≪紀行文≫

 山仲間から「ラストチャンスかもしれないし、冬の飯豊に入ってみないか」と誘われたのは昨年11月下旬頃か。
 チャンスなどもうとっくに過ぎてしまっていたと思っていた
64歳の身体にそれでも「むむっ」と火がついたのは楽山会で、悪(ア)ガキ隊の
人達と雪山、藪山、沢登りを続けてきたせいか。
 

「2日目に稜線に届けばラッキーだがそう甘くはないだろう」
「天候と雪によって天と地ほどの差」は覚悟と自問自答。
まあ「冬の飯豊を身体全体で味わえたら」と気持ちと口は意気軒昂

 7日朝、雪の降りしきるかいらぎ荘前に10名が集まる。

本隊
6名。楽山会からは玉野と坂井伸二氏が参加、
心強い事に悪ガキ隊の伊藤博、天野新次、石井義人の3氏と
松原そのえ女史がサポート隊として初日のラッセルを先導
してくれるという。


本体6名、サポート隊4名 計10名

梅花山荘前で勢ぞろい。

「いざ、出発!!」


 除雪終点の川入荘前から早速腰までのラッセル、暫く林道を進むも、一人当たり20kg以上の荷物は肩にずっしりと食い込む。
尾根取付きから、いきなりの急登、サポート隊のお陰で高度を稼ぐも、もう全員雪達磨だ。
サポート隊が身体を張っての必死のラッセル。その後ろを牛歩のごとく重装備の本隊が続く。 

 11:50 大活躍して下山する4名と固い握手をして別れる。本体はここで吹雪の中昼食。
20kgのリュックを担ぎラッセル 頼もしいサポート隊が大活躍 ここでサポート隊と分かれ、昼食。


 ここからは6名で交代のラッセルだ。急斜面では4駆にギアチェンジ、ストックで雪をかき身体全体で圧し、膝を使って押し込み、
ようやく一歩を踏み出すの繰り返し。

 14:00本当はもっと前進したかったのだが幕営ポイントを考えテント設置にはいる。冬山では行動そのものよりもいかに寒さ等から
身を守るかの生活技術が一層要求される。本格的な雪上生活に不慣れな坂井氏にとっては辛くも有意義な体験だったのでは。
 酒の量を控えれば次期リーダーか?と巷の声。まあテントの中では酒を控えるどころではない。まず身体の中から暖を。
 焼酎、ウイスキーを適量(?)たしなむ事は立派な登山技術なのだ。
 降り止まぬ雪の中、頻尿と寒さに苦しみながら長い夜を過ごす。

 8日7:10発、前日と同じ牛歩の前進が続く。予報通り天候は回復しない。「簡単には登らせないぞ」とばかり標高が上がるにつれ
気温も下がり風雪も強まる。手指先がしびれ「これくらいはあたりまえ」と口ではほざくも心中少しづつ弱気の虫が騒ぎ出す。
 「どうせ稜線までは無理か」風雪のなか、わかんをアイゼンに履き替える辛さも脳裏をよぎる。「もう十分(?)堪能した・・・・」と。

 晴れていればエブリ差岳や鉾立峰が美しく望めるであろう枯松山先のコルで行動食を口に放り込みながら作戦会議。
 ちょうど1名のわかんの紐が切れた(たいしたことではないのだが)事をきっかけに大勢の気持ちも切れた様。「下山」を決める。

 「決断が早い」「勇気ある撤退だ」へ理屈はなんとでもついてくる。

2日目の朝、テン場にて出発準備 足元はアイゼンが必要な程カチカチに 本日はここまで、皆さん60歳以上の爺様
 
 反転するも数十分前のトレースなど見事にかき消え新たに積もった雪の中、下りラッセルも楽ではない。
 赤いマーキングとルート旗を拾いながら、時々
GPSで位置を確認して12:50テント場着。
 意外と早くついた事で急いで撤収して下山にかかれば今晩中に熱い風呂にありつけると予定を変更。
 不思議と重さもかさばりも昨日と変わらぬザックをパッキングして下山再開する。
 変わらぬ新雪のラッセルも風呂が近づくとなれば足に力が入る。

 16:10かいらぎ荘着。結局2泊3日の予定が1泊2日になったものの、歳も考えずもう来冬の事を考え始めている約1名を含め楽しい
メンバーに恵まれとても充実した2日間でありました。坂井氏よく頑張りました!サポート隊の皆様には感謝!感謝!です。

 反省  中退は積雪、天候もあるけど歳のせい。気持ちもふくめて・・・

漸くテン場に到着。遅い昼食後撤収作業 最後の急坂を下ります。登りより怖い。 もう直ぐ温泉場です

追記:楽山会役員の皆様、今のテントは3シーズン用で冬用がぜひ欲しいものです。
   それと4〜5人用のチタンコッフェルも。よろしくご検討お願い申し上げます。
       おわり。
 個人山行紀行文 12.01.07〜08日

飯豊連峰
枯松山先コル
(1200m付近)

参加者10名
(男9・女1)

1854 M/T
≪コースタイム≫
 7日 かいらぎ荘発8:30〜大曲11:00〜サポート隊下山11:50〜十文字池12:15〜幕営地14:00
 8日 起床4:50〜幕営地発7:10〜枯松山先コル11:00〜幕営地12:50〜13:45〜十文字池14:25〜大曲15:00
     〜川入荘15:50〜かいらぎ荘16:10