≪紀行文≫
〜〜〜まさに“幸運”朝日に映える富士の迫力ある絶景に感動〜〜〜
≪2月11日≫
新潟駅南口を6時20分に出発。一路、登山口精進湖パーキングを目指す。
出発時新潟は曇りであったが関越道長岡辺りから雪が降り出して来た。魚沼地域に来ると前方の視界が効かないぐらいの吹雪となり、
さらに除雪作業のため清水トンネルの入口までスピードダウンで走行。
10月に入会後、私が会山行に参加するのは今回で4回目である。新年に立てた目標は、今年は少なくとも月2回の山行に参加することである。
早速待っていた1月号の山行コース案内からNO.5菱ヶ岳とNO.8パノラマ台・竜ヶ岳を申し込むことに決めた。
登山は長期間遠ざかっていたので体力的にも技術的にも不安があったが、一方で内心わくわく感もあった。
バスがトンネルを抜けるとパッと晴れ上がった青空と、陽春の景色がひらけてきた。新潟県側の吹雪の冬景色とは180度の違いである。
窓越しの陽光を浴びて車内の気温が上がり汗ばんできた者もいる。バスは目的地に向かって快調に飛ばす。
車窓からは、時々富士が見え隠れする。
車内にて、福岡CLより登山についての注意事項が分かりやすく説明があり、他に民宿「松風」に着いてからの特記事項についての
説明もあった。
精進湖畔を走行中、ワカサギ釣りしている釣り人を数人見かける。漸く精進湖パーキングに到着。
長時間のバスの旅の疲れをものともせず、それぞれ登山の身支度に取り掛かる。準備が終わった者から各自念入りに柔軟体操を実施。 |
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関越道は雪で冬のど真ん中 |
関東は晴れ、晴れ、車窓から富士が |
精進湖湖畔で登山準備(陽射しが温かい) |
全員揃ったところでメンバーを1班と2班に分かれ、パノラマ台(1328m)目指して登山開始。
登山道は整備が行き届いており大変登りやすかった。 |
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精進湖湖畔にある登山口 |
緩やかなつづら折りの道を登ります |
登山道の整備も行きとどいています |
パノラマ台に到着すると各自昼食・休憩をとりながら360度の大パノラマを満喫。眼下に本栖湖、精進湖、西湖を眺め、さらに富士裾野、青木ヶ原樹海を望むとこができ、眼前には快晴なれど雲少々あり、雲間からちょこっと雄大な富士の山頂を仰ぎ見ることができた。
昼食が終わると全員で写真撮影。 |
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足元から精進湖、西湖、河口湖が見えます |
温かい日差しを浴びて昼食タイム |
漸く富士が顔を出してくれました(皆カメラ) |
午後からは、パノラマ台から烏帽子岳(1257m)を経由してトンネル脇の道路まで一気に下る。
下り終わるとそこは青木ヶ原樹海の端っこである。
樹海を少し探索し、本栖湖湖畔少し歩き、本日の宿本栖湖畔の「松風」に向かう。
宿に到着すると各自部屋に荷物を移動後、1階のサロンに集まりミーティングがあった。
風呂で今日の汗を流しさっぱりとしたところで夕食とする。今晩の夕食は、ご主人が射止めたイノシシとシカの肉を
使ったイノシシ鍋など食べきれないほどの料理が出てきた。
酒も適度にすすみメンバー同士の交流が始まり賑やかになる。明日は、早朝の3時起きだ。 |
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烏帽子岳山頂から観る富士 |
烏帽子山頂からは一気に下る |
青木ヶ原樹海の端っこを少し探索 |
≪2月12日≫
本日の竜ヶ岳登山は早朝出発となるため、3時起床。就寝前に準備しておいた装備・携行品等を再度チェック。
気温は出発地点の−5度から山頂に近くなるにしたがってどんどん下がって−15度くらいになるため防寒着に注意を払う。
身支度を整えてから疲労防止のため携行してきた軽い食事を摂って宿を出る。
バスに乗車するためみんな集まるが、ドアが凍り付いて開かない。各自柔軟体操をして体を温めていると漸くドアが開いてみんなホッと
した。我々はキャンプ場の手前で降車。ヘッドランプを装着してキャンプ場の中を通って竜ヶ岳登山口に到着。
真っ暗闇の中をヘッドランプで足元の登山道を照らし緊張感をもって山頂を目指して登り始める。登山道の土は凍結していたが積雪が
なかったのでアイゼンの装着はしなかった。足元に注意しながらジグザグの登りを繰り返している途中、ふと天を仰ぐと十五夜お月さんまで
にはいかないが月下に我われを見てくれている。頂上に近づくにしたがってだんだんと月が手の届きそうなところまで来てくれる。
石仏がある展望台で小休止をとる。登りで汗ばんできたので着用しているものの調整と行動食や水分の補給をする。宿のおかみさんがポットに入れてくれた熱いお湯が体を温めてくれる。富士の方向を眺めると稜線の背後が白けてきた。まだ薄暗い中に富士のシルエットが浮かび上がって見え。尾根までもう少しジグザグの凍結した登山道がつづくが、アイゼンの着用なしで山頂に向かって出発する。 |
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竜ヶ岳登山口にて(皆ヘッドランプ着用) |
ベンチのある休憩ポイント(未だ真っ暗) |
石仏の展望台(でも登山道は未だ真っ暗) |
ジグザグの登りを終えて尾根に出ると、東の方の空が紅色に明らみ始めているなかに雲一つない空間にドーンと富士が現れた。なんと素晴らしい眺めか。山頂は、目前だ、一歩一歩歩みを進める。稜線から山頂まで一面の笹野原がつづく。刻一刻と変化する紅色がだんだん濃くなってくる。
ついに全員が山頂にたどり着いた。山頂は熊笹が刈り取られ平らな広場ができている。視界を遮るものは何もない360度の大パノラマに感動。山頂に雪を頂いた南アルプスの山並みが一望される。日本百名山の八ヶ岳・甲斐駒ケ岳・鳳凰山・北岳・仙丈岳・間ノ岳・塩見岳等々。
−15度の山頂は、防寒手袋をしていても手指の先が麻痺してくるようだ。
ペットボトルの口先には氷ができて塞がれている。カメラの電池はどんどん消耗してくる。それでもみんなは変化してくる富士をジーと見ている。 |
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富士のシルエットと空の色が刻々と変化する |
標高の高い南アルプスが朝陽に染まる |
「出た!」待ち侘びた一筋の光が差した |
一瞬、山頂がキラリッと輝いた。オォー!オォー!一斉に感動の声があがる。
そしてだれからともなくバンザーイ!バンザーイ!の歓声だ。なんと素晴らしい富士の日の出の瞬間だろう。
雲一つない晴れ上がった空、眼前の富士の迫力ある雄姿と周りの絶景に感動。
瞬間的に朝日に輝く富士に向かって手を合わせ、頭を垂れたのは私だけではなかった。これぞ霊峰富士は日本一の山だ!
この千載一遇のチャンスをものにできたことは、私にとって生涯忘れることのできない貴重な思い出となった。
これはまさに幸運としかいいようがない。
さあー紅色に染まった黎明の富士をバックにみんなで記念写真の撮影だ。バンザーイ!バンザーイ!
富士山ほど日本人の憧憬の対象でありつづけてきたものはない。富士の山容はどこから見ても美しく素晴らしい。
この高貴な姿容と同時に親しみやすい大衆的な容姿をもつ。
富士山を表現するとき、崇高だとか、偉大だとか、勇壮だとかみな人格上の言葉になる。
富士は理想化された日本人の姿態であり、さらにいえば山の神として神格化された富士は、気高い神の姿容なのだ。
富士山は総体としての日本の象徴である。日本人の心の山である |
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息を飲む思いの素晴らしい感動を与えてくれた富士のご来光 |
思わず富士に向かって「ばんざ〜い!」 |
まだ感動の余韻が残っているものの陽がどんどん高くなっていく。寒さが厳しいので長居は無用だ。
いつまでも感動に浸っているわけにはいかない。
各自下山の準備を整えると、1班、2班とパーティを組んで今度は2班を先頭に元来た道をアイゼン無しで慎重に下る。
登山道の脇を見るとびっしりと霜柱が美しい。予定通り順調に下り終えるとキャンプ場に待機していたバスに乗車、
「松風」に向かう。
朝食は、おかみさんがわれわれの帰りの時間に合わせて準備しておいてくれた。
朝食を食べ終わった者から帰りの支度に取り掛かる。
全員揃って滞在中よく気遣いをしてくれたおかみさんに別れを告げて帰路に就く。 |
登山道には銀糸のような 霜柱が続く |
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雲一つない青空をバックに凍土状態の登山路を下る(足元の霜柱が美しかった) |
石仏展望台から山頂を振り返る |
順調にタイムスケジュール通りに行ったので、(うれしいことに)元来仮予定だった
行動ができるようになった。西湖野鳥の森公園に行き西湖樹氷まつりの氷の像を鑑賞。
つづいてすぐ近くにある鳴沢氷穴を見学する。標高1000mという場所と青木ヶ原樹海の中という場所が氷が解けにくいということだ。
鳴沢氷穴の氷は江戸の将軍に献上されたといわれる。
ここから見る富士も素晴らしいということで“道の駅なるさわ”によって休憩タイム。富士はどこから見ても美しい。
特別の予定が済むとあとはバスで新潟への帰路である。 |
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西湖野鳥の森公園にて(やや斜め) |
西湖からの富士 |
道の駅“なるさわ”からの富士 |
帰りの車内では、それぞれ次の山行についての話題で持ちきりだった。
今回の「パノラマ台・竜ヶ岳」は、福岡CLがリーダーになって最初の山行ということだった。福岡CLは初陣を飾るにふさわしいリーダーシップ
を発揮され、みんなを満足させてくれたことに大変すばらしいと感じたのは私だけでなく、みんなもそう思ったに違いない。
今回の「パノラマ台・竜ヶ岳」の山行は、感動!感動!の連続だった。感謝します。
おわり |
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パノラマ台山頂での記念写真(富士の頭がやっと出た) |
竜ヶ岳山頂にて(富士からのご来光が強くフラッシュ撮影) |
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