≪紀行文≫ |
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〜〜〜まだ見ぬ凄い山と出会う〜〜〜 |
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急峻な尾根と迫力ある大岩壁から「下越の谷川岳」とも呼ばれている御神楽岳(蝉ヶ平コース)へ誘ってもらい「GO」と決めるも、同行予定者の都合が悪くなり単独登山となる。
おっかない山と聞いていたため、経験者から注意ポイントを聞き、インターネットからも情報を入手。
注意すべきは、苔で滑る沢の渡渉とヤセ尾根からの滑落。
ハードな山行を予想し、行動時間を長くとるべく出発は6:00。
駐車場に他の車はない、「ケガはできない、慎重に」と誓う。
登山道の入口に紙垂のさがった縄が張られている、神の領域に侵入するような心境でそれをくぐる。
天気予報は曇りのち晴れ。出だしは予報通り曇りで山は霧の中、山頂では晴れて下さいと願う。
心配した沢は水が少なくてもツルツル滑る。苔の少ない場所を探しながら用心深く渡る。
湿度が高い上に、歩きにくい登山道と2ヶ所の渡渉で「湯沢の出合」までにひと汗どころかふた汗もかく。 |
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紙垂のさがった縄の先は神の領域? |
滑る沢にはロープが張られている |
ここから本格的な登りが始まる |
ここから本格的な登りが始まり、約2時間の岩登りが続く。
朝露と苔で滑る岩をよじ登ると、後方にドでかい岩の壁が現れる。
上部が雲で隠れているが、その迫力は凄い!これを見られただけで来た甲斐があったとしばし見上げる。
取りつけられた鎖はインターネットで上端の固定状態に不安があると書かれていたため使わず、岩、木の枝、時には草を鷲掴みにしながら三点支持で登る。
両側が鋭く切れている「馬の背」は、なりふり構わず這って渡る。これじゃぁ自分が馬ではないか。
想像していた以上の急斜面の連続に汗が吹き出し、精神的にも体力的にも消耗する。 |
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凄い迫力の岩壁が出現する |
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この岩山を登る |
登って来た尾根を振り返る |
両側が切れ落ちた馬の背(私は這った) |
急登が終わった後も枝葉をかき分けたり、キレット状のヤセ尾根を渡ったりと気楽な気分では歩けない。
発汗が多いが、コース上に水場が無いため節水モードを心がける。
頂上まであと10分の室谷コースとの合流点にたどり着く頃に空が晴れ始める。天気予報大当たり!
室谷コースから3名が登っていた。
山頂で昼食にするが口の中が乾いておにぎりが喉を通らず水で流し込む。
下山に備えて休憩したいが日陰がなく「カーッ」と刺すような強い陽ざしをまともに浴びて暑い。
丸焼きにされてしまうと感じる程の暑さに耐えられず下山を決める。 |
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ヒメサユリはもう終わり頃 |
山頂付近に青空が出てきた |
御神楽岳の山頂標 |
下りは雲が取れ、登りで観られなかった山が姿を現す。むき出しになった岩肌が、荒々しく、実にあぶなげだ。
例えるなら、街で会っても絶対近づかない目も合わせない、そんな危険な雰囲気を漂わせている。
まるで、仁義なき戦いの菅原文太のような佇まいだ。(脱線し過ぎなので、戻ります)
急斜面は「滑落したら助からない」と自分に言い聞かせながらゆっくり足を運ぶ。
しかし、足にきているため気持ちが緩んだ所でズルッと滑り何回か冷や汗をかく。
岩壁の全容が一望できる場所に立ち、もう一度その景観を見渡す。
「あの尾根を歩き、あの岩を下りたのか・・・」しばし感慨に浸る。 |
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まさに岩の塊、尾根の先が湯沢の頭 |
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室谷コース側を望む |
湯沢の頭から山頂を望む、山頂は中央 |
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大岩壁を仰ぎ見る、左上が湯沢の頭 |
湯沢の出合で川へおり、冷たい水をタップリ体に補給して元気を取り戻す。
渡渉を転ぶことなくクリアし、登山道を気持ち良く歩く。いつの間にか鮮やかな青空が広がっている。
登山口に張られた縄をくぐり、無事に神の領域から出られたと安堵する。
心・技・体いずれも力不足を痛感しながらも、まだ見ぬ凄い山との出会いに感謝する。
山に登るたびに違った山の魅力に出あえる、その喜びに酔いながら帰路についた。 |
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湯沢の出合、冷たい水で生き返る |
ブナ林を気持ち良く歩く |
登山口に着く頃、空は青空 |
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終わり |
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