個人山行紀行文  2008.10.03〜05 剱  岳 青空と紅葉のコントラスト抜群
2998m 1630 S/O
 

  雪と岩の殿堂「剱岳」へはこれで三回登ったことになる。三回とも快晴で頂上からは360°のスバラシイ大展望を望むことが
  出来た。剱岳にはうまが合うと言うか本当についています。前の二回は8月の15日頃の夏休みを利用しての登山でした。
  今回は10月3日、4日、5日の秋真っ最中の剱でした。夏の剱もいいですが、秋の剱もこれまたスバラシイです。
  特に秋は天候が悪くなることが多く雪等も降ることがあり、登れるチャンスはグッと少なくなります。
  天候に恵まれて楽しかった紅葉の「剱岳山旅日記」を書いてみました。 

  

 【計 画】(行程・予算・他 )

 10/3(金)  新潟(4:00)   立山駅(8:00)   室堂(9:00)・・・・・・剣御前小屋(12:00〜13:00)・・・・・・剣山荘(14:00)(泊)
 10/4(土)  剣山荘(6:00)・・・・・・剱岳頂上(9:00〜10:00)・・・・・・剣山荘(13:00〜14:00)・・・・・・剣御前小屋(15:15〜15:30)
         ・・・・・・雷鳥荘(17:00)(泊)
 10/5(日)  雷鳥荘(7:00)・・・・・・一ノ越(9:30)・・・・・・立山頂上(10:30〜11:30)・・・・・・室堂(14:00)  立山駅(15:00)   新潟(19:00)

  1)二泊三日の冬山装備。小屋泊まり(剣山荘:2食付、シャワー付き 雷鳥荘:2食付、温泉付き 各お昼弁当1,000円で
    注文出来ます)。かなり寒いです。3000m級の山ですので気温は平地より20℃位低いです。
  2)ご存知のように岩山です。降雪など悪天の場合中止します。
  3)食料  10/3 朝昼 各自用意(夜は山小屋で)
            4 昼 各自用意(朝と夜は山小屋で)
            5 昼 各自用意(朝は山小屋で)
    その他  行動食、水は各自用意
  4)自家用車を利用
  5)10/3 新潟駅南口 4:00集合  10/5 新潟駅南口 19:00解散
  6)経費:一人約32,000円(車代8,400円、ケーブル、バス代4,190円 宿泊代18,000円 他)


 【行 程(実施記録)】

  10/3(金) 新潟(4:00)   立山駅(7:20〜7:40)   室堂(9:00)・・・・・・剣御前小屋(11:45〜12:30)・・・・・・剣山荘(13:45)(宿泊)
 
  10/4(土) 剣山荘(6:00)・・・・・・剱岳頂上(9:12〜10:00)・・・・・・剣山荘(12:45〜14:00)・・・・・・室堂(17:00)  美女平
         (17:00〜18:00)  立山駅(19:00)  富山(泊)
  
  10/5(日) 富山(9:30)    新潟(13:30)
 

 【記 事】

  10月3日(金) 快晴
   朝4時に私とK子、Oさん、Mさんとで私の自家用車で新潟駅南口を出発。Mさんは村上市ですので1時間以上早くに家を
   出てきたわけです。こんなに早くても山へ行くとなると起きられるものなんですね。しかもこの度は10月5,6,7日に
   木曽駒ヶ岳、空木岳の新潟楽山会の会山行でしたが、お天気周りが悪いので中止をして10月3,4,5日に変更したのです。
   それが木曽殿山荘が団体予約があり、私たちが泊まるだけの予約が取れなくなってしまいました。これまた中止をせざるを
   えなくなってしまいました。こんなんで天気予報が確実に快晴が続くようなので、何処かに行かねばもったいないと言うことで
   急遽「剱岳」へ行くことにしたわけです。このように大きな山の山行でも山キチはすぐに行けるもんなんですね。感心する
   のみです。
   順調に立山駅に着いた。立山駅の駐車場で朝食を食べてから支度をして出発。ケーブルカーで美女平へ。美女平からは
   専用のバスに乗り換えて室堂へ。この室堂辺りが紅葉の見頃といったところ。バスが美女平から室堂へ高度を増すごとに
   紅葉の色付きがドンドン増してくる。乗客は「わあああ・・・キレイ、スバラシイ」の連発。
   室堂近くになると大日岳の後ろに剱が頭を見せました。青空に紅葉とのコントラストはスバラシイものです。
   バスの窓枠が額縁となって、次々とスバラシイ絵が続いて出てきます。室堂は紅葉見物で観光客がゴッタ返していました。

(ミクリガ池より雄山を望む)   (地獄谷にて作業用のヘリ)        (地獄谷奥に剱が見える

    私たち4人組はミクリガ池、地獄谷を通りキャンプ場のある雷鳥平へ(9:00〜)。ここからは観光客はグッと少なくなり
   登山客のみとなります。雷鳥沢キャンプ場で一休みをする。ここから眺める大日岳、別山、雄山そしてとりわけ雷鳥坂の
   紅葉はスバラシイです。一見の価値ありです。眺めてばかりではいられません。歩かなければいけません。
   浄土川にかかる橋を渡り左に大日岳へのコースを見送り、雷鳥坂への登りに差しかかります。ゆっくりゆっくり登って行く。
   お天気も良いこともあり、登り下りもけっこう多くの登山客にすれ違いました。

 (地獄谷から雷鳥平へ別山乗越を望む)
  (雷鳥平にて)                               
  (淨土川の上流を渡って雷鳥平坂を下る)

    少しずつ高度を上げていく。何度も何度も立ち止まり立ち休憩する・・・紅葉を眺めながら、写真を撮りながら・・・。
   私たちには疲れなくてちょうど良いペースなのですが、さすがOさんはこのゆっくりペースにはついていけず、先に行って
   もらうことにした。別山乗越の剱御前小屋に着く(11:45〜12:30)。20分位先にOさんは着いていて私たちを出迎えてくれた。
   と同時に目の前に剱岳が「ジャジャ〜ン」と出迎えてくれた。来てよかった。これが見たいばっかりにこのつらい雷鳥坂を
   登ってきたわけですから「疲れがぶっ飛ぶ」とはこのことのようです。ここで剱を眺めながらお昼を食べて大休憩。
   今度は一気に剱沢へ下る。そして新しくなった今日の寝ぐら「剣山荘」へ。今回は真っすぐに剱沢小屋へ下ることにした。

   (雷鳥沢より室堂を望む)    (雷鳥坂の登り)   (雷鳥坂より室堂を望む)

   しかし剱沢小屋までは一気に下ったんですが、剱沢小屋から剣山荘までは少し登り気味で意外とキツかった。
   剣山荘がすぐそこに見えるのですが、もう少し、もう少しと騙し騙し行くと、、、近くに見えてなかなか着かないのは
   こたえます。・・・剣山荘に着く(13:45)。出来たばかりでとても綺麗です。部屋は二重サッシ、フトンは新品、お風呂は
   シャワー。近代的な山荘に生まれ変わっていました。10人位の定員のお部屋で私たち4人でゆったりの貸切でした。
   今日は50人位の宿泊との事で余裕です。夕食までたっぷり時間があるので早速シャワーを浴びたあと、生ビールで
   カンパイして山談議がはずむ。家から持ってきたキュウリに特製の「唐なんばん味噌」はピリ辛でおいしいです。
   剣山荘からは剱は望むことは出来ません。剱岳と別山の間に鹿島槍ヶ岳が望めます。ちょうど夕陽が鹿島槍ヶ岳を
   シルエットに沈むのです。空が赤く鹿島槍ヶ岳が黒く、数分間の感動の瞬間です。
   

   (別山乗越より剱岳を望む)    (剱沢より剱岳を望む)    (剱沢より剱岳を望む)   (剣山荘より夕陽の鹿島槍ヶ岳)


  10月4日(土)快晴
   私たちは5時に朝食を食べてから6時に出発しました。不要の物は剣山荘に預けてリュックを軽くして剱岳へピストンです。
   早出発の方は朝食前にヘッドライトを点けて出掛けました。私たちもヘッドライトを点けて歩き始めましたが、すぐに夜が
   明けて一服剱ではすっかり明るくなりました。夜明けの剱沢、剣山荘、別山を望むことが出来ました。
   この辺はまだクサリや崖っぷちが少なく、普通の登山道とあまり変わらないです。女性達は「剱岳は大変ですよ」と洗脳され
   て来たらしく、クサリ場は?、タテバイは?、ヨコバイは?、未だですか?と心配らしくしきりに聞いてきます。
   前剱まではクサリはありますがさほどではなく「大丈夫みたいね」などと話していた。しかし前剱からは崖っぷちのクサリ場が
   連続して現れる。登る人、下る人、すれ違いが出来ないので待ち時間があり急にスピードダウン。やはり大変です。
   そして登り専用、下り専用などのクサリ場も現れる。梯子も現れる。ゆっくりゆっくりと、マイペースで慎重に登って行く。
   どこがカニノタテバイでどこがカニノヨコバイか分からないうちに頂上に着いた。やはり何度登ってもキツイ山です。
   予定より約45分遅れて頂上に到着(9:12〜10:00)です。360°の大展望です。
   「剱岳2998m」立って背伸びをすると3000m。早速みんなでにこにこ顔で満足の記念撮影。
   北から妙高、剱八ツ峰、白馬、五竜、鹿島槍、剱沢、別山、立山、笠ヶ岳、薬師、大日、早月尾根小屋等々、スバラシイ
   眺望・・・私は八ツ峰と五竜、鹿島槍をバックにした写真が一番好き「お気に入り」です。いつまでも眺めたいのですが
   そうもいきません。帰りの時間が気になります。長居は禁物、名残を惜しんで下山に取り掛かります。

   (剱岳頂上にて記念撮影 遠くに薬師岳)    (剱岳頂上にてお気に入りのショット)    (剱岳頂上にて八ツ峰、五竜岳、鹿島槍ヶ岳)


   下山は登り以上に緊張します。クサリ、ハシゴ、下り専用などスリル満点。ゆっくり、ゆっくり慎重に下ります。
   所々K子は足がとどかずOさんに助けてもらい苦戦しながらの下りです。「Oさん有難うございます」。
   剣山荘には予定より1時間15分遅れで到着です(12:45〜14:00)。ここで遅い昼食です。ゆっくりと休みました。
   預けた荷物をまとめ直しです。

     (剱岳頂上にて早月尾根を望む)       (絶壁のクサリ場を行く)    (前剱より雄山、北アルプスの山々)

   来た時より少なくなっているはずの荷物がリュックにうまく収まりません。足で踏んづけて何とか詰め込みまとめました。
   下山とは云え剣山荘から別山乗越まで約1時間の登り返しです。ルートは来た時の道でなく、右のルートを登って行く。
   休憩のたびに剱岳の勇姿を望みながら、何度も何度も振返り名残を惜しみつつ、満足感に浸って登る。
   別山乗越の剱御前小屋に着くと剱岳の勇姿とはお別れです。ここで充分に脳裏に焼付けてから雷鳥坂の下りにとりかかる。
   予定では室堂にもう一泊して、立山でも登りゆっくりして帰る予定でしたが、天気予報が明日10月5日(日)は曇りから雨が
   降り出すかもしれないとの事で、予定の立山登山は取り止めにし、宿泊予約をしてある雷鳥荘へ断りの電話をして、この
   まま新潟へ帰る事にした。
   今度は雷鳥坂の下りで大日、立山、薬師、室堂、雷鳥平の紅葉を眺めながら、これまた名残り惜しみつつ一気に
   雷鳥坂へ下った。

   (雷鳥坂より室堂、浄土山)   (雷鳥坂より別山、雄山)   (雷鳥平キャンプ場)      (雷鳥平より大日岳を望む)
   
   室堂からの帰りのバス時間が気になりだし急ぐことになった。雷鳥平から室堂へは結構キツイです。 急いで
   登るので僅かな距離なんですが息が切れます。K子はもうバテバテです。またOさんから助けられてもらいリュックを
   担いでもらいました。

   急いだお陰で何とかバスに間に合うことが出来ました。ホッとして臨時便で17時最終のバスに乗ることが出来美女平に
   向かう。ここでアクシデント発生。私はあまり急いだのでカメラを室堂のバス乗り場へ忘れてきてしまいました。
   さあ大変・・・良くしたもので事情をバスの運転手に話したらすぐに無線で室堂へ連絡してくれカメラを探してくれました。
   バスに乗る時に、行く時に買ってあった帰りの切符をリュックから取り出し、カメラを乗車列の横窓枠に置いたままに
   してバスに乗ったわけです。すぐに無線でカメラは見つかりました、10分遅れの次のバスに乗せたので美女平で受け
   取って下さい、との返事が来ました・・・カメラが見つかってホッとしました。こんなにたくさんの思い出の詰まった
   カメラを無くしたら一大事です。K子は矢継ぎ早に「最近物忘れが激しい、脳軟化症、アルツハイマー、認知症」だのと
   云って大変でした。いやはや・・・まあ無事に美女平に到着しました。

   ここでまたアクシデント発生です。ケーブルに乗り換えて立山駅に行きますが、ケーブル待ちの人の山、人の山。
   小1時間待ってケーブルに乗ることになった。

   立山の駅に着いた時はすでに19時を回っていて真っ暗です。これから新潟へ帰るとなると疲れや眠気などで事故が起きて
   もおかしくないと言う事で、Oさんのご好意で富山の実家「別荘」に止めていただく事にした。元々計画では室堂に泊まる
   ことにしていたから、お言葉に甘えてゆっくりして帰ることにした。遅くなったが八尾のスーパーで夕食の買い出しを
   して、別荘の近くの温泉に入り別荘に向かった。O家の別荘では無事待望の「剱岳」に登頂出来た事に皆でカンパイを
   した。余韻覚めやらぬ楽しい思い出に話が弾む。そして酒が効いたのか疲れが出てきたのかも知れないが早々に眠りに
   着きました。


 
 
 
 


 10月5日(日)曇り


   翌朝はOさんが近くの地場産豆腐を買出しに、そして美味しいご飯を炊いてくれ、Oさんオリジナル特製豆腐料理をご馳走
   になりゆっくりさせて頂きました。「Oさん有難うございました」。帰りに美味しかった揚げだし豆腐をお土産に買って
   来ました。そして真っすぐに新潟へ帰ってきました。
   「剱岳」は岩山、重戦車のような、戦艦大和のような、例えようの無い力強さ、そして厳しさを感じる山でした。
   これ程に充実感、満足感は他の山では感じることがありませんでした。登ってみて初めてこの山の魅力を感じる事が出来
   ました。 
   「剱岳」の魅力を思う存分に堪能することが出来て満足しています。
   メンバーに恵まれ、天候に恵まれこのような紅葉はまたとない位スバラシイもの。
   私たちは本当についていました。無事に終了出来た事に感謝。感謝。             (おわり)