会山行紀行文 12.08.05(日) 晴れ
12.08.06(月) 雨のち晴れ
12.08.07(火) 雨のち晴れ
12.08.08(水) 晴れ

(たかまがはら) (くろべごろうだけ)  
高天原・黒部五郎岳
    (2840m)
水晶岳・鷲羽岳
(2986m)(2924m)
参加者13名
(男6・女7)

(紀行文2044 S/H
(写 真)2044 S/H
≪コースタイム≫
(8/5) 新潟駅(6;00)=北陸道立山IT=折立(9:40-10:05)…太郎平小屋(14:25)
(8/6) 太郎平小屋(6:00)…薬師沢小屋(8;15-8:50)…アラスカ庭園(11:25)…雲ノ平山荘(12:05-12:30)…高天原峠(14:10)…高天原山荘(15:20)
(8/7) 高天原山荘(6:00)…水晶池入口(6:55)…ワリモ北分岐(9:35)…水晶小屋(10:28)…水晶岳(11:12)…水晶小屋(12:00)…ワリモ北分岐(12:35)…鷲羽岳(13:45)…三俣山荘(14:45-15:15)…三俣連峰分岐(16:30)…黒部五郎小屋(17:30)
(8/8) 黒部五郎小屋(5:25)…黒部五郎岳(8:18-8:40)…北ノ俣岳(11:55)…太郎平小屋(13:27-14:00)…折立(16:48)=白樺ハイツ(入浴)=新潟駅(22:10)
≪紀行文≫
                       〜〜〜えっ!水晶岳、鷲羽岳も…。チャンスだからと参加するも…〜〜〜
≪8月5日(日)≫
 高天原温泉は北アルプスの一番奥にある温泉、そして雲ノ平は山を愛する者には一度は訪れたい秘境。
 そのどちらも行けるとあって楽しみに参加申し込みをした。黒部五郎岳は私にはついでに登る山、そんな感じだった。
 行程表も特に厳しくはないように思えた。ところがメンバー表を見て愕然とした。ほとんどのメンバーが山の達人、こんなメンバーで一緒に歩けるのか、迷惑をかけなければいいがと。不安は行きのバスの中でもう一度、Aリーダーから希望者だけ水晶岳、鷲羽岳に行くと説明あり、これはとんでもない強行軍になると、乗りかかった船、でもこのチャンスを逃すと一生の悔いを逃す、後は天気、天気がいいなら水晶でも鷲羽でも行ってみようと開き直り、折立の登山口を目指したのでした。

 新潟を出たバスに私は栄PAで途中乗車、長いバスの移動で折立登山口着。
 標高1350Mの登山口、真夏の日曜日で広い駐車場は超満員。準備をして樹林帯の中の急坂を登る。
 ペースは快適、いや速い。久しぶりの早いペース、どんどん高度を稼ぐ。樹林帯はブナなどの広葉樹から針葉樹へ、そして樹林帯を抜けた草原のベンチで軽い昼食。
折立の登山口 樹林帯の急坂を登る ベンチで暫し休憩

 石のゴロゴロした道になり、やがて木道、残念ながら景色は雲がじゃまをして望めず。
先方は太郎平 石畳の道 草原地帯を行く

 途中何度も休憩を取ったが4時間と少しで太郎平小屋へ到着、部屋に荷物を置き、小屋前の広場で雲の合間から見え隠れする北アルプスの勇姿を見ながらビールを飲む。
まだまだ遠い太郎平への道 ガスの中の太郎平小屋へ到着 雲の合間から薬師岳が見え隠れ

 翌日からの強行軍を控え夕食後はすぐに布団の中に、この日の小屋は満員だったが6人で5セットの布団が与えられた。

 夕方に見た西の空の夕焼けが印象的だった。
やがて薬師岳の全容が 太郎平小屋内部(混んでいた) 太郎平小屋の夕焼け

≪8月6日(月)≫
 朝から豪雨、雨具を着て山小屋を出発。
 薬師沢小屋まで約400Mを一気に下る。道には雨水が流れ、まるで沢を下っているよう。
 転ばないよう気をつけ慎重に。
 薬師沢小屋に着いたときには雨もやみ、そこで後続を待ち休憩。
 どんどんと流れる小屋の冷たい水に顔を洗い牛乳を買って飲んだ。
 小屋の娘さんに聞いたら水の増水時は大東新道より雲ノ平経由のほうが1時間余分にかかるが安全だと。
中ノ俣の沢を渡る 薬師沢小屋手前の木道 薬師沢小屋

 我々も今朝の雨で雲ノ平経由に変更ずみ。そこから雲ノ平まで今度は500Mの登り、この道が雨の後の悪路の急登だった。
 岩や石がゴロゴロして景色なぞ望めない。やがて道はおだやかに、そして木道になった。そこで簡単な昼食、ふたたび石や岩の道をしばらく歩くとアラスカ庭園に、そこからは雲の合間から翌日に登る鷲羽や水晶がちらりちらりと。
黒部川奥の廊下の橋 雲ノ平への木道 雲の平“アラスカ庭園”

 木道を歩き雲ノ平小屋に。ここで後続を待ち大休憩、あこがれの雲ノ平に着いた。
 本来ならここにはいろいろな庭園があり時間をかけてゆっくりと見物したいところだが、この日は長丁場、そんな余裕はない。
雲ノ平の木道 奥日本庭園@ 奥日本庭園A
奥日本庭園B 雲ノ平山荘 雲ノ平山荘にて

 大休憩の後、今度は高天原峠への急な下り、ハシゴも10本ほどあって暗い樹林帯の中の滑りやすい道を下る。
 途中一度だけ水飲みタイムを取っただけで一気に高天原山荘へ、いやあ、参った、参った。
 高天原山荘に荷物を預け、そこから徒歩20分の高天原温泉に。
 行きは下り、途中大きなヘビが道路をふさいでいた。やがてヘビはヤブの中に。白く濁った温泉に体を入れ、この日の疲れをとった。柱と屋根と脱衣所だけの内風呂(?)、そして川原には石で囲まれた露天風呂もあった。
 高天原山荘の泊り客だけのこじんまりしたお風呂、みんな登山客なのですぐに打ち解けた。
 風呂からあがり、今度は上り坂、汗が出ないように、ゆっくりゆっくりと小屋へ。
 小屋の前では夕食までビールを飲みながら他の登山客との翌日のコース談義。「そんな強行軍、ほんとに行くの?」それが大方の意見。何か切ない気持ちになってきた。でも天気がいいなら、いや明日は晴れる、晴れたら行かないと。夕食後、すぐに布団に入る。翌日の朝食は5時だ。
翌日登る鷲羽岳 ワタスゲの中 秘湯高天原の露天風呂@
高天原山荘から赤牛岳 高天原山荘にて 高天原山荘の夕食
≪8月7日(火)≫
 朝食後、出発の支度をすると突然の雨、やむ気配もないので6時に出発。
 樹林帯の中をワリモ北分岐目指して登り始める。水晶池入口もただ通過、やがて樹林帯が草原に、その前に雨はあがり高度を稼ぐにつれて周りの景色の雄大さに圧倒される。
 雪の消えたところにはお花畑も広がる。一人遅れだすがLLと彼に同行し本体から少し遅れてワリモ北分岐に到着。
 そこで水晶行きと直接黒部五郎小屋行きとに分かれる。黒部五郎小屋行きは4人だけ。
 「さあ、出発。」と。「えっ、私はまだ休憩してないですよ。」そんな言い訳は通用しない。ザックを置いたと思ったら、またすぐに背負う。ここからが早かった。時間があれば周りの雄大な景色をゆっくりと撮影したかったが残念。 
樹林帯の中を 余裕の山女たち お花畑を越えて

 こんな高地で早く歩くのは辛い。少しずつみんなから遅れだす。水晶小屋でみんなが待っていてくれた。が、追いつくとまた出発。そこから空身で水晶岳へ。そこからの眺めは圧巻だった。大きく薬師岳、遠く立山、明日登る黒部五郎岳、そして槍や穂高、そして赤い土の表面を出した赤牛岳、時間があれば、でもこの日は長丁場、すぐに山頂を後に水晶小屋まで戻る。
振り返ると薬師岳 水晶小屋と野口五郎岳 槍ヶ岳
水晶岳 左奥に黒部五郎岳 水晶岳山頂

 水晶小屋の裏で軽い行動食、そしてワリモ分岐まで戻り、今度は鷲羽岳に登ると。いやあ、もう足が上がらない。
 ここからは本体6人を先に進んでもらって、2人が私に付き添う。私だって決して遅くないと思うが、他が早すぎる。そう決まれば事は早い。他の6人は走るように鷲羽の頂上を目指す。私も必死について行こうとするが離れるばかり。でもなんとか鷲羽岳の頂上に。
 少し休んで今度は三俣山荘へ下る。三俣山荘に到着すると彼らの出発する後ろ姿が。
 もう追いつくのはやめようと三俣山荘喫茶室で暖かいミルクを、Aさんは1,000円のケーキセットを。これで元気回復、コースタイム2時間の黒部五郎小屋へ出発。巻き道とは聞いていたが登り半分、下り半分、疲れた足には実に長い道のりだった。
岩苔乗越付近からの鷲羽岳 三俣山荘と三俣蓮華岳 三俣山荘から見上げる鷲羽岳
 左に大きくそびえる槍ヶ岳が実に雄大だった。今まで何度も見た槍ヶ岳、これほど感動したことはなかった。
 三俣蓮華の分岐を過ぎ、しばらく行くと黒部五郎小屋へと標識があった。
 よしこれを下れば今日の行程は終わりと、でも、それが実に長い下りの道だった。石がゴロゴロして、その上を歩く。
 そういえば黒部五郎の五郎は石の音から来たとか。小屋の標識から30分以上は降りたか、ようやく黒部五郎小屋に着いた。
 小屋の前の広場には直接小屋に着いた4人と一足先に着いた6人がビールを飲んでいた。
 ザックを降ろすまもなくリーダーからもらったビールがほんとうに美味しかった。
 そして小屋の前にコンコンと湧き出る冷たい水で顔を洗った。
 11時間半も歩いて出た汗を冷たい水で洗い流した。長い、実に長い一日が終わった。
 明日も長丁場だが今日ほどでない。長丁場を歩き終えた満足感とビールが疲れを癒してくれた。
 その後の夕食も実に美味しくいただけた。この日は一人一組の布団、ぐっすりと朝まで寝ることができた。
三俣山荘付近からの槍ヶ岳 鷲羽岳と三俣山荘(右赤い屋根) 黒部五郎小屋にて
≪8月8日(水)≫
 朝食は4時半、準備をして外へ出てみると笠ヶ岳が圧巻だった。
 この日は帰る日、黒部五郎まで3時間の登り、後は下るだけ。太郎平まで4時間15分、その後折立まで3時間、天気が良ければなんとかなると。充分な睡眠で疲労はない。
 そんなことを無理やり自分に言い聞かせ、小屋を後にした。この日のルートは一般的なカールルートでなく稜線ルート、歩き出すといきなり岩場、慎重に石を選びながら前進、途中で笠ヶ岳、乗鞍、御嶽、加賀白山も雲海の中に、その姿を見せてくれた。前方には薬師岳、剣、立山も、そして後立山の山々も見えた。
  そして3時間弱で黒部五郎岳の頂上に着いた。
黒部五郎への登り@ 黒部五郎への登り@ 中央が笠ヶ岳、奥は御嶽
黒部五郎山頂 槍、穂高連峰 黒部五郎山頂にて(後ろに薬師岳)

 しかしそこから見えた帰りのルートはまだまだ登りの多いはるかかなたまで続く道だった。
 その先に太郎平があり折立はそのまだ先なのだ。それをこれから歩くとすると夕方までに歩き終えるのかと。
 でも黒部五郎岳からの下りは道がよかった。快適に足を進める。でもリーダーは早い。続いて足の速い女子軍、私は少し遅れ、最後尾には荷物を分散した空身の一名とLLとSL。周りの景色を充分味わいながら、太郎平に着いた。
 そこで後発を待つため大休憩、楽しみにしていた太郎平のラーメンは13時までで終了、しかたなくカップラーメンを。そして冷たい缶ビールを一本だけ。大休憩の後は走るように折立へ。
真ん中の大地が雲ノ平、中央に小屋が 黒部五郎山頂を後に 太郎小屋に到着、後ろは薬師岳

 長い長い最後の道だった。そして16時48分、バスの待つ折立に到着した。こうして4日間の山行が終わった。
 健脚のメンバーの中で、まだまだ力がないなあと思う一方、水晶、鷲羽まで行けた自分をほめてやろうと、そんな気にもなった。


 最後にリーダーはじめ、参加者の皆様、ほんとうにお世話になりました。
 四日間歩き通せた、そして憧れの高天原温泉にも入れました。
 これに懲りずまた参加させてくださいね。


 翌日、地図を見ながら、今度同じコースをもう一度歩くとしたら、それはどう考えても7日は必要だと、ぞっと胸騒ぎがした。
黒部五郎岳の山頂にて(快晴の御褒美付)