| 今は長大なルートを歩く元気はないので、なるべく短いルートでと思い、御神楽岳の蝉ヶ平ルートからアプローチし、赤松沢の右岸尾根から登りました。 
 最近、お仲間の間では“以前の私ではない”という言葉が流行っています。
 10月に蝉ヶ平ルートを歩いてみたのですが、今まで馬ノ背は頂稜部をこともなく立って歩いており、今回も何も考えずに今まで通りに頂稜部を歩いたら、ナイフリッジに踏み出した直後突然怖くなり、ナイフリッジの岩に馬乗りになって四つん這いで渡らざるを得ませんでした。
 
 以前の私ではないことをしみじみと知らされました。
 帰りは、人が見ていないとはいえ、あまり無様なことはしたくないので、多くの人が渡るように頂稜部をガッチリ掴み、頂稜下に足を置いて渡りました。
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                        | 御神楽岳登山口にアプローチする林道は、7月末の豪雨被害で室谷、蝉ヶ平両ルートとも車両通行不可との情報が伝えられています。 室谷ルートは大沼付近で道路が崩落していて車はそこまでしか行けません。
 蝉ヶ平ルートは道路の崩壊が無く、轍が流水でえぐられているだけなので、車の種類や運転技術次第で林道の終点まで乗り入れることが可能です。私は車もさることながら、運転技術にも自信が無いので、林道終点手前の路肩で駐車しました。
 駐車箇所から林道の終点までは、歩いて10分でした。
 
 あらかじめ目星を付けておいた渡渉点を登山道上から見下ろすと、広谷川の水はとても綺麗でした。
 川の水は少なく、靴を履いたまま飛び石で対岸に渡れました。
 この渡渉は、流水面を渡ることは簡単なのですが、流水面に降りることと、対岸に登りつくことが厄介でした。
 対岸の壁状の岩を這い上がりましたが、壁状の岩は写真では低く見えますが、実際は低い所でも1.5mほどの高さがあり、しかも濡れていてよく滑ります。
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                        | 登山道から見下ろした渡渉点 | 対岸の様子 | 登山道から降りてきた箇所を振り返る | 
              
                        | 最初尾根は広い斜面状ですが、少し登ると痩せて急な岩尾根が次々と現れます。
 岩の箇所では、まずは岩の弱点(登り易い箇所)を探ります。
 どこを掴み、どこに足を置いて行くか、どんな姿勢になるのか、降りる時はどうするか、クライムダウンは可能か、ロープを使うならどうロープをセットするかなどをシュミレーションしてから登りに掛かります。
 その間足は止まるので疲れませんが、岩に出くわすと時間が掛かります。
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                        | 岩尾根その1 | 岩尾根その2 | 岩尾根その3 | 
              
                        | 605m峰の直下は松の枝が張り出していて歩き難いのですが、味のある痩せ尾根になっています。
 振り返ると紅葉した岩肌の覚道の頭、高頭、湯沢の頭が並んで見えます。
 
 605m峰を超えると岩場は少なくなり、シャクナゲ藪の尾根が続きます。
 ここのシャクナゲは背丈が低いので、歩き難さはさほどではありません。
 背丈が高く、イヌツゲでも混じっていようものなら悪夢ですが、ここのシャクナゲ藪は素直です。
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                        | 605m峰直下の尾根 | 右から湯沢の頭、高頭、覚道の頭 | シャクナゲの藪尾根 | 
                      
                        | 主稜線との分岐部が近くなると、尾根周囲の山肌や谷間にはすばらしい紅葉絵巻が広がっています。
 分岐部直下の尾根は松の枝が張り出して歩きにくく、痩せているので危なくて、せっかくの絶景もおちおち眺めてはおられません。
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                        | 尾根下山肌の紅葉 | 主稜分岐部の様子 | 尾根下谷間の紅葉 | 
                      
                        | 主稜線の峰々も素晴らしい紅葉に包まれています。
 主稜線では薄い踏み跡が所々で見い出せます。大概が尾根下1〜2mほどの位置に付いています。
 私のように山域に不慣れな人は、へたに尾根下を歩くと尾根を外しかねないという気持ちがあって、尾根の直上を歩きがちです。
 尾根下を歩く人は山域の状況に精通した人、たぶんその昔の熊追いの人達の踏み跡の名残だろうと思います。
 主稜線にも岩尾根部が2カ所ありました。
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                        | 主稜線下手の751m峰 | 主稜線の踏み跡 | 主稜線の岩尾根部 | 
              
                        | 赤松の頭はなかなか姿を見せませんでしたが、その至近になってようやく枝越しに姿を見ることが出来ました。
 
 赤松の頭の先には940m峰がどっしりと構えているので、見栄えは今一つです。
 赤松の頭の山頂部は、シャクナゲやイヌツゲその他もろもろの灌木が入り混じった蜜藪になっています。
 地面に足を付けることさえ容易ではありません。もちろん周囲は全く見えません。
 
 十数年前に来た時には藪は雪の下で松だけが見えていました。
 この藪の中では、マツタケを探してみようという気にもなりませんでした。
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                        | ようやく見えた赤松の頭 | 山頂直下の登り、かなり急 | 赤松の頭山頂 | 
                      
                |  |  | 無事に渡渉点に戻りました。
 素晴らしい晴天で、紅葉も鮮やかに輝いていました。
 
 渡渉点でコーヒーを飲むと、とても良い山行だったと満足感が一層広がりました。
 
 (おわり)
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                        | 渡渉点の上流 | 渡渉点の下流 |  | 
                      
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