会山行紀行文 2013年
 08.04(日)
晴れ
(ごずのさわ)
五頭の沢
910m(前一ノ峰)
参加者 (紀行文) 1862 Y/I
9名
(男性8名・女性1名) (写真) 1862 Y/I
≪コースタイム≫
どんぐりの森(8:15)…入渓(8:30)…大岩滝(9:10)…高巻き…雨霧ノ滝(水?み沢)(10:10)…水場(竜神清水)(13:00-55)…前一ノ峰(14:15)…どんぐりの森(15:30)
≪紀行文≫
                                〜〜〜涼味を求めて五頭の沢〜〜〜
 毎年八月の第一日曜日は「五頭の沢」となっています。
 入会数年後に、私も興味半分で参加しましたが、以来病み付きになっています。
 この時期、行きたい山行の計画が目白押しなのですが、私は、この沢歩きだけは絶対に外しません。
 毎年一番楽しみにしている山行なのです。

 沢歩きは危険じゃないかと心配される方も居られると思いますが、しっかりした指導者のもとで経験し、若干の技術さえ身につければ決して危険な山行ではないと思っています。むしろ、夏の暑いさ中に重いザックを背負って稜線を歩くことを考えると、涼しくて気持ちの良い山歩きなのです。

 道具は、沢靴(ワラジも可)、ヘルメット、それにハーネスとカラビナがあれば初級の沢は全然問題ありません。
 費用的にも大してかかりません。あとは楽しみながら体力をつけ、若干のロープワーク等の技術を身につければもう沢人に仲間入りです。

 沢の魅力は言うまでもありません。まずは、清冽な水を浴びながら遡行する爽快感です。そして、次々に現れる滝や淵、その変化の妙を味わえることです。
 芸術品としか言いようのない見事な滝、切り立った巨大な岩壁、エメラルド色の深い淵や釜、ナメ床をさらさらと流れる清流、一つとして同じものはありません。沢は自然が作り出す造形美の宝庫なのです。

 五頭の沢も毎年歩いていますが、毎年違った姿を見せてくれます。貴重なこの沢歩きの様子をどうか写真で見て下さい。
 そして一緒に沢歩きしませんか。

(01)
 約200平方Kmの五頭山塊には毛細血管のように無数の沢が存在していますが、我々が遡行したのはその中で、安野川水域小倉沢・ハゲ沢です。おなじみの“どんぐりの森”から出発します。ゴールは三叉路下の水場“竜神清水”です。
(02)
 どんぐりの森を15分ほど歩いてから入渓します。金剛ノ滝、布引ノ滝と比較的大きな滝がありますが、その上部が入渓点です。冷たい水に足を浸け、嬉しさと緊張感を持って踏み込みます。
(03)
 濃い緑と深い淵、喧噪の世間を離れ水の流れに身をゆだねる。ここには自然が作り出した造形の美がいっぱい詰まっています。
(01)“どんぐりの森”から出発します (02)どんぐりの森を15分ほど歩いて入渓 (03)濃い緑と深い淵
(04)
 やっと梅雨が明けたとは言え、ゲリラ豪雨の影響か、水量がすごかった。のたうつ白蛇に敢然と立ち向かうのも沢歩きの醍醐味の一つです。
(05)
 真夏と言うのに、水はまだ冷たく、腰まで浸ると震えが来ます。真夏の太陽が欲しいのですが今日は曇天、ええいままよで突き進みます。
(06)
 小鳥の声を聴きながらの清涼の一服、あまり休むと寒くなるのですが、心温まるひと時でした。
(04)水量がすごかった (05)水はまだ冷たく、腰まで浸ると震えが (06)小鳥の声を聴きながらの清涼の一服
(07)
 さあ核心部の大岩チョックストーンの5m滝にやって来ました。想像を絶する水量です。ここを乗り越えられるかどうか、リーダーは慎重に図ります。
(08)
 見て下さいこの落ち口。轟々とすさまじい音を立て泡立っています。全く水面は見えません。過去何回もこの小倉沢を遡行していますが、こんな光景は一度も見たことがありません。滝を登れるかどころか、滝に取り付くことさえも困難のようでした。
(09)
 こんな時に無理はできません。高巻きと決定しました。少し戻り、灌木のある斜面をブッシュに捉まりながら攀じ登ります。ほとんど垂直な崖です。結局、滝の上部に出るまで1時間かかりました。渓谷の高巻きは決して楽ではありません。体力も相当消耗します。
(07)大岩チョックストーンの5m滝 (08)轟々とすさまじい音を立て泡立っている (09)無理はしないで高巻きとします
(10)
 大岩滝の上部、水呑沢雨霧ノ滝です。いつもなら霧のように降る滝で、渓谷に射す陽光で虹が立つ幻想的な場所なのですが、今日の雨霧ノ滝は土砂降りの雨でした。
(11)
 今日のメンバー、9人の侍です。あれれ? 一人足りないな? 流されたかな?
(12)
 難関は過ぎましたが、まだまだ滝は続きます。濡れるのも構わず直登する猛者もいました。
(10)大岩滝の上部、水呑沢雨霧ノ滝です (11)今日のメンバー、9人の侍です (12)まだまだ滝は続きます
(13)
 どうですかこの光景、涼味どころか震えが来ました。でも皆さん熟達していますのでこんな滝はものともしません。
(14)
 直登できない滝は小さく巻きます。でも滑ればドボン、慎重に!
(15)
 幅広6m滝、水流は2条、本当にすごい迫力でした。
(13)この光景、涼味どころか震えが (14)直登出来ない滝は高巻 (15)幅広6m滝、すごい迫力です
(16)
 シャワークライム、濡れたくないとべそかいてもだめです。行くしかありません。
(17)
 岩がオーバーハングしているチョックストーンのできそこないのような滝。水量が細ければ、難なく越えられるのですが、今日はそうはいきません。リーダーが果敢に挑戦です。流木や仲間の肩や頭に足をかけ腕力で何とか登りました。
(18)
 リーダーのかけた固定ロープを頼りに次々に登ります。少し怖かったけど楽しかったなあ。この後ハゲノ滝でしたが、ハゲどころか滔々と水を流していました。余裕なく写真はありません。
(16)シャワークライム (17)岩がオーバーハングしている (18)固定ロープを頼りに次々に登ります
(19)
 この穏やかな滝、そうです、今日の沢歩きのゴール、“竜神清水”(水場)です。遡行5時間、例年より1時間多くかかりましたが、満足のいく沢歩きでした。
(20)
 〆は、これも恒例となったソーメンタイム。
 冷たい水で晒したソーメンは実にうまかった。
 まさに至福の一時でした。

 ゆっくり1時間過ごした後、一ノ峰、三ノ峰を経由してどんぐりの森に戻りました。                              以上
(19)ゴール地点“竜神清水”(水場)です (20)恒例となったソーメンタイム