会山行紀行文 10.7.3日(土)
曇り
NO.66  
稲包山(いなつつみやま)
・1598m
参加者20名
(男8・女12)
2044 S/H

≪コースタイム≫
  新潟駅6:00=四万川ダム登山口9:25〜9:49−赤沢峠峰ノ茶屋11:30〜12:00−稲包山山頂13:15〜13:30
 −峰ノ茶屋14:33〜14:45−林道終点15:42−登山口15:56〜16:55四万こしきの湯=新潟駅20:15

 稲包山はその切り立った山頂からの360度の眺望、苗場山や平標、仙ノ倉などの谷川連峰をすぐそばに望める、ぜひ登ってみたい山のひとつだった。おまけに今回は上州の四万温泉から越後の旧三国スキー場までの縦走、楽しみに当日を迎えた。ただ稲包山が山ヒルの大発生地帯だということだけが不安だった。

 当日の天気は曇り。バスの中で、前日までの豪雨で旧三国スキー場までの下山道の途中にある渡渉地点が、増水により渡れない可能性が大との説明、今回は四万温泉よりピストンで稲包山を登るという。
 担当のN女史リーダーはこの地域に詳しく、一週間前にもこのルートを踏破し、ヒルには遭わなかったと説明、安心して登山口までのバスの旅を楽しむ。

登山口にて準備

林の中を

林の中を登る

 残念ながら登山口ではガスが立ちこめ、付近の山々はガスの中、雨でないだけでも幸運と山登りの準備に取り掛かる。登山口に置いてあると聞いていた「ヒルよけの塩」はなかった。そうか、ヒルは駆除されたのだと勝手に解釈した。「よし今日はがんばるぞ」と出発。

 それは歩き始めて20分もしないうちに起きた。「ひゃー」「うっ、うっ、」「ヒルだー」前を歩いていた姫様たちの悲壮な叫び声。私はこのとき後ろから5番目くらいを歩いていたが、それを聞いて足元を見ると、ヒルの大群、私自身、ヒルの住む山の近くで住んでいるが、こんな大群を見るのは初めて、ひどいところは足の踏み場のないほど。
 間違いなくこのコースはヒルの大発生地だったのである。そのヒルの大きさは太さが3ミリぐらい、長さが2センチから5センチ、それがコブラのように3分の2ほど体を持ち上げ、今にも飛び跳ねようとユラユラ揺れていた。気持ち悪いこと、この上ない。

あれ?靴の中にヒルが

ブナ林の中を 中央にヒルが

 実はその前の日の朝、地元群馬の知人で毎週のように付近の山を登っている人からメールがあった。「稲包山を今の時期に四万温泉から登るとは、勇気がありますね」というものだった。勇気なんてあるわけがない、ただ無知だっただけ。
 心配になり、近くの登山洋具店に電話してヒル避けスプレーの在庫を問い合わせ、夕方取りに行き、夜、冬まで使わないだろうとしまっていたピンつき長靴を取り出し、それにまんべんなくスプレーしておいた。その甲斐あってか、私の足にはヒルは寄ってこなかったが、みんな足を止めてはヒル取りの様子。ザックの中からスプレーを取り出し、10人ほどの人の足元にスプレーをしてやったが、歩きながらなので充分とはいかなかった。
 でもこの山の会の姫様方、悲鳴は上げるが引き返そうなどとは誰も言わない、恐るべし。

 ヒルを避けながら、なんとか赤沢峠峰ノ茶屋に、このとき11時半、ここで昼食。みんなヒルが怖いのか、立ちながらの昼食、私はいつも持っているイスをザックから取り出しオニギリを。ヒルとこれからの登りを考え、ビールなど飲む気になれなかった。

稲包山の花 赤沢峠峰ノ茶屋 稲包山山頂

 30分の休憩の後、出発。
ここからはヒルのいない快適な稜線歩き、ガスがないなら見晴らしのいいところ、登山道も大変よく整備され、ブナ、シャクナゲ、熊笹の中を快適に進む。
 登ったり下ったりの繰り返しの後、最後の急登、そして稲包山の頂上に。新潟県との境界線に来た。ここで暫し休憩。ガス、ガスで視界なし。

頂上で休む ガスに包まれる森 昼でも暗い森

 休憩の後下山にかかりますが、リーダーが時間の遅れを取り戻すため少し早く歩くという。いやあ、早いのなんのって、私の前にリーダーを含め姫様が6人、必死に追いていこうとするが、どんどん離れる。この姫様たちは超人なのか。
 先頭が少しペースを緩めてくれたので、なんとかなったが、私だって決して遅くはないはずだが、この会の姫様たちのパワーには毎回脱帽です。それと登りにもあったのですが、季節はずれのキノコをたくさん見つけました。このメンバーにはキノコに大変詳しい人が何人かいて、いろいろと教えてくれました。かなりの収穫もあったようです。

ガスの立ち上がる森 峰ノ茶屋での最後の休憩 晴れれば稲包山ピークが見えるところ
ナラタケ  ヒラタケ これも食用可 ここにもキノコが

峰ノ茶屋で最後の休憩。
この先のヒルの大発生地突入の準備です。覚悟を決めて進みます。ところがその途中で林道に降り、ヒルの場所を迂回しました。そして林道終点で靴、ズボンをチェックすると、みんなヒルだらけ、ここでヒルとり合戦です。
 私もスプレーの効果がなくなったのか、ズボンの右に5匹、左に2匹のヒル。ひょっとしたらズボンの内側にもいるかも・・・・。
 舗装道路をバスに乗り、近くの「四万こしきの湯」に。ここの脱衣所で入念にヒルチェック、風呂からあがると、ヒルに噛まれて血が止まらないメンバーも多数、家から持参の血止め軟膏が役にたったか。実はこの林道、あまり使われていないのか、膝丈ぐらいな雑草がいっぱい、その葉っぱにヒルが隠れていたようです。

ヒルダンスならぬヒル取りダンス



 帰りのバスの中、いつもの大宴会。
実は今回の企画、前評判が大変よく申し込み人数が予定の二倍。二日後にもう半分の参加者を連れて、また一度ここに登ると言う。リーダー曰く、「ここはヒルがいるので別のコースから登る・・・・・と」

 酒の入った数人から「大変貴重な体験、ここから登らずに稲包山が語れるか。絶対に同じコースから登るべし、そして当日までヒルのことは秘密、絶対にヒル体験してもらいたい人もいる」・・・いやはや友達思いの山男たちでした。






 今回はほんと大変貴重な体験でした。
私はヒル避けスプレーのおかげで難を逃れましたが、今度は天気のいい日、ヒルのいない日にもう一度この稲包山に挑戦してみたいと感じました。

 そのヒル避けスプレー、明後日使ってくださいと、そっとリーダーに差し出してきました。

 いつもとはまた違った楽しい山行、リーダー、先輩方、大変ありがとうございました。                     (おわり)