会山行紀行文 09.11.23(月)
    〜25日(水)
NO.TL53  
鞍馬山・木の根道
参加者28名
(男性4:女性24)
557 T/K

                                      *山行俳句も筆者の557T/Kさん。  *画像提供は937A/Tさん。

 前日までの雨風が止み、天気は回復。行く先は紅葉が見頃。早朝のバスは笑顔溢れて出発する。
窓の外は初冬の佇まいだ。富山〜石川では、北陸自動車道を走るバスの車窓からIリーダーやT会長から山々の説明。青空には冠雪の峰々が煌めく。 賤ヶ岳サービスエリアで昼食、彦根インターで高速を降りると、窓の外は秋の風景に変わる。

湖東三山

 百済寺 聖徳太子が創建した古刹で、百済の僧が住職を勤めたのでこの名が付く。天正1年織田信長によって壊滅されるが、後に徳川家康が復興する。7月は庭園池の河骨が咲き、秋の紅葉/春の桜が見事。 
 金剛輪寺 天平13年(741)行基により創建の古刹で、後の時代には円仁が天台密道場として再興。弘安11年(1288)建築の本堂”大悲閣”は国宝。寛元4年(1246)には三重塔が建てられ、鎌倉期の仏像を多数所蔵。春/石楠花/7月初/紫陽花(株多数)/秋の紅葉と、四季折々に風情がある。
 西明寺 承和3年(834)三修上人が開く。織田信長の比叡山焼き討ちの際に、当寺も多大な損害を受けるが、幸い本堂、三重塔は被害を免れ現在にいたる。本堂/瑠璃殿と三重塔は鎌倉期の建造で共に国宝、三重塔は檜皮葺きで優美な姿で、秋の紅葉が見事。

湖南三山

 常楽寺 本堂・三重塔の建造物が国宝。 二十八部衆等は、国の重要文化財に指定。本尊は、千手観音菩薩(秘仏)ご利益は、すべての願い。
 長寿寺 本堂が国宝。(湖南市最古の名刹で、鎌倉時代に再建された建造物)釈迦如来等は、国の重要文化財に指定。本尊は、子安地蔵(秘仏)ご利益は、子宝・安産・長寿。
 善水寺 本堂が国宝。木造四天王立像等は、国の重要文化財に指定。本尊は、薬師如来(秘仏)、ご利益は、病気平癒・身体健全・厄除祈願。

【23日 ・ 湖東三山巡り】

西明寺
 平安時代の開山。信長の兵火に遭うも本堂などは焼けのこり、国宝として荘厳な美しさを保つ。
  梵鐘の 音絶え間なき 紅葉寺
●金剛輪寺
 門からすぐ石段。山一つ境内にしたような広大さ。
庭園や道場が点在し、楓の赤がひと際鮮やかである。開山で刻むご本尊に命が入り、血を流しておられた。その血で染められた葉が、毎年真紅に紅葉するのだという。延々と続く登り坂に疲れた頃、参道に風車を持つ地蔵さまが迎えてくれる。
  紅深き 紅葉を透けし 空の青

  
千体の 小さき地蔵や 冬日向
●百済寺
 「今度は街中だし、あまり歩かなくても行けますよ」と、リーダーの言葉。 ・・・・でも、また石段。
 聖徳太子が百済人のために開山したが、信長の兵火で焼失。御佛だけは運び出され、春日局などの喜捨により再建された寺。
 踏み減りし 石の階(きざはし)紅葉積む
●永源寺
 近江守護職の開山。常時二千人の修行僧がいたとか。今も座禅や修行の場だ。120段の参道は、紅葉のトンネルでもある。
  回廊の 白壁白し 紅葉濃し

 釣瓶落としの日暮れは早く、夕焼けを見る間もなく真っ暗。琵琶湖中洲の宿へ向かう。
10人の部屋は入会30年組も1年組も打ち解けあって、思いは同じ。 明日の晴天を祈り、早々の就寝。

【24日 ・ 鞍馬山】

  冬霧の 流れ明け初む 湖(うみ)の宿

 国道一号を京都へ。渋滞もあったが、京都に詳しいリーダーの話で、車中は退屈しない。

●山行のメイン・鞍馬山
 仁王門を入り、ケーブルを横目に階段を登る。
  義経を 育てし山の 落葉踏む
 地蔵堂、供養塔、九十九(つづれ)折坂、ちょっとそぐわないアートなどなど・・・・etc。
 山頂近くの本堂は大きくて立派。見下ろす鞍馬の町は落ち着いた風情だ。参拝を済ませ、休憩後は奥の院へ。
 屏風坂、木の根道、背比べ石など、それぞれに義経の兵法にまつわる言い伝えがある。奥の院でティータイム。 熱いコーヒーの味は格別。濡れた山道を下る。 貴船神社にお参りしてバス内で昼食。
  木の根道 越え来し貴船 秋丁字
●大原三千院
 皇室に関わる寺は保存もよく、手入れも行き届いている。国宝の阿弥陀三尊、不動堂等を参拝。
「紅葉がイマイチ」と、リダーは残念そうだ。
  衣古りし わらべ地蔵に 小春の陽
●寂光院
 30分で行けると聞き、数人で行ってみる。聞いたり知恵を出し合ったりして、表示のある道へ。リーダーの30分は我々の一時間だと急ぐ。
集合時間に余裕をもって間に合い、大津の宿へ。昨日暗かった宿は、さながら竜宮城。食事も手作りでスタッフの対応もいい。
  千両の 実に導かれ 寂光院

  焼け残る 菩薩に冬日 淡く差す

【25日 ・ 湖南三山巡り】
 朝5時半からお茶会。目一杯見せたいリーダーに迷惑をかけず、琵琶湖を見ながらお茶を飲みたい要望には、早朝茶会しかない。湖畔のライトが夜明け前の湖面に写り幻想的。宿の人も巻き込んで、素敵な思い出となった。

●常楽寺
 朝一番の参拝は淑気に満ち、住職の説明も丁寧だ。湖南三山の由来を聞く。奈良時代勅願の寺とのこと。信長の兵火後、皇室の帰依により再建されるが、勅願の定めで檀家が取れず、無住寺として長く閉鎖される。
 5年前、合併により「湖南市」誕生と共に村興しを兼ね、”湖南三山”として一般公開する事にしたとのこと。まだ磨き切れていない本堂や御佛が印象深い。
   国宝の 塔粛として 深紅葉
●長寿寺
 説明は住職の奥様。
人生のあり方も含め、明るく歯切れよく楽しいお話。秘仏のご本尊、本堂は国宝、三重の塔は信長が安土城へ移築。
 参道にも、花、花、花。境内を出ると地元の農協が手作り販売。欲しいが重くて諦める。
 長寿寺の皇帝ダリア
 桧皮葺を 皇帝ダリア 彩(いろど)りし
●善水寺
 比叡山建立の際、用材を運ぶ為の雨乞いで、山腹の池から見つかった”薬師佛”がご本尊。
天皇の病をも治した水を、ペットボトルに戴く。
   霊水の 土産紅葉の 旅終わる

 リーダーの細かい事前調査と気配り、充実したコース、皆さんとの交流。いつもながら楽山会に、そしてリーダーに感謝しながら帰途に就く。     (おわり)