山越え国道の十部一峠を過ぎて、車幅の狭い砂利の林道を走る。ガス充満の空模様は視界を閉ざすが、錦秋のブナ林の山腹は黄紅葉の最盛期だ。長時間の乗車から開放される終点に到着。天気が気になる中で支度を整え、リーダ−の指導による準備運動をして出発。
見事なブナ林が展開する斜面の登りだ。幅は広く取ってありとても歩きやすい。大きなツキヨタケが目に付く。色とりどりの黄紅葉に感動の声が方々から流れる。高度を上げブナ林が切れて尾根は平坦となる。
ガスが切れると、この先の奥の院、葉山の頂稜部が見える。湿地、沼地気味の道を交わしながら、場所によってしっかりした木道を渡る。
そして最後のひと登りが待っていた。顎の出そうな所で奥の院に突き上げた。展望はガスの中から伺う。鐘を鳴らし、かしわ手をうって参拝。社の石段のそばに30〜40cmほどの小さい女人の一刀彫り、四体が置いてある。葉山神社は女人を祭る神社なのか分らない。
ここで昼食時間。生憎のガス、強くはないが風が渡る。社を風除けにして全員腰を下ろす。遠方の展望はむりだが、近辺の紅黄葉をめでながらの食事は楽しいひと時だ。腹に詰め込んで腰をあげるころは、少々寒さを感じ始めた。集合写真後、奥の院をあとに姿を見せる眼前の主峰をめざす。黄紅葉の帯に緑を加え、大らかな饅頭型で美しい姿である。
10分少々で主峰に着く。その途中で「村山葉山山岳マラソン」の50cm位の四角い旗が下がっていた。体育の日に山岳マラソンを行ったのだろう。近年、方々で山を走り回るイベントを耳にする。山を歩く自分には走り回る行為は理解し難い。
頂上はガスに覆われて視界は利かない。一等三角点はしっかり頭を出していた。各自タッチ、ここで記念写真。
そして山頂からは下山に入る。もし天候に恵まれたなら縦走路からの展望、プロムナ−ドが満喫できたコ−スだと思う。展望が利きそうな場所に限ってガスに邪魔される。今は十数メートル先の縦走路が見え隠れするのが慰めだ。
大ツボ石、大僧森、小僧森など古い標示板だけを黙認して去る。道は幅広く刈り払われて整備が行き渡っていた。風も治まり雨も心配ないだけに助かる。稜線上を下り、登りの繰り返しで高度を徐々に下げて行く。時にはガスの切れ間が出たりで近辺の黄紅葉の綺麗な山肌を見せてもくれた。
2箇所、ロープが下がった僅かな場所に手間取るが、下り終えると広々とした平坦地に出た。小規模のお花畑である。湿地帯に敷かれた木道上で小休止。枯れたリンドウが方々に目立つ。ここでも右、左から差し入れ品が回ってきて頂く、癒しのエネルギ−補給と言える。
ここで稜線の登山道を離れて、下山口の”畑コ−ス”を下る。
ぬかるむ道を過ぎると森林限界点だ。植生が小から大に変わる。一気に走り出したい坂道が先方に伸びている。落ち葉がびっしり敷き詰めている。ドウダン坂と標示があった。太い幹で背丈の高いドウダンの木がブナに混じって目立つ。
足元の落ち葉を踏む音に浸りながら、皆さんご満足。美しいブナ林の下りが続く。調子に乗って聖仏平、一服台などの標示板を見て下り去る。月山展望場では月山が遠方にみられた。
さらに見返し坂の標示を見て見返しをやって下りを続ける。ようやく杉林が出始め、ロッジ風の建物が見えて、本日の長い行程の終焉である。
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お迎えのマイクロバスが待っていてくれた。小雨がぱらっと当たるがここだけに終わった。靴を履き替えて着の身着のまま乗車、長い時間を辛抱して新潟へ向う。途中、道の駅でお土産や車中の食べ物、お酒の仕入れは何時もの通り。車中の賑やか組はそのまま新潟まで続いた。
山中はガスの去来する天気が大半を占め、大展望は駄目でした。だがそれなり黄紅葉の景観を充分に堪能出来た楽しい山行でもありました。事故もなく無事に下山できました。リーダ−はじめ、参加された会員の皆さまありがとうございました。 (おわり)
(山頂の一等三角点) |
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