂川を渡り樹林帯の中をしばらく歩く、そしてまもなく急坂となる。気温が低いせいか汗もあまり出ない。
樹林帯の中の急登、上には真っ青な青空、真夏とはいえ標高1500メーターからのスタートは実に心地いい。すれ違う登山客が多い。
北岳を登頂した満足感が顔に現れている。二日後の自分達を想像する。 |
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広河原にて帰りのバスを待つ多くの登山者 |
この橋から北岳登山が始まる |
急坂を登る |
2時間強の急登、やがて急登はなだらかな巻道となる。そして目の前に白根御池小屋が現れる。時間も予定通り。明日が楽しみになる。
小屋の受付を済ませ、外のテーブルで夕食まで雑談を楽しむ。
夕食は16時半から。この日は8畳の部屋を二部屋与えられた。もちろん布団は一人一枚、夕食後はすぐに寝て翌日の晴天を願う。
夜中に起きて外を見たが満天の星空が半分だが見えた。よし晴れるぞと。 |
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白根御池小屋 |
白根御池小屋夕食と夕食風景 |
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二日目(晴れのちガスのち雨)
朝食は5時ということだったが4時45分には食堂に案内された。
出発は5時25分、真っ青な青空、北岳バットレスが朝日に照らされて輝く、その真下の草すべりの急坂を登る。横には高山植物がぎっしりと。
やがて樹林帯に入り、急坂をジグザグに。そしてハイマツが出てくると小太郎尾根分岐に出る。残念ながらこのときにガスが出てきて、まわりの景色はチラチラと。甲斐駒は見えなかったが仙丈ヶ岳は頭を出していた。 |
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朝食 |
朝日に輝く北岳バットレス |
出発の準備 |
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いざ出発 |
これが草すべりの急登 |
さあ、がんばりどころです。 |
石のゴロゴロした道を歩くと標高3000Mの肩の小屋、そして、そこから一登りで北岳山頂に。
広い山頂広場には多くの登山客、でも場所を確保して食事タイム、ガスの切れ目から覗く南アルプスの雄姿を味わう。
富士山も見えたらしいが私には見えなかった。残念。 |
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肩ノ小屋 |
ブロッケン現象が見れるかも |
下に肩ノ小屋を望む |
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北岳山頂を望む |
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雲の中の仙丈ヶ岳 |
北岳山頂にて集合写真 |
集合写真を撮り、ストック収納の指示をして下りに入る。ここからは岩の横を歩く。ところどころ鎖や梯子が現れる。
下に北岳山荘が見えたとき、今日の宿ですよと、でもまだまだ急な岩場が続く。ここを我慢して足を進める。
そして北岳山荘に到着、受付の後、間ノ岳への希望者はと聞けば全員が行くという。雨が降り出してきたのに、うんすごいメンバーが揃ったものだ。
雨の中、間ノ岳に進む。ガスの中、山頂らしきものが見えるがなかなか山頂に着かない。
道はやがて急な登りになり雨も激しくなる。でもここが我慢、コースタイムより少し遅れたが全員無事山頂に到着。このとき雨が止んだ。
山頂広場に青年が一人休んでいた。彼に頼み集合写真を撮る。しばし休憩の後、小屋に戻ることにする。 |
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岩場の下り |
ガレ場の通過 |
北岳山荘が見えてきた |
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北岳からの下り |
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間ノ岳へ出発準備、雨が降り始める。 |
間ノ岳山頂にて集合写真 |
再び雨が激しくなり遠くでカミナリの音が、でも風がないのが救いだった。小屋で衣類を乾燥室で乾かしビールを飲みながら夕食を待つ。
この日の寝床は大広間、でも布団は一人一枚。夕食は16時30分。
このメンバーなら晴れれば翌日は八本歯のコル経由でも大丈夫だろうとみんなに提案する。
登りによく使うルートだが下りはどうかと思っていたが、山小屋のスタッフに確認してルート変更をした。
夕食後は早めに寝て雨が止んでくれるのを祈った。雨なら北岳に登り返すことになるだろう。 |
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北岳山荘の夕食 |
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三日目(晴れ)
朝起きて外を見た。朝霧の中に北岳、反対側には間ノ岳が望めた。
青空が今にも始まろうとしていた。なんという運、雨の予報を晴れに変えてしまった。
朝食は4時半からだったが、我々は5時と決めていた。 |
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宿(北岳山荘)の窓から北岳 |
朝食 |
宿から間ノ岳を望む |
そして5時半に小屋を出た。しばらく北岳方面に戻り八本歯のコルへの分岐、ここでストックの収納を指示して歩きだす。もちろん空を見て雨の心配のないことを確認して。
この道が今回最大のお花畑、写真タイムを随所にとって進む。やがて梯と階段の連続、でも大丈夫、手すりがしっかりしていて危険な所はない。
晴れてよかった。やがて八本歯のコルに到着。ここからも階段の連続。慎重に慎重にと。
そしてガレ場に、どんどん下って行くと仮設トイレのある二俣に到着。
川にはまだ雪渓が残っていた。この頃から登って来る多くの登山客とすれ違うようになる。
暫し休憩の後、大樺沢の河原の道を下る。石のゴロゴロしたアルプス特有の道を左岸に右岸にと進むとやがてダケカンバの樹林帯に入る。 |
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八本歯コルへの巻道 |
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梯子と階段 |
急な階段を下る |
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滑らないように気をつけて |
まだまだ急な下りです。 |
ようやく傾斜が緩くなった。 |
そして白根御池小屋への分岐に出る。もう広河原はすぐそこだ。 |
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吊橋を渡りバスの停留所に、二日前とは違い閑散とした広河原、そこに我々のバスの運転手が手配してくれていた乗り合いタクシーが待っていた。
タクシーの運転手がいうにはこの日の朝甲府はすごい雨だったらしい。
芦安に着くとケータイが鳴った。会の会長からだった。山梨県の天気予報がすこぶる悪く心配してくれていた。
「いやいや北岳は全部晴れでした。オプションの間ノ岳だけが雨でした。全員無事生還しました。」心配してくれていたことはありがたい。
芦安でお風呂に入り、全員無事のビールでの乾杯が始まった。バスに乗り、帰りの道中は後半が雨だった。激しく降る雨、強運の我々は間ノ岳だけが雨、実に運のいい山行だった。しかしみんな健脚でよかった。 |
二日前とは違って人の少ない広河原 |
雨の降るバスの中で思い出した。我々が八本歯のコルを降り、なお急な斜面を下り、ようやく傾斜が緩くなったとき、大樺沢の二俣まであとわずかというときにかなり年配の女性二人が登ってきた。
私が「やあ、元気ですね。」と言うと。「下を見てごらん。こんな急な斜面を登ってきたよ。これからは傾斜が緩やかになり梯子や階段を少し登れば、もうすぐ頂上だ。」実際はまったく逆だ。
霧に隠れて山頂こそ見えないが、我々はそこまで3時間以上下って来た。おそらくまだ5時間以上かかるだろう。でも何も言えなかった。「がんばってくださいね。」それが精一杯の励ましだった。
あの婆さんたち、まだ雨の中、こんなはずじゃあなかったと梯子と格闘しているかも。かわいそうになってきた。 |
≪出逢えた花々≫ |
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